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〈だいかい文庫〉〈豊岡劇場〉の2拠点で、ユースセンター「本と映画 テルル」が始動。10月20日まで月額サポーターを募集
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【写真】だいかい文庫の本とコーヒー

「本と映画 テルル」のマンスリーファンディングが始まる!

2024年7月、兵庫県豊岡市にユースセンター「本と映画 テルル(以下、テルル)」が誕生しました。私設図書館の〈だいかい文庫〉と映画館の〈豊岡劇場〉にて、10代限定の入館日が設けられています。

それに伴い、9月1日(日)〜10月20日(日)の50日間に渡って、月25万円かかる運営費の基盤をつくるため継続寄付者100名を募るマンスリーファンディングに挑戦します。

【画像】テルルの紹介チラシ

本を介して関係性を紡ぐ場〈だいかい文庫〉

「テルル」を運営するのは〈一般社団法人ケアと暮らしの編集社〉。“ケアするまちをデザインする”をミッションに、街に暮らすことで健康になっていく社会づくりを目指して、活動する組織です。

特徴的なのは、医療や介護関係者のみならず、街にいる人々とともに実践を重ねてていること。孤独、生きがい、役割、過疎地域での医療、地域共生社会の実現など、病院だけでは解決することのできない課題に対して、まちちづくりやアート、デザインといったこれまで医療とは遠いとされてきた分野の方ともコラボしてきました。

例えば、みんなで作る私設図書館であり本屋の〈だいかい文庫〉は、入館自由で、思い思いに本を読んだり買ったりすることができます。また、週3回、「居場所の相談所」を開き、何かあったときに、暮らしのことやケアのことを相談できる、“まちの保健室のような場所”として使われてきました。

本を媒介にして気兼ねなく人と話をしたり、居ることができたりする関係性を紡ぐ場として評価され、2022年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

【写真】だいかい文庫の外観、ガラス扉の向こうに本の並んだ棚が見える
JR豊岡駅から徒歩10分ほど、商店街の中にある〈だいかい文庫〉

〈だいかい文庫〉に届いた10代のリアルな声

2020年12月のオープンから2024年7月までに、〈だいかい文庫〉の来館者数は、のべ15,000人以上。「居場所の相談所」への相談件数は1,200件にのぼります。その後、102件は社会的処方として、関係機関に繋がりました。

その中では、10代からの声も多く届いたそうです。

「学校帰りの電車待ちの間に、待っていられる場所がない」
「家に帰っても、学校でも、ひとりで自分の時間を自由に過ごせる場所がない」
「学校以外で、同世代・少し上の先輩と話せる場所がない」

また、豊岡市内にはフリースクールが1拠点のみしかないなど、学校へ行っていない子どもの居場所も不足しています。

【写真】だいかい文庫利用の様子

〈だいかい文庫〉と〈豊岡劇場〉で始まった「テルル」

こうした声から、〈だいかい文庫〉が新たに始めたのがユースセンター「本と映画 テルル」です。

「テルル」は〈だいかい文庫〉と、そこから徒歩5分ほどにあるコミュニティシネマ〈豊岡劇場〉を加えた2か所が拠点になります。

〈豊岡劇場〉は兵庫県北部但馬地域唯一の映画館で、地域のみなさんからは「豊劇(とよげき)」として親しまれています。映画上映会だけではなく、イベント用の貸館や豊岡演劇祭などの演劇舞台、ウェディング用の撮影など、映画に止まらない使い道を広げながら、「みんなの豊劇」を未来に残すために模索しています。

【写真】豊岡劇場の内観
2012年、2022年に2度の閉館を経て復活した〈豊岡劇場〉。建物は「豊岡復興建築群」の一つでもあり、レトロ感あふれるミニシアターになっている

目指すのは「どこでもドア」のようなユースセンター

「テルル」は、本や映画による多様な物語を入口に、10代の子どもや若者自身の世界が広がっていくきっかけが生まれる場所になることを目指しています。

〈だいかい文庫〉は毎週月曜日10〜19時、〈豊岡劇場〉隔週木曜日10〜15時に10代限定の入館日を設定。入館無料、映画も無料で、飲食持ち込みOK。また、電源・Wi-Fiありの空間で、一人で、友達と、気まぐれに訪れることができます。

「テルル」として開館している日に利用できるのは10代のみ。また、「テルル」にいる全員が安心安全に過ごせるよう、10の約束が設けられました。年齢制限や約束事があることで、安心して過ごせる居場所になることを目指しています。

【画像】1 わたしたちは、ひどい言葉でバカにしたり、怒鳴ったり、暴力はしません。2 わたしたちは、誰かを特別扱いしたり、差別をしません。3 わたしたちは、あなたがどんな感情を持つことも、否定しません。4 わたしたちは、勝手に体をさわったり、性的なことをしたり言ったりしません。お互いのパーソナルスペース(安心できる距離や空間)を守ります。5 わたしたちは、あなたの家族や肩書きであなたを判断しません。6 わたしたちは、あなたのやりたいこと・決めることを否定しません。7 わたしたちは、あなたの顔や体の写真・動画を勝手に撮ったり、使ったりしません。8 わたしたちは、テルル以外の時間に勝手にあなたに連絡しません。9 わたしたちは、個人的なお金のやり取りをしません。10 わたしたちは、あなたの了解なしにあなたの話を他の人に伝えません。
「テルルにいるわたしたちの10の約束」

2024年7月から運営が始まったばかりですが、すでに36名の10代が〈だいかい文庫〉を利用しており、「地域での需要を感じている」と運営スタッフの方も話します。認知が広がれば、ますます利用者は増えていきそうです。

「本と映画 テルル」の機能は、物語を通じてまるでどこでもドアのように新たな世界を開くことによって、10代の視野や生き方を広げるきっかけを提供することです。
映画や本、人や体験と出会い、世界を広げていく。
もちろん戻ってきてもいいし出て行ってもいい。
小さな挑戦をしてみようと思え、社会への信頼性が生まれる。生き方と他者とのつながりがひらき、生き心地がいいと思えるような場所を目指しています。(一般社団法人ケアと暮らしの編集社 代表理事 守本陽一)

10代の居場所のサポーターになりませんか

「テルル」の運営費用は、1回約4万円、月に25万円ほどです。現在は開催回数に限りがあり、豊岡市内のだいかい通り周辺に拠点があるため、近場に住む一部の10代にしかリーチできていないのが現状です。また、長期休暇などで10代がまちに出る機会が多い時期は、落ち着いて座れるスペースがない場合もあります。

現在は助成金で運営していますが、期限があるため、今後も運営を続けるには毎月一定額の寄付で応援してくれる方が欠かせません。そこで、運営元の〈一般社団法人ケアと暮らしの編集社〉への継続寄付者を100名、2024年10月20日まで募集しています。

集まった寄付は、「テルル」運営維持費のほか、〈一般社団法人ケアと暮らしの編集社〉の活動費・事業拡大費として活用予定です。

マンスリーファンディングを実施するのに合わせて、9月には東京で〈NPO法人PIECES〉ファウンダーの小澤いぶきさん、精神科医の森川すいめいさんを招いたトークイベント、また豊岡(豊劇)では映画『みんなの学校』のチャリティー上映イベントを開催予定です。

詳細はinformation欄をチェックください。