こここ編集部より
4年目から先はどこに向かう? 〈こここ〉3周年パーティーを振り返りながら
レポート
みなさんにとって、「3年」とはどんな時間でしょうか?
ふと3年前の自分を振り返ってみると、いる環境も考え方も、今とはかなり違うことに気づいて「ずいぶん遠くまできたなぁ」と思うことがあります。
一方で、何かを積み上げ、形にしていくことを思うと、3年なんてあっという間だったりもします。続けるのに必死で、まだまだ手応えなんてない時期……といった感想を抱く方も多いかもしれません。
さて、今回のブログは、先日レポート記事も出した〈こここ〉の3周年イベントの前後のこと。当日の内容(活動報告&クロストーク&交流会)については、ライターの遠藤ジョバンニさんが丁寧に書いてくださったレポート記事をぜひご覧ください。
そのうえで、運営していたひとりの編集者の目線から、「なんで3年経った今、この企画をしたの?」「パーティー以外にどんなことを考えてるの?」などを、イベント写真のアザーカットとともに振り返ってみます!(編集部・佐々木将史)
「3周年どうしよう?」
〈こここ〉が誕生したのは、コロナ禍真っ只中の2021年4月。スタート時の編集メンバーは5名、数カ月後に佐々木が加わって6名の体制で、現在に至ります。
当初は編集長以下、あまりメンバー個人が前面に出ることをしていなかったのですが、定期的に振り返り座談会の記事を出したり、1周年では〈神田ポート〉でリアルイベントを開催したり、「イッピン市」としてさまざまな場所に出店したりと、“個と個”のつながり、広がりも意識して活動するようになりました。
記事の企画も、今なお「次はあそこに行きたい!」「この人にも話を聞きたい!」とどんどん出てくるし、連載などのご相談をいただく機会も増えてきています。ただ、勢いで走ってきた部分もあるなかで、関係者に本来不要だったご苦労をかけた出来事もゼロではありませんでした。取材を通じ新しい視点をいただくことで、「あの時こうしておけばよかったかも」「もっと違うアプローチができたかも」と後々考えることも何度もありました。
「〈こここ〉で学んだことを自分たちの運営にも生かして、もっと良い媒体になるようにしたい」。そんなみんなの思いが、編集部内での「3周年どうしようか?」という2024年の年はじめの話題を通じて、制作環境や“個と個”の関係性を改めて見直す4年目にしよう、という動きになっていきました。
具体的には、レポート記事にもあった「パートナーシップ」を含む3つのプロジェクトが編集部内で進行しています。
「こここパーティー」は、まさに「パートナーシップ」チームの一貫として企画したもの。お世話になっているライターさんもイラストレーターさんもフォトグラファーさんも、それぞれ出会い方が異なるので、人によってご説明しきれていないことや、ニュアンスを伝えきれていないことがあったり、特定の編集部員以外に、つながりのないクリエイターさんがいたりすること(その閉鎖性が結果的にもつ危うさ)が、やはり気になっていたからでした。
そこで今までの恩返しも含めて、トークを楽しんでもらったり、交流を深めてもらったりする場として、あえてセミクローズドの場にご招待。会場に車椅子で来られることや、文字起こしツール、手話通訳の手配など、アクセシビリティについては参加者の方々にあわせて対応させていただきました。
東京開催のみだった点は非常に申し訳なかったのですが、アーカイブ配信や参加者のリストを共有する仕組みをご用意しました。これらの企画・準備を、編集部の岩中可南子さん、中田一会さん、そして佐々木で主に担当しています。
もちろん、「パートナーシップ」チームとしての活動は、今回のパーティーで終わりではありません。制作パートナーのみなさんと今後もどうやって良い関係を築いていけるか、そのために気を付けるべきことや必要なものは何かを考えていきたいと思っています。
「マネジメント」「アウトリーチ」チームも始動
「パートナーシップ」以外にも、「マネジメント」「アウトリーチ」チームも動いています。活動報告の場でもあまり触れられなかったので、こんなこと考えてますよ!というのを少しだけご紹介します。
「マネジメント」チームは、記事制作をはじめとする媒体の運営体制を見直そうとしています。メディアミッション、各種指標などを改めて整理しながら、記事ラインナップの構成を考える予定です。一方で、編集部や関係者がトラブルに巻き込まれた(あるいは当事者になった)ときの対応をどうするか、などのリスクマネジメントにも目を向けています。
これは主に、編集者の垣花つや子さんを中心に、中田さんと佐々木で担当。創刊時イメージしてなかった広がりも生まれているなかで、自分たちが何に支えられここまで来れたのか、マガジンハウスとしてこのメディアを運営する意義も含めて、1年かけて捉え直していこうとしています。
「アウトリーチ」チームでは、メディアをより外に届けていくための施策を考案中です。具体的にはパンフレット制作や媒体資料など、〈こここ〉の活動を可視化できるアイテムをつくったり、「イッピン市」などの読者とつながれるイベントの“型”を増やし、全国で展開できそうな形を模索したりしています。
特に後者については、9月末に大阪で一般参加型の「読書会」を計画しています(詳細は8月ごろ発表予定!)。ある程度定期的に、あちこちで開催することで、直接つながる人を増やしていく。あるいはコラボさせていただける先を増やすことで、その先につながれる人を増やしていくイメージです。
こちらは編集者のちばひなこさん、こここプロデューサーの及川卓也さん、中田さんが担当しています。
目まぐるしく変わる世の中で、これからも伝え続ける
途中から編集部メンバー紹介、3周年イベントのアザーカットのお蔵出しも兼ねて、4年目への動きを紹介してみました。
書いていくうちに、あれもこれもできてない……という思いが出てくる一方、紹介した3周年パーティーの写真の中にはさまざまな分野で頼りにできる方々が写っていて、「困ったら相談しよう」「話してみることから始められる関係をつくりたい」という気持ちも改めてわいてきます。クロストーク中、24年間世の中に発信を続けてきた〈クリエイティブサポートレッツ〉の久保田翠さんに、「伝え続けることに意味があると思うから、失敗を恐れずに進んでほしい」とエールをいただいたことも思い出しました。
冒頭に書いた「3年」という時間を、最後にもう一度考えてみます。編集部一人ひとりに重ねて振り返ってみると、人生のステージが変わったように映るメンバーは少なくありません。自分自身も、3年前を思い出すことが難しいぐらい環境が変わってきました(家族との暮らしのこと、仕事の分野やスタイルのこと、住んでる地域のこと全部です。去年書いたブログすら、遠い過去のように思えてくる……)。
その中で、創刊1年目のメンバーが変わらず4年目も〈こここ〉にいるのはなぜなのか。何ならそのコミットメントがますます高まっているように見えるし、今後もメディアが続いていくように一人ひとりが動いているのはなぜなのか。世の中がめまぐるしく変わるなかで、何か人の拠り所になる可能性を〈こここ〉は秘めている気もしてきます。
それがどういうことか、今すぐに言葉にはできませんが、とはいえまだまだ「3年」。しばらくは変化を楽しみながら、前へ前へと進んでいくフェーズが続くのだろうと思います。まずは3周年パーティーにご協力・ご参加いただいた方に心からの感謝を伝えながら、次の1年で今とまた違う景色の広がりを目指して、4年目も発信を続けていけたらと思います。
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