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「当事者の語り」に必要な配慮を考える。〈しぶたね〉オンラインセミナーが11月23日に開催
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おんらいんせみなーのばなー
病気の子どものためのNPO法人〈しぶたね〉が、2021年11月23日にオンラインセミナー『「当事者」の話を聴く/する前に知っておきたいこと』を開催

「きょうだい」やさまざまな「当事者」に関わる人に向けたセミナーを開催

不安や寂しさ、罪悪感、プレッシャー、悲しみ、怒り……。病気や障害のある子どもの「きょうだい」が、さまざまな感情を抱えながら生きていることをご存知でしょうか。

〈NPO法人しぶたね〉は、彼らをサポートすることを志し、2003年から活動しています(法人化は2016年)。そのなかで、「きょうだい」に限らずさまざまな「当事者」が、自らの困難や傷つきの体験を語ることの負担を目の当たりにしてきました。

そこで2021年11月23日(火・祝)に、無料オンラインセミナー『当事者の話を聴く/する前に知っておきたいこと』を開催。これまで得てきた知見などをもとに、当事者自身や関わる方々が「当事者の語り」を学べる機会がつくられています。

当事者として悩んだ過去から生まれた〈NPO法人しぶたね〉

子どもが命に関わる病気になったり、子どもに重い障害があったりすると、家族の生活はその子ども中心になりがちです。そうした病気や障害のある子どもにきょうだいがいる場合、彼らの中には「自分は我慢するのが当たり前」「お父さんやお母さんを助けないといけない」と、一人で悩みを深めてしまう子どもたちも多くいます。

きょうだいさんがもちやすいきもち
病気や障害のある子どものきょうだいが抱く、寂しさや不安などの感情

〈しぶたね〉代表の清田悠代さんも、こうした「きょうだい当事者」の一人。弟が心臓病を患ったことを機に、さまざまな思いをしてきた自らの経験から、同じように病気や障害のある子どものきょうだいを支援する活動を始めました。

〈しぶたね〉の「しぶ」は、「シブリング(sibling:きょうだい)」の「しぶ」。きょうだいたちが安心して嬉しいことも悲しいことも話せる人・場所が、どんどん増えるように「たね」を蒔いていこう、という意味が込められています。

設立以降、きょうだいが主役となって遊ぶプログラム「きょうだいさんの日」の実施や、きょうだいの応援団を増やすための「シブリングサポーター研修ワークショップ」を開催。現在は、大人のきょうだい当事者、支援職や学生などのボランティア50名ほどが〈しぶたね〉に関わっています。

きょうだい当事者としての経験を語り共有する『シブパネル事業』

清田さんは多くのきょうだいと出会う中で、その気持ちに寄り添ったサポートをするためには、「過去の自分の気持ちを語れる大人のきょうだい当事者」の声が必要だと感じるようになります。

そこで2020年から取り組んでいるのが、病気や障害のある方のきょうだいのパネルトーク『シブパネル事業』です。スタートからの1年半で東京・大阪で計2回のトークを開催するなか、清田さんは当事者として経験を語る方々の「言えずに我慢していた気持ち」や「自分でも気づいていなかった傷」を前に、語る側に生じている負担に気づくようになりました。

こうした背景から、2021年には登壇するきょうだいの心を守りながら、支援の広がりにつなげていこうと『シブパネル開催のためのガイドライン(暫定版)』を制作。普及につなげる取り組みを進めています。

がいどらいんのいちぶ
『シブパネル開催のためのガイドライン(暫定版)』の一部

「当事者の話にふれる前に、何を知るべきか」を学ぶ、無料セミナーを開催

「支援の広がりのためなら、つらくても話さなければ」と無理をしたり、重い責任を感じていたりしてしまう方の負担や傷つき。それは「きょうだい」のみならず、 さまざまな「当事者」にも重なる気持ちではないかと清田さんは考えます。

また、昨今「ヤングケアラー」(大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行う子ども)の問題が急速に社会に広まったために、その一面を持つきょうだいにも語りが求められる機会が増えました。これにより、少し乱暴に感じる取材依頼や、当事者が自身の人生を否定されたように感じてしまう取り上げられ方も見聞きするようになったといいます。

「今こそ聴く側ができること、話す側の安心のために必要なことを発信する必要がある」と考えた清田さん。11月23日に、〈しぶたね〉主催の無料オンラインセミナー『当事者の話を聴く/する前に知っておきたいこと』を開催することにしました。

ぼしゅうちらし

当日は、清田さんによるシブパネル事業の報告会「きょうだいたちの座談会から見えてきたこと」に加え、〈一般社団法人神戸ダルクヴィレッジ〉代表理事の梅田靖規さんによる基調講演も予定されています。

「プログラムを考えているとき、〈神戸ダルクヴィレッジ〉さんが作られた書籍『あなたの声を届ける』に出会いました。とにかく『体験者の語りはいいこと』と捉えがちな支援者やイベントの主催者に、そのリスクを知っていただけるような内容で、病気や障害のある方のきょうだい当事者にとっても、経験談を話す際の大きな力になる本だと思っています」(清田さん)

しょせき「あなたのこえをとどける」のしょうかい
〈一般社団法人神戸ダルクヴィレッジ〉が制作した書籍『あなたの声を届ける』。依存症を経験した方やご家族が体験談を話すとき、再トラウマ化・再発・傷つき体験をしないようにするためのガイドです

セミナーはYouTubeで配信予定。全国どこからでも視聴できます。きょうだいを含めさまざまな「当事者」の話を聞く機会のある方は、この機会に学んでみてはいかがでしょうか。