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「戦争」の反対語は「対話」。平和をテーマにした暗闇の対話プログラム「ピース・イン・ザ・ダーク」が東京と広島で開催
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終戦から80年。語り継がれる声を聞き、対話する
今年で、第二次世界大戦の終結から80年が経ちます。これまで戦争については、親や祖父母たちから折にふれて話を聞いたり、平和教育で戦争体験者の話を聞く機会が設けられたりしてきました。しかし、2025年には終戦当時6歳だった子どもも86歳になり、戦争を実際に体験して、その記憶について語れる人は少なくなりつつあります。
「平和を考える授業・教材に関する調査2023」(光村図書出版株式会社)によれば、小中学生の約75%が「身近に戦争体験者がいない」と回答し、原爆や戦争について「実際に話を聞いたことがある」「資料館で学んだことがある」子どもは1割未満にとどまっています。戦争の記憶が遠くなるなか、今を生きる私たちは、どのように平和を考え、それらをどのように他者と語り合あうべきでしょうか。世界中で分断や対立が起こる中、異なる立場や価値観の人同士が、いかに対話を続け、信頼を築いていくかは大きな課題です。次の世代が、平和を「教わる」だけではなく、自らの感覚で受け取り、語る力を育む場所が必要とされ始めています。
そういった課題に対する取り組みが、戦後80年となる今年、「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク〜PEACE IN THE DARK(ピース・イン・ザ・ダーク)」と題して、広島と東京にて行われます。暗闇の中で1945年8月6日以前の「ある一日」を追体験する、平和をテーマにした対話型プログラムです。世代や地域を問わず、平和について、想像力と視覚以外の感覚を総動員して考え、語り合い、「自分たちができること」を行動に移すことを目的としています。

広島では、2025年8月2日(土)~11日(月・祝)まで、「広島市被爆80周年記念事業」の一環として旧日本銀行広島支店にて開催。東京では、2025年7月5日(土)〜8月31日(日)の期間、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」にて開催されます。
広島会場となる旧日本銀行広島支店は、原爆投下後の混乱の中で「日銀の奇跡」と呼ばれる出来事が生まれた場所です。通帳も印鑑も失った市民の自己申告を信じて預金を払い戻したという対応は、「人と人との信頼が社会を動かす力になりうる」ことを示す象徴的なエピソードとして語り継がれています。被爆80周年に際して、広島だからこそできる平和に向けた対話への関心が高まっており、予約は開始24時間で早くも全日満員となっています。
多様性のある社会の形成を目指したソーシャル・エンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
「ピース・イン・ザ・ダーク」のベースとなる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、視覚障害のある人たちの案内により、完全に光を遮断した暗闇の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。暗闇での体験を通して、人と人とのかかわりや対話の大切さ、 五感の豊かさを感じることができます。1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれ、これまで約50カ国で開催され、900万人を超える人々が体験。日本では、1999年11月の初開催以降、これまで30万人以上が「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験しています。
本プログラムを主催するのは、たがいを認め、助けあう社会を実現するためのプロジェクトを展開する〈一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ〉。2020年8月には、東京・竹芝にダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をオープンし、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のほか、「ダイアログ・イン・サイレンス」「ダイアログ・ウィズ・タイム」といった、ソーシャルエンターテイメントプログラムを開催してきました。

1945年を通して平和を考察する暗闇の旅「ピース・イン・ザ・ダーク」
「ビース・イン・ザ・ダーク」では、暗闇の中で1945年8月6日以前の「ある一日」を追体験します。参加者は民家を訪れ、当時使われていた品々に触れながら、戦時下の暮らしや、人を思う静かな気持ちにふれていきます。そこにあるのは、戦争の悲惨さだけでなく、誰かの無事を祈る日常の営みです。
現在、多くの若い人たちにとって、戦争や戦後復興は「身近に体験を聞く機会がない過去の出来事」になりつつあります。戦争を知る世代と知らない世代の隔たりを乗り越えるため、「ビース・イン・ザ・ダーク」は「1945年」と「2025年」をつなぎ、今を生きる私たちが1945年から現在に至るまでを考察することで、次の時代に必要なものを見出すことを目的としています。「戦争の反対語は、単に平和ではなく、対等な対話を続ける努力をしていくことだ」と、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」創設者のハイネッケ博士が言うように、この暗闇での体験は、戦争について考えを巡らせるだけでなく、対話を続けることの大切さを実感するきっかけとなるものです。

これからも戦後を続けるために。平和について考え、対話する
「ピース・イン・ザ・ダーク」は、戦争を擬似体験し、その凄惨さや理不尽さを感じさせるためだけのものではありません。暗闇での体験を通して、過去に生きた人々の思いや気持ちにふれ、今を生きる私たちの言葉で平和を語るきっかけを生み出すものです。80年、90年、100年と戦後を続けていくために、平和を次の世代に伝える力を育むことを目的としています。
戦争を体験した人たちの声が届きにくくなるこれからの時代には、過去についての知識を得るだけではなく、今を生きる私たちそれぞれがいかに「平和」について考え、他者と語り合えるかが問われます。戦争を過去のものにしないためにも、1945年を生きた人たちの心に触れ、今一度考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。
Information
「ピース・イン・ザ・ダーク」
<東京開催>
WEBサイト
・開催期間:2025年7月5日(土)〜8月31日(日)※ 一部休演日あり
・開催場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝) (東京都港区海岸1丁目10−45 アトレ竹芝 シアター棟 1F)
・体験時間:約90分
・料金(税込):大人4,950円/学生2,750円/小学生550円
・ご予約:WEBより事前予約制
・主催:一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
<広島開催>
被爆80周年記念事業
「平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク」~もうひとつの広島~
WEBサイト
・開催期間:2025年8月2日(土)~11日(月・祝)
・開催場所:旧日本銀行広島支店(広島県広島市中区袋町5-21)
・体験者数:約640名
・料金:無料
・ご予約:WEBより事前予約制 ※チケットは完売しています
・主催:一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
・共催:広島市、中國新聞社
Information
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