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“あなたらしさ”に向き合う絵本『なにでもないもん』がこの冬発売! 10月31日までクラウドファンディング実施中
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絵本『なにでもないもん』の表紙画像。淡い色調で境界線のないようなタッチで一人の人物が描かれている。

自分らしく生きられる一助となることを目指した絵本『なにでもないもん』

「男の子だから」「女の子だから」という“性別らしさ”に左右されず、すべての子どもたちが、ありのままの自分を受け入れ、自分らしく生きる一助となることを目指す絵本『なにでもないもん』が、この冬〈株式会社岩崎書店〉から出版されます。

そして、この絵本を多くの子どもたちに届けるためのクラウドファンディングが現在進行中。2024年10月31日(木)まで支援者を募集しています。

絵本の出版とクラウドファンディングを企画したのは、2023年に結成され、京都を中心に活動する〈市民ぐるみ「多様な性の在り方が尊重される京都」推進ネットワーク(注)〉。多様性への理解を広め、誰もが自分らしく生きることができる包摂性のある社会を目指す第一歩の取り組みとして、本プロジェクトが立ち上がりました。

(注)京都において、2023年4月3日に立ちあがったネットワーク組織。LGBTQ+などの性的少数者を含むすべての人を社会全体で支え、学校、職場、地域などあらゆる場所で、誰もが生きやすい多様性・包摂性のある社会を目指し、市民団体、企業、大学等教育研究機関、行政等が連携して「性の多様性の理解促進」「性に関して困難や課題を抱える方への支援」などの取り組みを行っている。

LGBTQ+でも、そうでなくても、自分をありのままに表現するために

「女の子だから、色はピンクがいいんじゃない?」
「男の子だったら、野球かサッカーをしたほうがいい」
「女の子はスカートを履きなさい」
「男の子はスカートを履いちゃだめ」

本当は自分の意にそぐわないのに、本当の自分はこうしたいのに、“身体的性”を基準にした何かを受け入れるしかなかった――。はたまた、出生時に割り当てられた性別に違和感を抱くものの、それが何なのかわからなかった――。そのとき声に出せなかったとしても、幼少期に自分らしさを手放さざるを得ない状況を経験してきた、もしくは今まさに直面しているという子どもがいるかもしれません。

また、性のあり方に対する違和感だけでなく、大人から選択を阻まれたり、過干渉をうけるなかで「期待に応えなければ……」と自分の気持ちを押し殺してきた経験がある人も多いのではないでしょうか。

そうした子どもたちの気持ちを肯定し、ありのままの自分を受け入れ、生きやすさにつなげることを目指す〈市民ぐるみ「多様な性の在り方が尊重される京都」推進ネットワーク〉。

「自分の好きをありのままに表現できる」
「自分のことは自分で決められる」
「自分にうそをつかず生きられる」

子どもも、そして大人も、そんなふうに生きられてこそ、多様性・包摂性のある社会であるとし、すべての人が自分自身を大切にすることの重要性をメッセージに込めた絵本をつくりたいと動き出し、このたび出版されるのが『なにでもないもん』という絵本です。

絵本『なにでもないもん』の表紙画像。

『なにでもないもん』のあらすじ
わたしは、周囲から性別という枠組みを押し付けられ、どちらでもない、「なにでもない」自分をなくし、生きづらさを感じている。「かえってきなさい かえっておいでなさい」自分の中から呼びかける声に応えて暗闇に飛び込み、声のする方に進んでいく。やがて会えたのはかつての「なにでもなかった」頃のわたし。かわいくて嫌なところもある、ありのままの、自由なわたし。周囲に決めつけられるのではない、本当の自分を、わたしはもう見失わない。

この絵本は、〈市民ぐるみ「多様な性の在り方が尊重される京都」推進ネットワーク〉において、幼少期から性自認や性の表現に関して、いじめやアウティングをうけたり、なかには自殺を考えるまでに追い込まれたりと、さまざまな生きづらさを感じている・いたという声を受けて企画されました。

同ネットワークのメンバー有志で絵本制作のプロジェクトチームを結成。アートと共生に関わる相談を受け付ける〈Social Work / Art Conference(一般社団法人HAPS)〉に相談するなかで紹介されたのが、『みち』(リトルモア)、『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店、第26回日本絵本賞)などで知られる絵本作家の阿部海太さんでした。

阿部さんからは、編集で関わる絵本をさまざまな受賞に導いてきた絵本編集者・筒井大介さんを、筒井さんからは、自らのセクシュアリティを巡る生きづらさと向き合い、その思いを発信してきたエッセイスト・少年アヤさんを紹介され、本作『なにでもないもん』の制作に至ったといいます。

『なにでもないもん』の見開き1ページ。大人と子どもが抱き合っているイラスト。
『なにでもないもん』の見開き1ページ。さまざまな色が織りなす、空と地平の境界線が曖昧な場所にひとりの子どもが立っているイラスト。
※画像はイメージです。実際の絵本とはデザイン・テキストが一部異なる場合があります

また、プロジェクトの趣旨に賛同する〈岩崎書店〉が版元として名乗り出、全国の書店にて一般販売が決定しています。発行は2024年冬の予定です。

10月31日まで! クラウドファンディング実施中

出版に先立ち、『なにでもないもん』を広く子どもたちに届けるためのクラウドファンディングを9月2日(月)からスタートさせた同ネットワーク。集まった資金は、絵本の購入費、京都市内の約800の児童関連施設に寄贈する際にかかる諸費用に充てられます。

目標金額は250万円。支援額は3000円から20万円と幅広い設定に。リターンには、『なにでもないもん』の特製ポストカードや、少年アヤさんと阿部海太さんのサイン入り絵本『なにでもないもん』(50冊限定)も。さらに、大阪・京都・神戸で開催されているLGBTQ+フレンドリーな交流会「Tsunagary Cafe(つながりカフェ)」への無料参加チケットや、LGBTQ+に関する講演会・ワークショップへの講師派遣権など、ユニークなメニューも用意されています。

「京都から多様性の絵本を子どもたちに届けよう」と書かれた、クラファン用のイメージ画像。
クラウドファンディングの支援者募集は10月31日(木)23時まで

「絵本が生まれるということは、新しい未来が創造されるということだと嬉しく思います」
「個人が尊重される社会になっていきますように。絵本の力を信じています」
「たくさんの子どもたちに、子どものころ孤独だった大人たちに、届きますように」

クラファンのサイトには、絵本『なにでもないもん』に期待を寄せるさまざまな応援メッセージが届いています。

幼少期に自分のありのままを認められる機会と出会うことが、多様性を認め合い、包摂性のある社会の実現の一歩につながるかもしれません。「あなたらしさ」に向き合い、幅広い視野を育む絵本を、ひとりでも多くの子どもたちに届けるべく、クラファンに参加してみてはいかがでしょうか。