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国籍・世代・身体の違いを超えた、オランダと日本の共同制作ダンス作品『UNUM』が5月21日から大阪・神戸・京都で上演
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【画像】ベンチに一列に座った人たちが、隣の人の肩に頭をあずけている写真。写真の中央に、公演のタイトルが白地でのっている
オランダと日本で共同制作された新作『UNUM』が、2025年5月21日(水)の大阪公演を皮切りに、3都市で上演されます

さまざまな違いを超えて共同制作されたダンス作品『UNUM』

国籍・世代・身体の違いを超えて、オランダと日本で国際共同制作されたダンス作品『UNUM』が大阪・神戸・京都の3都市で上演されます。

振付は、インクルーシブな創作の第一線で活動する、エイドリアン・ルテインさんと松岡大さん。2025年5月21日(水)に大阪・関西万博内のEXPOナショナルデーホール(大阪府大阪市)で世界初演を迎える『UNUM(ウヌム)』では、異なる身体的特性をもつダンサーとその家族が共演します。

その後同作品は、5月24日(土)・25日(日)に神戸文化ホール(兵庫県神戸市)、5月27日(火)にロームシアター京都(京都府京都市)にて上演。神戸と京都では、『UNUM』に加えて、障害のある人やホームレスを経験した人など、多様なバックグラウンドを持つ8名のダンサーによる『lungo(ユンゴ)』も同時上演されます。

【画像】黒い衣装を着た人たちが、手を上げたり上をむいたりしながら踊っている様子
『Iungo』撮影:Masabumi Kimura

インテグレイテッドダンス作品『UNUM』

今回初演される『UNUM』を制作したのは、オランダを拠点に障害のある人や高齢の人とともに作品を創作してきた、INTRODANS(イントロダンス)のエイドリアン・ルテインさんと、日本国内で同様の活動を推進してきたLAND FESの松岡大さんです。二人の共同振付のもと、オランダと日本のダンサーがコラボレートします。

ラテン語で「ひとつ」を意味する『UNUM』は、インテグレイテッドダンス作品でもあります。インテグレイテッドダンスとは、障害の有無に関係なく、多様な身体性を活かし、新たな価値を創造するダンスのこと。偏見をなくし、エンパワーメントをもたらす表現方法として、世界的に注目を集めています。

出演者と作品の見どころ

『UNUM』に出演するプロダンサーは、INTRODANS所属のダンサーAngelica VillalonさんとMark van Drunickさん、貞松・浜田バレエ団所属のダンサー後藤俊星さんと山本小海さん、そしてかんばらけんたさんと、森田かずよさんの6名です。

みどころのひとつは、異なる身体的特性を持つプロダンサーと、それぞれの家族(親または子)が共演するところ。家族の記憶や親子の感情に焦点を当て、ダンサーたちが新たに一つにつながります。もう一つは、オランダ、カナダ、日本各地から出演者が集い、国境も世代も超えた多様な身体が混じり合うこと。互いを尊重しながらともに踊る姿は、異なる他者とともにある、共生社会のあり方について観客へ問いかけます。

ダンサーと出演家族が集合して、片腕を上にあげてこぶしの方を見るという同じポーズをとっている写真
親子が共演する『UNUM』

神戸と京都で上演される『lungo』は、ルテインさんが演出・振付を手掛けた作品です。INTRODANSとLAND FESの初の共同制作作品として、2024年に東京で上演されました。“lungo”はラテン語で「つなぐ」ことを意味する言葉。障害のある人やホームレス経験のある人を含む多様なバックグラウンドを持つ8人のダンサーを結びつけることを意図した本作品に出演するのは、泉葉子さん、片山夏波さん、川合ロンさん、小磯松美さん、小暮香帆さん、坂田尚也さん、野村雅弘さん、森田かずよさんです。

2作品に出演する森田かずよさんは、「二分脊椎症・側湾症」を持って生まれたダンサー・俳優として、様々な舞台や映像作品で活躍しています。大学院の修士課程に在籍し、研究の場にも身を置きながら、異なる言語や身体を持つ人たちが集まる創作の場における問いや葛藤などを綴った「森田かずよのクリエイションノート」を〈こここ〉で連載。今回は森田さんの母親と舞台で初共演されます。

【画像】母と見られる女性が、森田さんの背中と肩のあたりに触れながら、上半身を密着させている
『UNUM』の稽古をする、森田かずよさんと森田さんの母

大阪・神戸・京都、各都市のプログラム

今回の上演は、3都市を巡るツアー公演です。各開催地では、異なるプログラム構成で上演が行われます。

・大阪
5月21日(水)、大阪・関西万博にて、オランダ王国公式プログラムとして『UNUM』が世界初演されます。万博にてオランダ館が掲げるテーマ『コモングラウンド』ーー“共に分かち合い、新しい価値を生み出す”というビジョンとも響き合う、今回の作品。大阪・関西万博のチケット(有料)をお持ちの方は、無料で公演を観覧できます。

・神戸
◎オムニバス公演
5月24日(土)に神戸文化ホールで開催されるオムニバス公演では、『UNUM』『lungo』に加えて、オランダを代表する振付家イリ・キリアンの傑作『6 Dances』を含む、5つのプログラムを上演します。

【画像】右端に白い衣装を着て身体をのけぞらせた女性、隣に、ひょっとこのようなメイクをした男性、女性に向かって、前後に足を開いてジャンプをしたもう一人の女性が片手を伸ばし、何か訴えているように見える
『6 Dances』 撮影:古都栄二(テス大阪)
【画像】真正面を見据えた半裸の男性が片足を上げ、上げた足の膝のあたりから手をパーにしてだしている
『Takadame』EoS24 撮影:Introdans Filibert Kraxner

◎アクセシビリティ公演
翌5月25日(日)には、同じ神戸文化ホールでアクセシビリティ公演を開催。障害のある人も身近に作品を楽しむことができるよう、舞台上に客席を組んだ仕様にステージをアレンジします。また、手話通訳と要約筆記、上演中の音声ガイド、車椅子でのスムーズな鑑賞などの鑑賞サポートも実施。本公演では、『UNUM』と『lungo』の2作品のみ上演します。

・京都
5月27日(火)に、『UNUM』と『lungo』の2作品をロームシアター京都にて上演します。また翌日には、ルテインさんによるダンスワークショップも開催。創作のプロセスにも触れることができます。(定員に達したため応募は締切)

【画像】中央の2人のダンサーを囲むように、周りの人達もそれぞれに踊っている様子
ワークショップ風景 撮影:Masabumi Kimura

国籍、世代、身体など異なるものを超えた創作でありながら、親子というとても近い存在にも焦点があたる作品『UNUM』。どのような記憶や感情がダンサーの身体からつむぎだされるのでしょう。気になる方はぜひ、会場へ足をお運びください。