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[期間延長]1000点を超える福祉発プロダクトが〈鞆の津ミュージアム〉に大集合! 「きょうの雑貨」展、開催
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「きょうの雑貨」展のチラシイメージ画像

※会期延長が決定。延長会期は2022年3月9日(水)から始まり、2022年6月26日(日)までとなります。詳細は公式ページをご覧ください。(2022年3月10日編集部追記)
※広島県福山市が「まん延防止等重点措置」の対象区域になったことを受けて、鞆の津ミュージアムは1月9日(日)より臨時休館となりました。詳細は公式ページをご覧ください。(2022年1月10日編集部追記)

全国64の福祉施設などでつくられた雑貨が一堂に会す企画展

福祉の現場から生まれたさまざまな雑貨を集めた「きょうの雑貨」展が、広島県福山市の〈鞆の津ミュージアム〉にて、2022年3月6日(日)まで開催されています。

展示に参加するのは、北海道から沖縄までの64の福祉施設など。福祉発ものづくりのブランドとして全国でも知名度の高い〈しょうぶ学園〉の木製ブローチや、同施設の代名詞でもあるnuiプロジェクトの作品、〈クラフト工房LaMano〉の草木染め品、〈工房まる〉の陶器による茶碗やコップ、〈poRiff〉によるポリ袋のアップサイクルバッグのほか、点字や点図による一筆箋やポチ袋、飾るだけで楽しくなる小物、ポップに進化した伝統工芸品などなど、つい時間をかけて見入ってしまう、約1000点もの雑貨が勢揃い。

「こここなイッピン」で紹介してきた施設で制作されている品々も多数展示中! 館内のショップスペースには、購入可能な商品も用意されています。

「きょうの雑貨」展のチラシイメージ画像2

“心に響く雑貨”は、買い手とつくり手の間に橋を渡し、関係を編み直すもの

全国にある障害者支援施設などでは、日々、仕事や日課として、さまざまな創作活動が行われています。企業から請け負うものづくりだけでなく、施設発のブランドを立ち上げ、オリジナル商品づくりを進める事業所も続々と増えてきました。

施設を利用するメンバーの「好き」や「得意」を尊重しつつ、素材や制作工程、表現などにこだわりながら、独創的なアイデアに満ちた商品がつくられています。そしてこれらのものづくりには、各メンバーの興味や特性をよく知り、魅力を引き出すための工夫を凝らす、共同制作者であるスタッフの存在が必要不可欠です。

「きょうの雑貨」展の展示の風景。草木染の鯉のぼりや、カラフルなレターセット、手ぬぐいやコットンバッグが展示されている
写真左から、〈Po-zkk〉、〈クラフト工房 LaMano〉、〈HAHAHANO.LABO〉、中央テーブル〈NPO法人 Salut〉、〈やまなみ工房〉、〈藤花荘〉の雑貨の展示風景

福祉の世界のものづくりというと、障害のある人が描く絵画や立体といったアート作品が多く取り上げられがちですが、服やバッグ、アクセサリーなどの服飾品、食器やカトラリー、おもちゃ、お菓子など、日常的に使い味わうことのできる、生活の品々も多く生み出されています。

近年は、郷土の伝統文化と掛け合わせたり、デザイナーと協働作業したりするなど、福祉発のものづくりの現場にも新しい製造・制作方法が導入され、ますます多彩なプロダクトが生まれるようになりました。

試行錯誤を重ね、多くの人の手を介して形になった商品は、独自の魅力を放ち、選ぶ楽しさや所有するよろこびをもたらしてくれます。さらに、つくり手側にとっても、「好き」や「得意」が生かせるものづくりは生きがいになるだけでなく、売り上げが工賃として還元されるというよろこびがあります。

このように、“心に響く雑貨”をつくることは、買い手とつくり手の間に橋を渡し、その関係をより近しいものへと編み直す営みになるのでは、と〈鞆の津ミュージアム〉は考えています。

鞆の津ミュージアムの外観写真

今回の企画展を主催する〈鞆の津ミュージアム〉は、1959年に創設された知的障害のある人たちの暮らしを支える〈福山六方学園(現在の社会福祉法人 創樹会)〉を母体に持つ美術館。約150年前に建てられた醤油蔵を改築し、障害の有無や有名無名にかかわらず、既存の美的規範にとらわれない独自の創作的表現を紹介する拠点として2012年にオープンしました。

福祉発の商品が小規模な販売イベントやマルシェなどで扱われることはありますが、全国の福祉施設で生まれた雑貨を一堂に集めた企画展は珍しいもの。施設名・ブランド名・商品名を耳にしたことはあっても実物を見る機会がなかった、という商品にも巡り合えるかもしれません。ぜひこの機会に、心に響くイッピンを見つけに〈鞆の津ミュージアム〉を訪れてみてはいかがでしょうか。

「きょうの雑貨」展のチラシ裏イメージ