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静岡県舞台芸術センター(SPAC)主催「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」が4月29日(土・祝)〜5月7日(日)まで開催
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演劇祭のメインビジュアル。青い背景に、躍動感のある横顔の女性
「ふじのくに⇄せかい演劇祭」がGWの7日間、静岡県内の劇場や公園などで開催されます

世界の舞台芸術に触れることができる演劇祭が、GW期間中に静岡県で開催

国内外の最先端の舞台芸術を体験できるイベント「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」が〈静岡県舞台芸術センター(SPAC)〉(静岡県静岡市)主催のもと、2023年4月29日(土・祝)から5月7日(日)まで開催されます。

2023年の「東アジア文化都市」に選ばれた静岡県。中国や韓国の話題作を中心に、先鋭的な現代劇やダンス、民俗芸能を取り入れた音楽劇などが上演されます。

「ふじのくに⇄せかい演劇祭」とは

「ふじのくに⇄せかい演劇祭」とは「ふじのくに(静岡県)と世界は演劇を通じて、ダイレクトにつながっている」というメッセージが込められた演劇祭です。

主催するのは、静岡県が設立した劇団である〈静岡県舞台芸術センター(SPAC)〉。舞台芸術作品の上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業の目的とし、1999年に世界の舞台芸術の祭典「第2回シアター・オリンピックス」を開催。この成功を受け、2000年より「Shizuoka 春の芸術祭」を毎年行い、国内外から優れた舞台芸術作品を紹介してきました。

〈SPAC〉が活動15周年を迎えた2011年から名前を「ふじのくに⇄せかい演劇祭」と改め、静岡県の文化政策である「ふじのくに芸術回廊」と連携しながら、世界の最先端の演劇やダンス、映像、音楽、古典芸能などを招聘し、静岡で世界中のアーティストが出会い交流する場を開いています。

WORLD THEATRE FESTIVAL SHIZUOKAの文字と、丸、風になびくような形になった四角、山型が縦に並んだ、フェスティバルのロゴ

おすすめプログラムのご紹介

静岡県が「東アジア文化都市」に選ばれた今年の演劇祭では、中国・韓国の話題作が5作ラインナップ。またフランスのオリヴィエ・ピィの注目作『ハムレット(どうしても!)』が来日します。〈SPAC〉芸術監督でもある宮城聰(みやぎ さとし)さんの代表作『天守物語』は駿府城公園内の特設会場で上演されるほか、東京パラリンピック2020開会式の演出で注目を集めたウォーリー木下さんの新作『χορός/コロス』も登場します。

たくさんのプログラムの中から、〈こここ〉がピックアップした2作品を紹介します。

・チョン・インチョル『XXLレオタードとアナスイの手鏡』
5月3日(水・祝)14:00、4日(木・祝)13:00
静岡芸術劇場

「大学入試を控えたジュンホは、女性用のレオタードを着て自撮りすることで心の安定を保っていた。しかし、教育熱心な母親や友人たちには言うことができない。ところがある日、ジュンホの自撮り写真が流出。一体誰が、何の目的で拡散させたのか?」

韓国の演劇作品である本作は、2014年に起きた旅客船・セウォル号沈没事故をきっかけに、事故で犠牲となった高校生たちが暮らしていたアンサン市の協力を得て製作されました。2015年から繰り返し上演され、2022年にはロンドンでも上演され話題に。「MeToo運動」やLGBTQへの世界的な関心の高まりやコロナ禍での価値観の変容など同時代的な感覚を取り入れながら、格差社会における受験や就職の悩みなど、今を生きる若者たちのリアルをポップに描きます。

左手前に携帯電話を耳に当て、不満がありそうな顔をしている制服姿の女性。右側の奥に鏡に自身のレオタード姿を映してる男性がいる
©︎ kisoul

・アン・ウンミ『Dancing Grandmothers 〜グランマを踊る〜』
5月7日(日)14:00/19:00 
静岡芸術劇場

同じく韓国のダンス作品。“韓国のピナ・バウシュ”とも評され、世界で活躍する振付家アン・ウンミさんは、故郷を巡る中で出会った「グランマ」たちが自由に踊る姿を映像に記録しました。

今回は静岡に暮らす「グランマ」たちと共演するスペシャルバージョンを上演。色鮮やかな光、映し出される韓国の風景とともに、それぞれ歩んできた人生を物語る体が混ざり合います。劇場はダンスフロアと化し、観客をも巻き込むダンスが演劇祭のフィナーレを飾ります。

華やかなダンスホールのライトの下で踊るグランマたち
© Young-Mo Choe

トークやミュージアム、お茶摘み体験など

会期中は、さまざまなトークや関連イベントも企画されています。5月5日(金・祝)16:30〜17:30は、宮城聰さんとアーティストや論客たちが「伝統ってなんだ?」をテーマに駿府城公園の開放的な空気の中でトークを繰り広げます(無料・予約不要)。

その他に、舞台芸術公園の入り口には、劇場建築の歴史をたどることができる「せかいの劇場ミニミュージアムてあとろん」がオープン。お茶摘み体験など、家族や友人と参加できそうなイベントもあり、一日中楽しむことができそうです。

お茶畑の真ん中に目玉と鼻と口をデフォルメしたようなキャラクター、その周りに老若男女がお茶を入れるカゴを持ってこっちを向いて立っている

今年の演劇祭に寄せて、宮城聰さんは「ひとのせいにしなくていいっていいね!」というタイトルで、アーティストの役割をこのように語ります。

“この先、日本の人々が自己肯定感を持って生きるためには、自分の人生を何に使うかを自分で選ぶことがまず一番のポイントになるのではないでしょうか。そして多くの市民にとって、テレビでしか見られないような遠いところにではなく自分の身近に、人生を何に使うかを自分で選んだ人がいて、「そんな選択をしたら人生詰んじゃうのでは」と思いきや、なんとかかんとか生きている、という姿を目撃できれば、それが励ましになるのではないでしょうか。”

ぜひ静岡で、同時代を生きるアーティストの表現やその生き様に触れてみませんか。