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〈ソーシャルグッドロースターズ〉のバリスタがクラフトビールづくりに挑戦!〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉の醸造所併設ショップがオープン
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ローカルグッドエールの瓶ビール
〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉のベーシックライン「LOCAL GOOD ALE」は、普段クラフトビールを飲まない人も楽しめる、麦の香りがまろやかで苦味の少ないスッキリした味わい(アルコール度数4.3%、税込み680円)

方南町の新しいアイコンを目指して、地域と共につくるクラフトビール

2022年3月東京都杉並区方南二丁目に、障害のある人が醸造士として活躍するクラフトビールの醸造所〈HONAN LOCAL GODD BREWERS(方南ローカルグッドブリュワーズ)〉がオープンしました。

設立は、〈方南町ビールプロジェクト実行委員会〉。バリスタや焙煎士として障害のある人が活躍する〈ソーシャルグッドロースターズ〉を展開している〈一般社団法人ビーンズ〉と方南銀座商店街、NPO法人ふるさとネッツが協働して立ち上げました。

店舗外装の写真
3軒長屋の一角をリノベーションした、ガラス張りの店舗。働く人が主役であることを大切に設計された

丸ノ内線の終着駅のひとつ「方南町」は、商店街を中心に住宅街がひろがる地域です。しかし、商店主の高齢化が進み、日曜日はシャッターを閉める店舗も増えてきているという悩みも抱えています。そんな中、〈方南町ビールプロジェクト実行委員会〉による「福祉を絡めて街を活性化したい」「福祉を支えるのではなく、福祉に地域が支えられる取り組みをしたい」という想いの元、「新しい地域のアイコン」としてたどり着いたのがクラフトビールでした。

方南銀座商店街の一角に醸造所がオープンした後は、試飲会が重ねられ、商店街加盟飲食店へのクラフトビールの卸しも始まりました。また、平日に醸造したビールは、金・土・日に醸造所に併設した直販ショップにて購入することができます。方南町エリアの飲食店と直販ショップ限定で飲むことのできるクラフトビールとして販売されており、オンラインの販売はありません。

※その後オンラインストアも開設し、オンラインでビールが購入できるようになりました!(2023年6月追記)

瓶ビール写真
7月に行われた「ビアガーデンイベント」には1,000人以上が訪れ、クラフトビール初体験の人も楽しまれていたそう

現在販売されているのは、麦のうまみと香りを楽しむスッキリした味わいの「LOCAL GOOD ALE」、お酒に強くない人にもおすすめな微アルコールの「UNIVERSAL ALE」、食パンのような小麦の風味が豊かな「PAN ALE」、そして、地域の飲食店と一緒に開発した甘酒入りの「HONAN ALE」の4種類。

それぞれの味は、これからも地域の人たちとブラッシュアップしていくとのことです。

バリスタが作るこだわりの「クリーンカップ」な一杯

〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉でビールづくりを担うのは、ビール醸造に興味を持った〈ソーシャルグッドロースターズ〉の元バリスタたち。

方南町エリアに住む人や働く人など、地域の人たちと全国のクラフトビールの試飲会を重ね、一からクラフトビールづくりに挑戦しました。強い苦味や高いアルコール度数などの特色を持つ一般的なクラフトビールは、「慣れないと飲みにくい」という声も多かったそう。地域の人たちに愛されるビールとは何かを考えて、クラフトビール初心者でも楽しめる親しみやすいビールを目指しました。

そうしてたどり着いたのは、コーヒーづくりを行ってきたバリスタが作る「クリーンカップ」のクラフトビール。「クリーンカップ」は、透明度が高く、雑味のない特別なコーヒーに用いられる呼び名で、そんなクリアな味わいがビールでも再現されています。クリーンカップのビールは、麦芽本来のコクやホップの香りだけが抽出されていて、苦みやクセはあまりありません。食事に合わせても食べ物の味を邪魔せず、最後の一滴まで楽しむことのできるスッキリとした味が特徴です。

店舗内装
エジプト文明の頃からつくられていたとも言われているビールは、沸騰したお湯に麦を砕いた「モルト」を煮込み、発酵させて作ります。このお湯の温度や、モルトの細かさ、どう発酵させるかで味わいや香りが決まるのだそう

〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉のモルトは、コーヒーミルで挽き目をチェックしてから、ビール用の麦ミルで挽き加減を比べながら調整しています。これは、コーヒーを淹れる際に、挽き目のサイズや粒のそろい方が味を左右する経験を活かした調整方法です。また、バリスタとしてのキャリアの中で得た「液体を美味しくする」経験は、お湯の温度や抽出時間、ホップの香りへのこだわりなど、さまざまなところで活かされているのだそう。

ビールづくりのアドバイザーを務める、銀河高原ビール出身の醸造士柴田信一さんは口頭でのアドバイスのみを行い、実際に味や工程を決定したり、醸造の準備や調整をしたりするのは、全て障害のあるメンバーが担当しています。これは、〈ビーンズ〉が「自立支援」の一環として働く人が自ら決定する機会を大切にしているからです。

店舗受付側の写真
醸造士は現在5名。中にはビールが飲めないけれど、おいしいものを作ってみたいとこの仕事に関わった人もいるのだとか。挑戦したいという気持ちを大切に、自立支援の一環としてやりたい意志を重視して採用を行っている

人が中心のものづくりは、〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉の名前にも表れています。場所としての「ブリュワリー(醸造所)」が前に出るのではなく、ビールのつくり手である「ブリュワーズ(醸造士)」が主役であるという意味を込めてつけられました。

街全体が就労を支える。福祉に地域が支えられる取り組みを目指して

〈ビーンズ〉が目指すのは、福祉を支えるのではなく、福祉に地域が支えられる取り組みです。〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉では、利用者は醸造士としてビールづくりを行うだけではなく、店頭でビールを販売をしたり、今後はビールを卸してる商店街の飲食店で働いたりと、商店街のさまざまな場所が働く場になる可能性があると考えています。このように利用者が「活躍できる場所」を街全体に増やしていく仕組みづくりやサポートを行っていきたいと、〈ビーンズ〉代表理事の坂野拓海さんは語ります。

地域の抱える課題を福祉が支え、街で愛されるアイコンを地域と共につくり出す〈方南ローカルグッドブリュワーズ〉。一度そのビールを味わいに、方南町を訪れてみるのはいかがでしょう。