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少し音をたてても、動いても大丈夫。世代や障害を超えて一緒に楽しめるコンサート「リラックス・パフォーマンス」が11月19日〈東京文化会館〉で開催
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チラシの表面。赤と緑のピアノ、黄色いホルン、白いフルートなどが重ね合わさるようにデザインされている
障害のある人も、子どもも一緒に鑑賞できるコンサート「リラックス・パフォーマンス」が11月19日に開催されます

声が出ても身体が動いても大丈夫なコンサート

クラシック音楽の生演奏を聴きたいけれど、マナーが厳しいのではないかと敬遠してしまうことはありませんか。じっと静かに聴いていることが求められる環境では、例えば障害のある人や子どもと一緒に行くことが難しく感じられるかもしれません。

少し声が出たり、身体が動いてしまったりすることを心配せずに、クラシックコンサートを楽しむことができる「東京文化会館 リラックス・パフォーマンス」が2022年11月19日(土)に〈東京文化会館〉(東京都台東区)で開催されます。完全な静寂でなくても鑑賞を楽しめる本公演では、親しみやすい雰囲気の中、本格的な演奏を体験することができます。

また、難聴・中途失聴の人が声や音楽をクリアに聞くことができるヒアリングループ席や、身体で音楽を感じられる体感音響席などもあり、聴覚に障害のある人とその家族や介助者も一緒に鑑賞が可能です。

「リラックス・パフォーマンス」とは

リラックス・パフォーマンスの「リラックス Relaxed」とは“寛容な”という意味。「リラックス・パフォーマンス」は、「リラックスした態度(演奏中につい出てしまう声や動きに寛容になるなど)」で一緒に鑑賞できるスタイルとして欧米で始まり、近年日本でもクラシックコンサート、バレエ、演劇など様々な公演で行われています。

ちょっとした声や音が出ても大丈夫なほか、客席の照明は完全に暗くならず、上演中に休憩が必要になった場合はいつでも客席の外に出ることができます。

この鑑賞形態によって、自閉症やコミュニケーション障害、発達障害、認知症などで従来の音楽鑑賞に不安がある人や「公演は鑑賞マナーが厳しくて足を運びにくい」と思われる人、また子ども(今回の公演では4歳以上)も一緒に鑑賞が可能になりました。

右上にステージ、左側から右下にかけて、ステージを囲むように客席がある
2021年の公演写真 ©青柳 聡

チラシとポスターデザインを担当した〈Tokyo Social Design〉

今年のチラシとポスターデザインを手掛けるのは、〈TOKYO SOCIAL DESIGN〉。「見たい景色に旗を立て、新しいコトをつくりだす」をコンセプトに、情報発信やコミュニケーションデザインを行うチームです。福祉領域で長く活動してきた人たちがメンバーとして活動していて、以前〈こここ〉では、〈TOKYO SOCIAL DESIGN〉の主催イベント「みんな玉ねぎになろう!!」を紹介しました。

今回のチラシ・ポスター・プログラムは、“TOKYO SOCIAL DESIGN with TAKUYA SASAKI”として、一人ひとりの力を活かしたソーシャルファーム(※注)の中で協働している佐々木卓也さんと一緒に製作しています。


※注:就労に困難を抱える人たちの雇用・自立を目的にした働く場のこと

制作する佐々木さんの後ろ姿
Takuya Sasaki:一目で彼の作品とわかる大胆かつユーモラスな作風が、自閉症という障害を超えて多くの人々を魅了している。多数の賞を受賞。Sawamura、酢重ダイニング、スターバックスなど常設展示多数

鑑賞者が楽しめるような空間づくり

今回が3回目となる「東京文化会館 リラックス・パフォーマンス」。過去の公演では、曲の合間に東京文化会館ワークショップ・リーダーがナビゲーターとして登場し、リラックスして鑑賞者が楽しめる空間をつくりだしてきました。曲のポイントを解説するほか、舞台上でダンスするように身体を揺らしたり、手を叩いたり、鑑賞者も演奏者も一緒に“音楽する”楽しさを伝えます。

2021年の公演映像。過去のコンサートの様子は、〈東京文化会館〉のYouTubeチャンネルで全編視聴することができます

今回の公演でも、鑑賞中に参加者がリラックスできるような仕掛けが用意されているほか、聴覚に障害のある人も鑑賞できるよう、振動で音楽を楽しむことができる体感音響システム「ボディソニック」が導入された席や、声や音楽をクリアに聞くことができるヒアリングループ(磁気誘導ループ、磁気ループ)を使用できる席もあります。

また、公演の約3週間前には、ご家族や介助者のためのご来場ガイドをウェブサイトにて公開。安心して足を運べるようサポートします。

ステージ上の写真。奥にピアノ、手前に4人の弦楽器奏者、左手にナビゲーターの女性が立っている
2021年の公演写真 ©青柳 聡

予定されている曲目は、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」やホルストの組曲『惑星』 Op.32より 第4曲「木星(ジュピター)」、モーツァルト作曲の2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K448より 第3楽章など。ピアニストが二人登場し、通常は1台のピアノで連弾する曲もあえて2台のピアノで演奏されるところは、今年の聴きどころのひとつと言えそうです。

今年はさらにゲスト出演で、イギリス人の音楽家2名がフルート、ホルンを演奏したり、ろう俳優の河合祐三子さんによるサインポエムも披露されます。サインポエムは、手や身体、顔の表情をつかって詩を見えるように表現したもので、「見える音楽」とも言われます。音楽とサインポエムがどんなコラボレーションになるのか、楽しみです。

また、会場入口では、聴覚障害のある新進メディアアーティスト設楽明寿さんによる写真作品の展示や、台東区内の作業所による出張販売も予定されています。

チケットは全席指定で1100円。本格的なコンサートをリーズナブルな価格で鑑賞することができます。

心も身体もリラックスしながら楽しむことができるコンサート。これまでクラシックコンサートは敷居が高いと感じていた方も、ぜひ友人や家族を誘って参加してみませんか。