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古代から現代までの”異性装”を紹介する企画展「装いの力-異性装の日本史」開催中。〈渋谷区立松濤美術館〉で10月30日まで
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〈渋谷区立松濤美術館〉が、企画展「装いの力-異性装の日本史」を開催中
男性か女性か。長い間、性別は生物学的に区分された2つのどちらかに属するとされることが、主流の考え方でした。しかし、近年では性的マイノリティを表す「LGBTQ」が広く知られるようになり、性の多様さや複雑さについて考える機会も増えたのではないでしょうか。
また、「SOGI」「SOGIE」という言葉に表されるように、「性自認」「性的指向」「性別表現」など、出生時に割り当てられた性別だけでなく、性のあり方にはさまざまな要素があることも少しずつ知られてきています。
一方、古くから人間は、社会的・文化的な記号である衣服を用いて、二者択一で捉えられてきた性別の境界線を越えようとしてきた歴史があります。
東京都渋谷区にある〈渋谷区立松濤美術館〉では、古代から現代までの異性装を紹介する企画展「装いの力-異性装の日本史 The Power of Clothing: History of Cross-dressing in Japan」を開催中。2022年10月30日(日)まで、数々のイベントと共に「装いの力」について考える機会を設けています。
古代から伝わる異性装のエピソード
日本には、異性装にまつわる数々の神話や逸話が存在します。『古事記』に記されている古代日本の皇族・ヤマトタケルをはじめ、異性装をした歴史上の人物が存在する他、能や歌舞伎では異性装の風俗・趣向を反映した芸能も数多くあります。
異性装者を社会的に排除する条例ができた時期もありましたが、現代まで異性装が消えることなく続いてきました。
現代までの異性装をさまざまな作品を通して紹介
本展では、絵画・衣装・写真・映像・漫画などさまざまな作品を通して各時代の異性装を紹介。男性か女性かの二者択一ではない、性の越境を可能にする「装いの力」について考察します。
展覧会は1章から8章で構成されており、古代から現代までの異性装の移り変わりやこれからについて探ることができる内容になっています。
1章は「日本のいにしえの異性装」。日本で異性装について言及された最古の例と言われる『古事記』のヤマトタケルをはじめ、平安末期から室町時代までの神話や創作物語の紹介。また、実社会において役職や立場から異性装をした人々について紹介します。
また、2章「戦う女性ー女武者」では、戦場で戦うのは男性の仕事と考えられていた時代において、甲冑を身に着け武具を持った女性を題材にした作品を展示。
3章「“美しい”男性-若衆」では、成人前の中性的な容姿を特徴とした若衆の姿を描いた作品、彼らの美意識を反映したかのような振袖を展示し、性の越境を示唆する若衆の姿を紹介します。
そして、4章「江戸の異性装-歌舞伎」では安土桃山時代から江戸時代にかけて人気を博した歌舞伎に着目し衣装を展示。5章「江戸の異性装 物語の登場人物・祭礼」においては、『南総里見八犬伝』や『青砥稿花紅彩画』といった現在にも読み継がれる小説や合巻などの読み物を取り上げます。
さらに6章「近代における異性装」では、文明開化の名の下に慣習や文化、制度が刷新されたことから、現在の軽犯罪法に当たる条例に異性装禁止の項目が含まれた背景を踏まえ、その中でも失われることなく人々を魅了した異性装について紹介します。
ジェンダーやセクシュアリティを考える、現代の異性装
古代からの異性装を振り返った上で、7章「現代における異性装」と最終の、8章「現代から未来へと続く異性装」では、いよいよ現代そしてこれからの異性装について考えを深めます。
8章では日本を代表するアーティスト・森村泰昌さんが有名映画女優に扮したセルフポートレートの連作「女優シリーズ」作品や、メディアアーティストグループ〈ダムタイプ〉の『S/N』記録映像などを展示します。『S/N』は「Signal/Noise」を意味し、ジェンダー、エイズ、セクシュアリティを軸としながら、パフォーマンスを通してジェンダーや人種差別などあらゆる問題を問いかけます。
また、日本におけるドラァグクイーン黎明期に、グロリアス(古橋悌二)、DJ Lala(山中透)、シモーヌ深雪らによって始められた、ドラァグクイーンをフューチャーしたダンスパーティー“DIAMONDS ARE FOREVER”メンバーによる、本展のためのインスタレーションも展示。社会的・文化的に定められたジェンダー規範を打破する表現を届けます。
会期中は、「学芸員によるギャラリートーク」が開催されます。事前申し込みは不要(ただし要入館予約)のため、どなたでもご参加可能です。
異性装の系譜を辿り、「男/女」の二者択一ではない多様な性がどのように表現されてきたかを知り、性と装いのあり方について考えてみてはいかがでしょうか。
information
装いの力-異性装の日本史 The Power of Clothing: History of Cross-dressing in Japan
会期:2022年9月3日(土)〜 10月30日(日)
※会期中、一部展示替えあり
会場:渋谷区立松濤美術館 (東京都渋谷区松濤2-14-14)
開館時間:午前10時〜午後6時 (毎週金曜日は午後8時まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
※土・日・祝休日・最終週は「日時指定予約制」
入館料:一般1000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円 (80円)
※( )内は渋谷区民の入館料
※土・日曜日・祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付添の方1名は無料
休館日:月曜日(ただし、9/19及び10/10は開館)、9/20(火)、10/11(火)
主催:渋谷区立松濤美術館
学芸員によるギャラリートーク
10月16日(日)
各回14:00〜(約40分)
※無料(要入館料)事前の申込みの必要はありません(要入館予約)
お問合せ:渋谷区立松濤美術館
電話:03-3465-9421
FAX: 03-3460-6366
Webサイト:公式ページ
Information
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