ニュース&トピックス

アール・ブリュットの考察を基本に据えた〈みずのき美術館〉の二つの企画展が、東京都内で開催中
展覧会情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. アール・ブリュットの考察を基本に据えた〈みずのき美術館〉の二つの企画展が、東京都内で開催中

みずのき美術館に所蔵されている、2つの絵画作品のイメージ

温かく豊かな色彩で、観る者を魅きつける作品を所蔵する〈みずのき美術館〉

京都府亀岡市の〈みずのき美術館〉に所蔵されている絵画作品をテーマにした二つの企画展が、東京都内のギャラリーで開催されています。

〈みずのき美術館〉とは、2012年に開館した街なかの小さな美術館。そこに所蔵されている2万点もの作品は、美術館の母体である〈社会福祉法人 松花苑〉が運営する、障害者支援施設〈みずのき〉の絵画教室(1964〜2001年)で生まれました。

絵画教室の講師として招かれた画家・西垣籌一さん(1912~2000年)による、障害のある人たちへの美術教育の実践から生まれた絵画作品群は、スイス・ローザンヌ市のアール・ブリュット・コレクションに収蔵されるなど、多彩な足跡を残してきました。現在もアール・ブリュットの考察を基本に据えた美術館として、街にひらかれ、国内外からも注目を集めています。

今回の展示は、作品に登場するモチーフをグッズ化した企画展と、温かく豊かな色彩で、観る者を魅きつける所蔵作品の展覧会と、それぞれ切り口の違う内容で開催されています。東京で〈みずのき美術館〉のコレクションをおおいに堪能できるチャンス!

11月30日まで開催
『ネコなん? イヌなん?〈みずのき美術館〉展』

ネコなん?イヌなん?みずのき美術館展のパンフレット画像

東京都墨田区のスカイツリータウン・ソラマチ内にある〈京東都ギャラリー〉では、『ネコなん? イヌなん?〈みずのき美術館〉展』と題した企画展を、2021年11月10日~30日の期間で開催しています。

亀岡市にある〈みずのき美術館〉と、同市内でものづくりを行う企業やメーカーが出会い、「かめおか・みずのき・ものづくり」をテーマに共同プロジェクトとして商品開発を行ってきました。今回は商品のテスト販売を兼ねた企画展となっています。

「ネコなん? イヌなん?」
「これは何の生き物なんだろう?」

そんな言葉とともに笑顔を誘うような、自由で個性的な作品に登場するモチーフたちが、画用紙やキャンバスの中から飛び出し、バッグやポーチ、キッチンクロスやワッペンつきポストカードなどに変身。より身近に感じられるアートとして生まれ変わっています。

参加するものづくりメーカーは、亀岡市に刺繍工房を構え、新しい文化継承のかたちと、刺繍の可能性を考えるブランド〈京東都〉を立ち上げた〈株式会社ドゥオモ〉。そして明治25年に創業し、和装小物の“縫う技術”を受け継いできた、袋ものを得意とする亀岡市の縫製工場〈加藤良株式会社〉。

培われてきた伝統の技と、ユニークなモチーフの融合に、心くすぐられるひとときとなるはずです。

12月26日まで開催
『みずのき美術館コレクション展「みて、居る vol.1」』

みて、居る。vol.1 みずのき美術館展 のポスターイメージ
photo:Yuka Ikenoya(YUKAI)

2021年4月、東京都千代田区に誕生した〈神田ポートビル〉。神田錦町という歴史と文化の積み重なった場所を背景に、新しいカルチャーや、アカデミズム、ウェルビーイングが生まれる場所をテーマにつくられた複合施設です。

そのギャラリースペースにて、2021年11月3日~12月26日の期間、『みずのき美術館コレクション展「みて、居る vol.1」』が開催されています。

地域性を活かした活動の拠点となることを目指す〈神田ポート〉のギャラリー。かねてより交流のあった〈みずのき美術館〉と協働し、「みて、居る」というシリーズ企画展を継続して開催することが決定。今回はその第1回目の展覧会となります。

みずのき美術館の所蔵作品がいくつも展示された〈神田ポート〉のギャラリースペースの写真
〈神田ポート〉ギャラリースペースでの、『みずのき美術館コレクション展「みて、居る vol.1」』の展示風景 photo:Yuka Ikenoya(YUKAI)

シリーズ名の「みて、居る」とは、障害の有無は関係なく、誰しもがそこで見た、そこにいた時間というものがあると考え、それぞれが過ごした時間や見えていたものの風景をこの会場に浮かび上がらせることができたら、という思いから名づけられました。

本展で作品を選定するにあたり、設けたテーマは「風景」。絵画教室が開かれていた1964年から2001年の間に描かれた2万点にも及ぶ所蔵品の中から、広大で、豊かな時間としての風景を感じられる作品を選定しているのだとか。

みずのきの作家たちが見ていた「風景」とはどんなものだったのか。作品を描いた彼ら彼女らに想いを馳せながら、楽しんでみてはいかがでしょうか。