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シェア型図書室×悩みに寄り添う相談所〈みんなの図書室ほんむすび〉が大阪府阿倍野に誕生! クラウドファンディングは5月23日まで
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本と人・人と人・人と町を結ぶ場所〈みんなの図書室 ほんむすび〉のロゴ画像

自分にとって特別&誰かに勧めたい“本”を陳列できる「シェア型図書室」

本を読み進めるごとに次なる展開にワクワクしたり、琴線にふれる美しい言葉とそのリズムに魅了されたり、「これは自分のバイブル的一冊だ」と確信したり。そんな心揺さぶる本との出合いはうれしいものであり、かけがえのない宝物になったりします。同時に「この本を誰かに勧めたい!」と思う人も多いのでは?

自分にとって特別な本を、誰かに“リアル”に手にとってもらえるシェア型図書室〈みんなの図書室ほんむすび〉が、2022年5月10日に大阪市阿倍野区にオープンしました。

すでに運営はスタートしていますが、空間の使い方をさらに充実させるためのプロジェクター、冷暖房設備、書籍購入などに充てる資金を集めるクラウドファンディングを実施中。終了は2022年5月23日です。

一箱本棚の写真
〈みんなの図書室ほんむすび〉店内の様子

この図書室は、“シェア型”というユニークな仕組みを採用しています。月額2500円の本棚オーナーになると、図書室内に自分だけの一箱本棚を持つことができ、自身のとっておきの本を自由に並べることができます。さらに「お店番」を体験できたり、月2時間まで空間を貸し切りにできたりと、さまざまなオーナー特典が用意されています。

一方、図書室を利用する人は、初回貸出利用登録料(500円)を支払うと、本棚の本を2週間無料で借りることができます。阿倍野区の聖天山公園から直接アクセスできる場所に立地しているため、天気のいい日は図書室で本を借り、公園で日向ぼっこしながら読書、なんていう過ごし方もすてきです。

聖天山公園内から望む〈みんなの図書室ほんむすび〉の画像
聖天山公園内から望む〈みんなの図書室ほんむすび〉。1階の外壁が板張りの建物が図書室

図書室のもうひとつの顔「暮らしの保健室」とは?

〈みんなの図書室ほんむすび〉にはもうひとつの顔があります。それは「暮らしの保健室」という悩みごとの相談所。

家庭や家族のこと、経済面、健康や病気のことなど、大小さまざまな暮らしの悩みや不安を持っている人も少なくないのではないでしょうか。それは簡単に人に打ち明けられるものではなかったり、話したくても誰に相談すればいいかわからなかったり、諦めて放置していたりすることがあるかもしれません。

ですが、かしこまらず気軽に相談できる場所があり、その思いを口にしたことでサポートの輪が広がり、さまざまな人が気にかけ、不安の解消や、解決への一歩につながるとしたら。〈みんなの図書室ほんむすび〉は、そんな社会的課題の解決にも挑むべく設立されました。

〈みんなの図書室ほんむすび〉のシステムを説明したチラシ

「暮らしの保健室」は、学校の“保健室”のような存在を目指しています。どんな悩みでも不調でも、まずは話を聞き、その問題や課題の解決に向けた地域ならではの社会参加につないでいきます。こういった活動を近年では「社会的処方」と呼びます。

そのため、図書室の店番台には本棚オーナーだけでなく、医療福祉従事者が座ることも。もちろん、図書室の利用だけが目的でもOK。相談がある人は、店番の人に話しかけて大丈夫。また定期的に「居場所の相談所(心身の悩み事相談・社会的処方)」も開かれ、相談を持ち掛けたい人は予約することも可能です。

なぜ、「図書室」×「保健室」なのか?

〈みんなの図書室ほんむすび〉を立ち上げた起田陽子さんは、理学療法士であり、一級建築士の資格所持者。かつて病院に勤務していた10年間のなかで、患者ともっと打ち解けあい、医療従事者ももっと寄り添い合うことができたら、快方に向かえたかもしれない事例をいくつも経験したそう。歯がゆい思いを抱え、医療の現場での限界も感じてきたといいます。

「町に、暮らしのなかに入っていかないと、そのような課題は解決できない」

そんな思いから「暮らしの場」をよりよくしようと一から建築を学び、2022年に建築設計事務所〈Rehabilitation Design Lab〉を設立。その事務所の一画に、誰もが気楽に訪れることができ、医療・福祉のプロフェッショナルと地域住民がつながり合い、本と人、人と人、人と町を結ぶ“社会的処方の中継点”をつくりたいと立ち上げたのが〈みんなの図書室ほんむすび〉です。

一箱本棚がたくさん並ぶ、図書室内の様子
本棚が完成したばかりの頃の店内の様子

この図書室の構想は、兵庫県豊岡市の〈だいかい文庫〉の仕組みを参考にしているのだとか。〈だいかい文庫〉は、シェア型図書館を医師が運営し、医療福祉従事者のスタッフが店番をし、定期的に地域住民の相談所を開く場所として2020年12月に誕生しました。

その事業内容に興味を持った起田さんは、さっそく視察を申し込みます。現地を訪ね、このような場所こそふらっと訪れ、何かあったときに頼れる場所であると確信。自身が実現したいものはこれだ! と気持ちが固まったといいます。

近年、医療に携わる人が地域に入り、地域住民の暮らしに関わり合いながら寄り添う活動が少しずつ広がり始めています。今は困りごとがなくても、必要になったときに「試しに相談してみようかな……」とふらっと訪れることができる場所の存在は、大きな安心感になるのではないでしょうか。

クラウドファンディングは5月23日まで! 支援者はもちろん、本棚オーナーとして参加してみてはいかがでしょうか?