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患者や医療従事者とアーティストの協働作品展「ホスピタルアート FROM ギャラリー」2024年は11月26日(火)スタート!
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アーティストの描いた動物の絵が配されたチラシの表画像
〈大阪府立江之子島文化芸術創造センターenoco〉にて12月8日まで開催されます

「医療へのアートの力と可能性」をテーマにした作品展示とトークセッション

病院にいる患者やその家族、医療従事者などの心のケアにつながるとして注目されている「ホスピタルアート」。自然物が少ないこともあり、どうしても感性が刺激されにくい病院内の生活で、より安心して、心豊かに過ごせることを目指すアート活動です。

そうした医療へのアートの力と可能性をテーマにした企画展「HOSPITAL ART FROM GALLERY(ホスピタルアート FROM ギャラリー)Ⅱ」が、2024年11月26日(火)〜12月8日(日)まで、〈大阪府立江之子島文化芸術創造センターenoco〉にて開催されます。

本展覧会を主催するのは、医療現場へアーティストのコーディネートを行う〈ひといろ(HITO- IRO)プロジェクト 〉。多様なジャンルから6名の現代アーティストと協働し、様々な病院で展開してきたアート作品や、活動を伝えるストーリー、インスタレーションを展示。さらに医療とアートに関わる専門家やアーティスト、協力するメーカーの視点を交えたトークセッションも予定しています。

部屋の真ん中にベッドがあり、ベッドに入っている人が、壁に飾られた展示を眺めている
写真は昨年の展示風景 ©︎いまふくふみよ ©︎井上信太 ©︎尾柳佳枝 ©︎5SENSES+

ホスピタルアートとは?

ホスピタルアートとは、医療環境の中における、患者やその家族、医療従事者などをケアすることを目的にしたアートの実践です。

展覧会を主催する〈ひといろプロジェクト〉は、人が病院で生活する期間、豊かな色や質感を伴う体験が得にくいことへの懸念から、「色」や「アート」の力でできることをテーマに7年以上活動を展開してきました。

作品そのものが彩りや安らぎを与える効果も期待されますが、〈ひといろプロジェクト〉は作品の完成度以上に「アートを介した関わりの質」を重視。アートやアーティストと関わるプロセスで、医療の現場にいる人が表現をする機会を得ることや、新たな価値観に出会うことを大切にしています。

椅子に座った子どもが、手に握った道具で、青い紙に描いている様子
〈ひといろプロジェクト〉のワークショップ風景

具体的な活動として行っているのが、医療機関に展示するアートの制作です。ヒアリングや現地調査を行ったあとに、アーティストと病院を訪問し、病院で生活する方々と一緒にワークショップなどを通して作品を作り上げます。

また、ワークショップができない患者や施設のために、医療従事者から依頼を受けて作品を制作することも。「とてもしんどい状況にある子どもの個室用に、アートを作ってほしい」と相談を受けるなど、医療の大事な場面でも、アートの力を信頼して依頼されると感じることが増えているそうです。

通算6回目の開催となるホスピタルアート展「HOSPITAL ART FROM GALLERY Ⅱ」

展示アーティストの作品などが掲載されたチラシの裏面

個々の病院でのホスピタルアートを見聞きできる人は限られている一方、活動そのものへの感心は高まっています。「芸術活動に関わる人たちや、まだアートに接する機会がない医療従事者の方など様々な方へ、医療へのアートの実践を共有したい」と企画されたホスピタルアート展は、2018年に始まり、今年で6回目。〈enoco〉で行う「HOSPITAL ART FROM GALLERY」としては昨年に続く開催となります。

今回の作品は、架空の病室に見立てた2室で展示。ROOM2で展示される「WORK SHOP STORIES」に参加したアーティストは、池平徹兵さん、たかはしななさん、いまふくふみよさん、ヒガシテッペイさん、いしいまゆみさん、Reycaさんです。医療センター分教室と同じ地域にある中学校の児童・生徒が対面なしに共同制作を実現したアート作品や、白衣の製造時に出る残布を活用したエシカルなアート作品を展開した5つの事例などが展示されます。

もう1つの展示室、ROOM3「ART LABORATORY」では、病気や障害のある人を含む誰もの五感に響くアートを試みた、葛本康彰さんと5 SENSES+さんのインスタレーション作品が展示されます。

縦長の紙に、アーティストがさまざまな動物の絵を描く様子
病院での制作風景 ©池平徹兵

また、会期中の11月30日(土)には2つのトークセッションが開催されます。

1つ目のトークテーマは「『日々・あそび・つくる・自分らしさ』〜入院中の子どもとの関わりから」。〈ひといろプロジェクト 〉のアートディレクター川西真寿実さんが、〈大阪市立総合医療センター〉のホスピタルプレイスペシャリストである山地理恵さん、アーティストでエーラス・ダンロス症候群のたなかわこさんとともに、入院中の子どもたちとの関わりの中で育めるものを、それぞれの立場や経験から話します。

2つ目は「『社会とつながるホスピタルアート』〜白衣の残布活用プロジェクト〜」をテーマに、川西さんが、〈クラシコ株式会社〉代表取締役CEOの大和新さんとともに、〈クラシコ〉が白衣・スクラブを製造したときに出る残布を活用したプロジェクトについて、そのストーリーを語り合います。

様々な色の丸が入道雲のように積み上がった絵と、同じ素材を使用した白衣の背中部分が並んで展示されている
白衣・スクラブの残布を用いた作品 ©ヒガシテッペイ

トークセッションはいずれも参加費無料、予約優先です。予約フォームまたはメールアドレスからお問い合わせください。

普段なかなか外へ公開される機会がないホスピタルアートを見て、知ることができる貴重な展覧会です。医療とアートの可能性に関心がある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。