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6月30日まで! ろう者で全国初のバス運転士が「手話が公用語」のバス会社設立に向けてクラファン挑戦中
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ろう者で全国初のバス運転士が「手話が公用語」のバス会社設立に挑戦!の看板画像

前例のない「バス運行会社」の設立に挑戦するプロジェクト

「手話が公用語」という、これまでにない構想を掲げるバス運行会社〈かわせみ交通株式会社〉の設立に向けて、2023年6月30日(金)までクラウドファンディングが行われています。

場所は埼玉県。このプロジェクトを形にしようとしているのは、全国で初めて「ろう者」のバス運転士となった松山建也(まつやま・たけや)さんです。

松山さんは2017年にバスやタクシーなどの旅客運送を目的とする「第二種運転免許」を取得。全国においてろう者が運転士として働く前例がなかったバス業界に飛び込み、羽田空港リムジンバス、東京から名古屋・大阪・仙台方面への高速・夜行バスのハンドルを握ってきました。

また、ろう学校や手話サークル、聴覚障害者協会などから指名をうけ、手話ができる観光バスの運転士としても活躍しています。

そのような先駆的な活動のなかで直面したさまざまな気づきや課題に立ち向かいたいと、2023年4月に独立。〈かわせみ交通〉の代表取締役として新しいバス運行会社の設立を目指しています。

バス業界に新風を巻き起こす、4つの取り組みとは?

あらゆる障害(壁)を無くし、公共交通機関の一員として関わり地方創生に取り組む。主に「公共交通空白地域」に参入し、通勤・通学、周辺住民の方々など、地域の足となり支えていきたい! 将来は観光バス(貸切バス)にも参入し、全国各地で活躍する現地手話ガイドや手話が出来る様々な商業施設へ架け橋も作りたい!

このような構想を思い描く松山さんは、その第一歩となる本クラウドファンディングで、以下4つの思いを実現させたいとしています。

①「手話が公用語」のバス会社の設立

近年、「手話が公用語」と掲げる飲食店や、手話でのコミュニケーションに対応できる店が増えつつあります。そのような環境をまずは〈かわせみ交通〉が実現させ、バス業界に広げていくことで、運転士のみならず、運行管理者やバスガイドなどろう者の職域拡大を目指します。

「手話が公用語!」①飲食業界では「手話が公用語」と掲げているお店が増えています。バス会社でも!社員全員が手話で話し合えるようにしたい!→ろう者・聞こえる人でもお互い安心できる環境を整えていく。②ろう者でも聞こえる人と同様に、何でも取り組める組織を目指します。ろう者世界では「路線バス」「ワンマン運転」「運行管理者」「バスガイド」等の職域や経験が未踏である。職域拡大を目指していきたい。

②「公共交通空白地域」に参入し、地域の足となることを目指す

構想中のバスルートは埼玉県西部地域。約30年前に路線バスが廃止された「公共交通空白地域」です。

近年、同エリアには圏央道が敷かれ、商業・工業施設、大型スーパー、学校、住宅などが増加。公共交通機関の必要性が高まる今、〈かわせみ交通〉では北坂戸駅~入間市駅を結ぶ路線バス設立を計画しています。

同エリアに所在する小・中・高校をはじめ、坂戸ろう学園への経由も構想。通勤、通学、周辺住民の足となり支えることを目指します。

バスの想定ルートの図

③ろう者の運転士が安心して活躍できる体制づくり・環境整備

ろう者のバス運転士がひとりでもトラブル等に対応できる体制づくりのほか、ドライバーへ指揮をとる「運行管理者」、車両点検・整備・管理を行う「整備管理者」とのスムーズな連携体制の構築を目指します。

そのためにも〈かわせみ交通〉の全社員が手話を身につけるべく、手話講座の開催も計画されています。

④乗客の安心感を生む設備導入

社内アナウンスや、乗客とのコミュニケーションが必要な場面を想定し、音声が文字へ(または文字が音声へ)と変換される音声認識器、字幕表示モニター、「右に曲がります」「発車します」などのアナウンスがワンタッチで流せる機材など、最新技術の導入を進めています。

運転士と乗客の双方に必要な情報が行き渡り、手話がわからない人も含めて安心して利用できる路線バスの運行を目指します。

「安全対策について」のイラスト

バス業界の環境整備・仕組みづくりを目指す

本プロジェクトを立ち上げた松山さんは、幼い頃に目にしたバス運転士のハンドルさばきに魅了され、憧れていたといいます。しかし当時の道路交通法では、聴覚障害のある人の「第二種運転免許」の取得は叶わない状況でした。

やがて、2016年4月の道路交通法改正により、補聴器の装用で適正試験の合格基準を満たせば、免許の取得は可能に。全国各地で第二種運転免許の取得に成功したろう者は新聞やネットで話題になるものの、実際にバス会社に就職し、運転士として活躍する人は現れませんでした。その理由は、ろう者を受け入れる体制の整ったバス会社が存在しなかったためだといいます。

一方、松山さんは、聴覚障害のある人の受け入れ経験がなかった運送会社でトラックドライバーの実績を積み、さらに20人ものろう者のドライバー採用を実現させました。その経験をバス業界でも活かせるのではと「第二種運転免許」を取得。幼少期から憧れていたバス業界へ転身します。

全国初のろう者のバス運転士となり、応援者も増え、活躍する場は広がりましたが、今なお聴覚障害のある人が働きやすい環境の整ったバス会社は存在しないといいます。その「壁」のために、バス運転士を目指すろう者は目に見えて増えていません。

だからこそ、当事者の視点をもった環境整備・仕組みづくりを行いたいという松山さん。さまざまな展望を思い描きながら、バス業界のパイオニアを目指しています。

埼玉特産品の応援につながるリターンも

今回のクラウドファンディングの目標金額は1000万円。集められた支援金は、手数料やリターン原価を除き、〈かわせみ交通〉の設立に必要な費用や運転資金として使われる予定です。

リターン品には〈かわせみ交通〉のオリジナルグッズのほか、健康な牛の生育環境にこだわる〈加藤牧場〉の乳製品、構想中のバスルートで経由する食品加工メーカー〈サイボク〉のギフトセットなど、埼玉の応援につながる特産品も用意されています。

2023年5月に行った〈かわせみ交通〉の説明会の動画もチェック。字幕も用意されています

また、支援者からさまざまな応援メッセージも届いています。亜細亜大学 経営学部の特任准教授であり、手話通訳士・手話パフォーマーである橋本一郎さんも本クラウドファンディングに以下のメッセージを贈っています。

今、松山建也くんのやり遂げようとしていることは、ろう児の夢であり、地域の夢であり、私たちの夢でもある!
(中略)
地元・埼玉県のろう学校を含んだ、地域の足となる路線バスの会社を建てる!と聞いた時は、「なんと!そう来たか!」と感じました。「誰もが誰かの役に立ちたい!」という想いを、彼の得意なバスの運転で、さらに雇用を促進し、最新技術を取り入れた情報保障を展開し、地域にも喜ばれる存在となる!

ろう者の松山建也くんの想いが、まさに私たちの夢を現実のことにしようとしています!

バス業界に新風を巻き起こす松山さんのプロジェクト、あなたもぜひ応援してみませんか?