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認知症にまつわる海外の最新レポート、映画情報も入ったフリーペーパー発行! ISSUE+DESIGN journal最新号「認知症世界の歩き方通信」
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「新しい認知症観」を広める、〈issue+design〉のフリーペーパー
人は誰もが年を重ね、老いていきます。その過程で認知症になった人の暮らしについて、みなさんはどのようなイメージを持っていますか。毎日の生活が困りごとばかり、介護も大変でしかない、そんなイメージだけを抱いてはいないでしょうか。
認知症に対する偏見や誤解をなくし、正しい理解を広めたいと取り組んできた〈特定非営利活動法人issue+design〉が、2025年4月『ISUUE + DESIGN jounal 02〜認知症特集号〜』を発行しました。本ジャーナルでは、認知症について理解を深めるコラムや「認知症世界の歩き方」プロジェクトの歩み、2026年秋公開に向けて動き出した映画制作の取り組みなどが紹介されています。

〈issue+design〉筧裕介さんと認知症プロジェクト
2008年に発足した〈issue+design〉は、「社会の課題に、市民の創造力を。」を合言葉に、これまでにデザインを通じてさまざまな社会課題の解決に取り組んできたNPO法人です。例えば、震災時の避難所運営を支える「できますゼッケン」や、現代育児の課題解決につながる機能とデザインを盛り込んだ「親子健康手帳」などを形にし、日本各地の地域と協働しながら、さまざまな社会課題の解決に向け取り組んできました。
〈issue+design〉代表の筧裕介さんが、認知症の課題に取り組み始めたのは2018年。慶應義塾大学大学院教授の堀田聰子さんらとともに、「認知症とともによりよく生きる未来」を実現するプラットフォーム「認知症未来共創ハブ」を立ち上げます。
2021年には、認知症のある方の心と身体に起きている問題をわかりやすく楽しみながら学ぶことができる書籍『認知症世界の歩き方』を出版。書籍は大きな話題となり、メディアへの展開やワークショップへと発展していきました。

これまでさまざまなテーマの社会課題に挑んできた〈issue+design〉が、その課題解決の考え方やアプローチを伝えたいと2024年1月に創刊したのが『ISSUE+DESIGN journal』です。同じように社会課題に向き合う人々の参考になることができたらという思いと、活動に共感する仲間を増やしたいという願いが、筧さんらが過去に手掛けたプロジェクトを紹介する創刊号につながりました。
そして今回、1年越しに第2号を制作。〈issue+design〉が長く取り組んできたテーマである「認知症」を特集する号として、全国各地で配布が始まりました。
「認知症世界の歩き方通信」とは
高齢化が進む日本で、認知症のある人は増え続けています。一方で、認知症への偏見が社会的な孤立を生むこともわかってきました。そうしたなか、国は認知症になった当事者の声を尊重した「認知症施策推進基本計画」を2024年12月、閣議決定。認知症のある人が住み慣れた地域で希望を持って生きることができる、という「新しい認知症観」に立った取り組みが今注目を集めています。
こうした状況下で編集された本冊子の、巻頭にある特集1は「ようこそ認知症世界へ」。認知症のある方が経験するハプニングのうち5つが、イラストや実例とともに見開きの一覧で掲載されています。人の顔の見分けがつかなくなるトラブルを「顔無し族の村」、自分のしたこと・しようとしたことを忘れてしまうトラブルを「ミステリーバス」などと表現する、そのユニークなネーミングを楽しみながら、認知症世界の入口に立ってみましょう。

続く「誰もが『認知症』とともに人生を楽しめる社会を実現するために」と題された特集2は、筧さんによるコラムです。
「他の社会課題に比べ、関心が高い人と低い人の間に大きな壁がある」と筧さんが指摘する認知症。一方で認知症のある人の割合をみると、将来的に多くの人が関わりうる問題であることもわかってきます。なぜ認知症が社会にとって大切な課題なのかということが、図解なども用いながら、筧さんの言葉でわかりやすく解説されています。

