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アートを軸にした活動を行う福祉事業所〈アトリエにっと〉が初の写真展を開催。12月10〜13日東京都台東区にて
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カメラを向ける先に、社会と繋がる入口がある

「あ、いいな」と思ったとき、ついシャッターを切りたくなる。そんな感覚に馴染みがある人も多いかもしれません。レンズを通していつもの世界をを見つめ直すことは、「美しさ」や「良い」と思う自分の感覚や、日常のなかにあるきらめきに気づかせてくれます。

東京都江東区を拠点とする、アートに特化した就労継続支援B型事業所〈アトリエにっと〉には、写真が好きなメンバーが集まった写真部があります。この写真部が、2025年12月10日(水)〜12月13日(土)に東京都台東区にある〈ZEROラボ〉で初めての写真展を開催します。

写真部の顧問である写真家の紺野正瑛さんは、「写真を撮るという行為は、単に『シャッターを切る』こと以上の意味を持つ」と言います。カメラを向けることで、社会と繋がる。その小さな実験のような写真展です。

〈アトリエにっと〉写真部の撮影会の様子

アートを軸に、個々の表現と働く場をひらく〈アトリエにっと〉

〈アトリエにっと〉は、〈一般社団法人FUKU・WARAI〉が2024年1月に江東区で開設した、アートに特化した就労継続支援B型事業所です。法人代表の髙橋圭さんは関連会社の〈株式会社フクフクプラスにて〉、アートを軸にした障害のある人への就労支援・収入支援事業も行ってきました。また、同社の共同代表が「シブヤフォント」や「アートパラ深川 おしゃべりな芸術祭」に関わるなど、障害のある人のアートが社会と接続する仕組みづくりに取り組んでおり、その知見をもとに誕生したのが〈アトリエにっと〉です。

「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭」の開催地であり、東京都現代美術館に近い東京都江東区に〈アトリエにっと〉はあります。日々の創作活動は、メンバーそれぞれのペースや興味を尊重しながら進められます。アート制作に集中できるスペースを設け、手掛けられた作品たちは企業へのレンタルや、研修、コラボレーション企画に活用。

種別や度合いによらず、作られた作品を仕事として成立させ、さらにそこから企業との対話が生まれたり、活動の中で自分の表現を理解してもらう機会が広がったりするなど、社会と繋がりを生み出す場でもあります。

そうした日々の中から生まれたのが、今回の写真展の主催となる〈アトリエにっと〉写真部でした。

カメラを手にした瞬間から始まった、〈アトリエにっと〉写真部の挑戦

写真部は、施設で作品撮影を担当していた写真家・紺野正瑛さんが、活動記録を撮るなかで「写真が好きなメンバーがいる」と気づいたことをきっかけに始まりました。そうしたメンバーたちと「一緒に写真展ができたらいいね」という雑談のような会話からスタートし、やがて写真に興味のあるメンバーが集まり、気がつけば紺野さんは顧問の役割を担うことになったと言います。

しかし、いざ写真部の活動を始めようとしたとき、紺野さんにとっては当たり前の「カメラを持つ」という行為にも、ハードルがあることがわかりました。メンバーのなかには、「写真は好きだけれど、カメラを持っていない」「使い方がわからない」という方も。

そんな声を受け、紺野さんは自身の母校である日本写真芸術専門学校に相談し、一眼レフカメラを6台、コンパクトデジカメ3台の長期貸し出しを実現。メンバーがそれぞれカメラを持ち帰り、思い思いの場所で撮影に挑戦する日々が始まりました。

〈アトリエにっと〉写真部の撮影会の様子
〈アトリエにっと〉写真部の撮影会の様子

公園の植物、街の看板、いつも通る道の影。誰かにとっては見過ごしがちな景色が、メンバーにとっては心を動かす被写体になります。

写真部のメンバーが撮影した写真
写真部のメンバーが撮影した写真

今回の展示には、そんな写真の数々が並びます。写真展の会期中、もしかしたら写真をきっかけに新しい対話が生まれるかもしれません。それは〈アトリエにっと〉が目指す「表現を社会に繋げること」の、新しい一歩にもなり得るはずです。

写真展開催にあたり、紺野さんは自身のnoteにこのように書いています。

写真を撮るという行為は、単に「シャッターを切る」こと以上の意味を持つのではないかと感じています。人に声をかける、花や建物に目を向ける、街の風景を観察する。そうした一つ一つの行動が、社会と自分との繋がりを改めて気がつかせてくれるものです。今回の作品を通じて、メンバーがどこに興味を持ち、何に心を動かされ、どのような視点で世界を見つめているのか。その断片が浮かび上がる機会になればと思っております。

(引用:「アトリエにっと写真部 写真展 開催します!|写真家としての活動」)

メンバーが見つめた世界が、どのように写真として立ち上がるのか。初開催となる今回の写真展に、ぜひ足を運んでみてください。