ニュース&トピックス

さまざまな“家族”の風景を共有する地図をつくる。サトウアヤコ展示「日常記憶地図」11月23〜27日〈TOKAS本郷〉で開催
イベント情報 展覧会情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. さまざまな“家族”の風景を共有する地図をつくる。サトウアヤコ展示「日常記憶地図」11月23〜27日〈TOKAS本郷〉で開催

展示「日常記憶地図『“家族”の風景を“共有”する』」が2022年11月23日〜27日まで〈TOKAS本郷〉で開催されます

「ひとりで、共に」在る場を探求するサトウアヤコさんによる展示がTOKASで開催

サトウアヤコさんによる展示「日常記憶地図『“家族”の風景を“共有”する』」が2022年11月23日(水・祝)〜27日(日)まで〈トーキョーアーツアンドスペース本郷(TOKAS本郷)〉(東京都文京区)で開催されます。

群馬県を拠点に活動するサトウさんは、言語化や媒介的なコミュニケーションに関心を持ち、想起や対話の方法を探りながら、「ひとりで、共に」在る場について探求しているアーティストです。

本展では、さまざまな“家族”の持つ場所の記憶をたどり、共有します。会場では、インタビューに協力した3組の家族の語りをサトウさんがまとめた「場所の記憶」と「日常記憶地図」が展示されるほか、会期中にワークショップやトークイベントも行われます。

 “家族”の 「場所の記憶」と風景を“共有”する

サトウさんは、「人はそれぞれの世界を持ち、互いの記憶は共有できないが、共有しようとすることはできる」として、“家族”との関係がどのようなものであっても、場所に宿る記憶として風景を眺めてみることで、新たな世界の発見に繋がるのではないかと言います。さらに、その風景は10年、20年後にまた別の“家族”に“共有”されることもあると考え、そうした「場所の記憶」を残し、共有する活動を行っています。

本展では、さまざまな関係の “家族”の、日常の中で語られにくい 「場所の記憶」と風景を“共有”する場をつくり、他者や 未来の“家族”との記憶の媒体となる「日常記憶地図」を制作します。また、複数の“家族”の「日常記憶地図」の展示やトークを通じて、役割や関係を迂回することの可能性について考えます。

【画像】2つの手が白地図の上に置かれて、一方が地図に指をさし、もう一方が赤いペンで地図をなぞっている
《日常記憶地図インタビュー》 2020 画像提供:長野県立美術館 / Personal Memory Mapping Interview 2020 Photo Credit: Nagano Prefectural Art Museum

人はそれぞれの世界を持ち、互いの記憶は共有できないが、共有しようとすることはできる。
「物語」ではなく、「場所の記憶」を聞くことは、普段の関係性ではわからない領域を知ることでもある。  

関係がどのようなものであったとしても、並んで「場所の記憶」と風景を眺めてみることで、
親や祖父母、パートナーとしての距離や役割が成立する前の、他者としてのその人と世界が見えるかもしれない。
場所や風景から迂回するように理解できることもあるだろう。  

そしてその記憶は、10年、20年後にまた別の“家族”に“共有”される可能性を持つ。  

サトウアヤコ

「日常記憶地図」というのは、サトウさんが2012年に開発したメソッドです。白地図上で「よく行く場所/道」をなぞり、場所ごとの記憶を想起することで、ある時期の日常生活の中での場所との関係性を問い直します。また、このメソッドを通して、その人自身にとっての世界の範囲が白地図上に浮かび上がり、俯瞰的に眺めることができるようになります。

「場所の記憶」は、人との記憶や出来事の記憶に比べ、想起されづらい「弱い記憶」かもしれないけれど、記憶を語るときに想起されるものの中に風景があります。それゆえ、地図をなぞる時に、人は記憶の中を歩いているのかもしれず、描かれた軌跡や語りはその記録でもあるとサトウさんは考えます。

動画「日常記憶地図」を描く

TOKASのOPEN SITEプログラムとして実施

展示「日常記憶地図『“家族”の風景を“共有”する』」はTOKASの「OPEN SITE 7」のプログラムの一つとして実施されています。「OPEN SITE」とは、本展の展示会場である〈TOKAS本郷〉の運営を行う〈トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)〉による公募プログラムで、2016年から毎年行われています。

あらゆる表現活動が集まるプラットフォーム〈OPEN SITE〉の構築を目指し、展覧会やパフォーマンス、ワークショップなど、多岐にわたる企画を募集しています。2022 年度は、135 企画の応募の中から展示部門5企画、パフォーマンス部門2企画、dot 部門2企画が選出されました。本展は、シンポジウムやワークショップなどを対象にした「dot部門」で採択されたプログラムです。

ワークショップとトークイベントは事前予約制。※申込受付終了

二人一組で参加するワークショップ「日常記憶地図インタビュー」は2022年11月23日(水・祝)と、11月27日(日)の11:00~13:00に開催されます。
※申込受付終了。イベント実施時は通常の展示はご覧いただけません。

対象は、“家族”の「場所の記憶」を知りたいと思っている人と、その人の“家族”。“家族”は、親や兄弟姉妹、親族やパートナーなど、“家族”と思っている人なら誰でも大丈夫です。

ワークショップでは、サトウさんが申込者の“家族”の「場所の記憶」を聞き取り、は「日常記憶地図」を作成します。これまで近くにいた人の、知らなかった一面を知ることができるかもしれません。後日、サトウさんが制作したまとめが送られてきます。

また、2022年11月26日(土)14:00~16:00のトークイベントでは、〈こここ〉で『砕け散った瓦礫の中の一瞬の星座 -ケアと表現のメモランダム-』を連載している文化活動家・アサダワタルさんをゲストに迎え、家族やケアについて考えます。「“家族”の風景を“共有”する」と題して、「日常記憶地図」プロジェクトをふりかえりつつ、他者としての“家族”、記憶と想起、ケアについてなど、アサダさんのこれまでの活動とも交差させながらトークを行います。

過去の記憶をたどり、土地の記憶を眺めることが、人生と向き合うきっかけや、家族のことを改めて考えるきっかけになるかもしれません。トークイベントとあわせてぜひお楽しみください。