その後の誌面では、ワークショップ、メディア展開、リサーチ等多様な展開を見せている「認知症世界の歩き方」プロジェクトのこれまでとこれからがイラストで一覧してみることができます。
特に誌面後半では、2026年秋公開予定の映画制作プロジェクトについて紹介。監督を務める田村祥宏さんと筧さんの対談では、どんな映画をつくりたいと思っているか、映画に込める思いを語り合っています。

そのほかにも、書籍『認知症世界の歩き方』が海外でどのように活用されているかという最新のレポートや、A.I.を活用した新しいサービスのリリース情報、さらに認知症のある方が生きる世界を学べるワークショップのファシリテーター講座についてなど、「認知症世界の歩き方」プロジェクトのこれまでとこれからがまるごとわかる1冊になっています。
フリーペーパーは全国200カ所の協力店舗や施設等で配布しているほか、Webサイトでお申込いただいた方に、送料込み550円で郵送対応もしています。
「脱偏見」をテーマにしたイベントが開催
また『認知症世界の歩き方』の映画制作決定を記念して、「脱偏見」をテーマにしたシリーズイベントが5月よりスタートしました。「issue+design challenge 2025 脱偏見のために、デザインと映画は何が可能か」と題されたイベントでは、毎回異なるゲストを迎え、2026年秋の映画公開に向けて、全国各地をキャラバン形式で巡りトークを行います。
次回は2025年6月13日(火)15:00〜17:30にオンラインで開催。ゲストは株式会社ヘラルボニー代表取締役 Co-CEOの松田文登さんです。アートと福祉を軸にチャレンジを続ける松田さんが、これまでどのように偏見や誤解と向き合い、社会課題に挑んできたのか、その背景にある思いやビジョンを伺います。

続く7月8日(火)は〈株式会社ボーダレス・ジャパン〉の田口一成さんをゲストに迎えて、福岡市舞鶴庁舎とオンラインで開催予定です。どちらも参加は無料。映画の制作背景や意義に触れながら、デザインや映画がどのように偏見を打破することができるのかをゲストとともに考えていきます。
今回の映画については、5月13日より制作資金を募るクラウドファンディングもスタート。日本でスタートしたこのクラウドファンディングは、フランス、今後、台湾、ドイツ、アメリカ、イギリス、カナダ、シンガポール、と8カ国で展開予定です。
筧さんはジャーナルに掲載されたコラムの中でこう呼びかけます。
私たちissue+designは「認知症世界の歩き方」を通じて、皆さんと一緒に、誰もが、「認知症とともに人生を楽しめる社会」を実現したいのです。そのために「日本の、世界の、人類の、“認知症”観を変えたい」のです。皆さん一人ひとりの力が必要なのです。
私たち一人ひとりの認知症観を更新することが、社会の変化につながる。その一歩としてまずは、ジャーナルを手にとってみたり、イベントに参加してみたりしませんか。
Information
「ISSUE+DESIGN jounal 02」
発行日:2025年4月
仕様:タブロイド判全16ページ
配布場所:全国約200カ所の協力店舗・施設等
※希望者にはこちらから郵送対応も行っています(送料込550円)
【ページ構成】
P1 (表紙)
P2-3 特集1:ようこそ認知症世界へ
P4-5 特集2:誰もが「認知症」とともに人生を楽しめる社会を実現するために
P6-7 「認知症世界の歩き方」これまでとこれから
P8-9 「認知症世界の歩き方」ついに実写映画化決定!
P10-12 インタビュー:社会システムを変える映画をつくる
P13 THE WORLD REPORT 世界で広がる「認知症世界」
P14-15 NEWS
P16 インフォメーション
イベント「脱偏見のために、デザインと映画は何が可能か」vol.2
ゲスト:松田文登氏(株式会社ヘラルボニー 代表取締役Co-CEO)
日時: 2025年6月13日(火)15:00~17:30
参加費:無料
定員: 100名
申込:https://peatix.com/event/4395296/view
人類の“認知症”観を変える映画をつくりたい!
クラウドファンディングページ:https://readyfor.jp/projects/dementia_world_movie