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知的障害のある俳優たちを中心に結成されたオーストラリアの劇団〈バック・トゥ・バック・シアター〉。2023年10月に山口で公演、ワークショップも開催
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【写真】舞台上に直立した男性。両側に、椅子に座って外側を向いている男女がいる。

約5年ぶりの来日公演、キーワードは「AI」

知的障害のある俳優たちを中心に結成されたオーストラリアの劇団〈バック・トゥ・バック・シアター〉が、2023年10月14日(土)・15日(日)に〈山口情報芸術センターYCAM〉で『影の獲物になる狩人』を上演します。約5年ぶりとなる来日公演のキーワードは、AI。10月12日(木)にはワークショップ、14日(土)には芸術監督によるトークイベントも予定しています。チケットは8月12日(土)から発売です。

30年以上の歴史を誇る、知的障害のある俳優を中心としたカンパニー

〈バック・トゥ・バック・シアター〉は、オーストラリア南東部・ビクトリア州のジーロングを拠点に活動する劇団。30年以上にわたり、演劇作品の上演、さらには映像作品や書籍の発表など、多岐にわたる活動をしてきました。シーズン公演数は、国内83か所、国外116か所にも上ります。個性豊かなメンバーが描き出す作品は、国際的な高評価を得ており、数々の賞を受賞してきました。

【写真】真っ暗な舞台で、向かって右側を向いて立つ男性
©︎Kira Kynd
写真提供:Back to Back Theatre

もうひとつ、同カンパニーが2009年から力を入れているのが、ワークショップ「CAMP」です。演劇に関する知識や経験、障害の有無に関わらず、誰もが関われる演劇制作の場で、これまで34,000人以上が参加しました。

日本では、2013年に『ガネーシャ VS. 第三帝国』を初公演。2022年には、〈国際芸術祭あいち2022〉で映像作品『ODDLANDS』と『SHADOW』が上映されました。

今回の来日公演は、2018年に〈東京芸術劇場〉で上演された『スモール・メタル・オブジェクツ』以来、5年ぶりとなります。

「狩人」とは誰を指すのか。コミカルなやりとりで浮彫りになっていく社会問題

穏やかで温和な会議にしましょう。お互いを尊重するように。
個人攻撃はしないこと。
事を荒立てないように。
—サイモン

今回上演される影の獲物になる狩人』は、挑発的な作品。障害のある3人の活動家が周辺住民を集め、ミーティングを開きます。話題は「AIの、人類に対する脅威」。やがて3人の会話に音声を認識するAIが入ってきて、ミーティングのテーマは思わぬ方向へ進んでいきます。

【写真】真っ暗な舞台の中央に立つ役者にスポットライトが当たっている。両側には椅子に腰かける男性が2人。
©︎Kira Kynd
写真提供:Back to Back Theatre

登場人物たちのコミカルなやりとりが浮き彫りにするのは、差別の歴史や、性をめぐる権力構造。人権って何だろう。集団として決断をくだすとき、誰が責任を取るのだろう。社会における「狩人」は誰を指すもので、「狩られる」立場になったとき、何が見えてくるのだろう。本公演は、社会の根幹に疑問を投げかけ、自分自身や他者に対して持っている「前提」を揺り動かします。

創作過程が垣間見えるワークショップ開催!芸術監督のトークイベントも

公演を観るだけではなく、観客が実際に参加する機会をつくるのが〈バック・トゥ・バック・シアター〉のスタイル。今回は10月12日(木)19:00~21:00、YCAMにて、ワークショップ「ブリトニーの無意識」が開催されます。

講師は、〈バック・トゥ・バック・シアター〉の芸術監督であるブルース・グラッドウィンさんと、カンパニーの俳優たち。ともに体を動かしながら、演劇の創作過程が垣間見える内容となっています。

参加は無料。対象は10歳以上で、付き添いの方も参加可能です。
8月5日から、YCAMウェブサイト、またはYCAM1階の山口市文化振興財団チケットインフォメーションにてお申し込みできます。

【写真】暗い舞台上で、椅子を並べて座っている男性2人。一人が相手にスマートフォンのようなものを見せている
©︎Kira Kynd
写真提供:Back to Back Theatre

10月14日(土)の公演終了後には、グラッドウィンさん、そして九州大学大学院芸術工学研究院の長津結一郎准教授によるポストトークも開催(要公演チケット)。また、本作品は2023年10月7・8日に京都で開かれる「KYOTO EXPERIMENT 2023」でも上演されます。

〈バック・トゥ・バック・シアター〉が来日する、とても貴重な機会。ぜひ公演やワークショップを通して、彼らのエネルギーを肌身で感じてみてください。