ニュース&トピックス

レッジョ・エミリア・アプローチの世界巡回展が日本初公開。「もざいく −描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語り−」
イベント情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. レッジョ・エミリア・アプローチの世界巡回展が日本初公開。「もざいく −描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語り−」

巡回展の風景
世界巡回展「もざいく−描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語−」が日本で開催中です(Photo by Takumi Inaba)

レッジョ・エミリア・アプローチの展覧会が日本で開催

北イタリア発祥の教育手法であるレッジョ・エミリア・アプローチ。その世界巡回展「もざいく−描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語り−」が関東を皮切りに、全国各地で開催されます。主催は、レッジョ・チルドレン国際ネットワークの日本窓口団体〈Japan Institute For Reggio Emilia Alliance〉(以下:JIREA、運営事務局:まちの研究所株式会社)。

本展は2015年のイタリア、レッジョ・エミリアより始まり、スウェーデン、カナダなど世界6カ国を巡回したのち、2022年12月に日本でスタートしました。2023年2月28日まで、〈まちのこども園 代々木公園〉のエントランス「The Children and Community Learning Center」(東京都渋谷区)にて現在開催しており、3月4日〜3月12日には加賀会場、3月18日〜26日に神戸会場、4月19日〜30日に大阪会場、5月20日〜28日に青森会場へと巡回します。

北イタリア発祥の教育アプローチ

レッジョ・エミリア・アプローチは、一人ひとりが持っている有能性と可能性(子どもたちの100の言葉)を尊重し、1960年代ごろからイタリア北部の小さな町で始まったとされる幼児教育法です。子ども一人ひとりがもつ創造力や表現力を育むアプローチは、1991年にアメリカ版「ニューズウィーク誌」に世界で最も先進的な乳幼児教育として取り上げられたことから、 先進的な幼児教育のロールモデルの一つとして注目されてきました。

子どもたちが多様なもの・こと・人・世界と出会いながら関わり、自らの創造性を育むアプローチとして、今回の巡回展は「drawing(描くこと)」に着目。素材やツールとの出会いと関係性の中から、子どもたちの自由な発想や物語が浮き上がってきます。それらのプロセスには、教育者のリサーチや提案も読み取ることができる、レッジョ・エミリア・アプローチの根幹が表現されています。

「子どもたちと教師たちの日常がここにあります。その日々のやり取りが、表現方法の一つであるドローイングを用いて具体的かつソフトに、しかし明確に表されています。この展覧会により、レッジョ・エミリア・アプローチがどのようなものかの一端を私たちは理解することができるでしょう」(JIREA運営事務局)

子どもの作品
「・・・音楽を作る、紙の上に。」アレサンドロ 4歳

日本のツールや素材を取り入れた展示

日本初上陸となった巡回展『もざいく −描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語り−』(英題:MOSAIC OF MARKS WORDS MATERIAL)は、0歳から参加できる原初的な表現であるドローイングの、豊富な実践事例を紹介しています。そのため、教育関係者や保育関係者だけでなく、子育て家庭も含めた幅広い層が親しめるものになりました。

会場で目を引くのは、パネル展示だけでなく、ドローイングをする際の素材やツールの現物がさまざまにあること。日常的に使う白い画用紙やコピー用紙に限らず、緩衝材など多くの素材や、バリエーション豊かな描画材を用いて、創作活動をしていることが伺えます。

画材
さまざまな素材
レッジョ・エミリア・アプローチにおいて、子どもたちは多くのツールや素材から使いたいものを選び、創作活動に取り組む(Photo by Takumi Inaba)

また、世界各国を巡る本展らしく、会場となる土地ならではのものを展覧会に組み込んでいることも注目です。東京で始まった日本での展覧会では、古来から伝わる「和紙」「習字紙」「障子紙」、あるいは梱包材をはじめとする日本独自の優秀な素材が展示されています。

「2015年にスタートしたこの展覧会は、今なお『留まっていない』と言われます。レッジョ・チルドレンが、レッジョ・エミリア・アプローチを各国に伝えるだけではなく、パートナーとして共に学びあう姿勢を他国へも常に示す内容になっています」(JIREA運営事務局)

東京から関西・東北・北陸を巡回予定

レッジョ・エミリア・アプローチに共感する実践者の参画により、本展は2023年3月以降、神戸・大阪・青森など全国を巡回することが決まっています。各地でも、地域固有の素材、ツールの解釈が加わる予定で、子どもたちの表現がより豊かなものになること、そしてレッジョ・エミリア・アプローチによる保育実践が広く知られることが期待できます。

また、各会場では、レッジョ・エミリア・アプローチへの理解を深めるワークショップも行われる予定です。現在開催が決まっているのは、3月19日(神戸会場:Kobe Regatta & Athletic Club)、4月22日、23日(大阪会場:豊中市立文化芸術センター)。展示内容にあわせて、素材の組み合わせから物語が生まれていくプロセスを実感できるプログラムが検討されています。

(注:3月21日にも神戸会場でのワークショップ開催が決まりました。詳細は記事末InformaitonのURLより)

ワークショップの様子
展覧会来場者の素材とツールの探求の様子(東京会場)

展示やワークショップに関する詳細は、JIREAのWebサイト、及び各展覧会のWebサイトにて順次発表されます。ご確認の上、ぜひ近くの会場へ足を運んでみてください。