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ホームムービーを手がかりに“わたしたちの現在地”を探すインタビューを実施。「サンデー・インタビュアーズ」参加者募集中
活動紹介

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ホームムービー”をきっかけに誰かの話を聞いてみるオーラルヒストリーのワークショップ

昭和の東京都・世田谷地域の生活を写した8ミリフィルム映像「ホームムービー」を手がかりに、“わたしたちの現在地”を探求するプログラム「サンデー・インタビュアーズ 2022」が開催されます。

本プログラムは、ホームムービーを利活用するコミュニティ・アーカイブのプロジェクト「移動する中心|GAYA」(※注)の一環として2019年に始動し、今年で4年目。“誰かの「記録」を通して、自らの視点を形作っていく”ことが目的です。昭和の生活風景が映るホームムービーから自分自身の経験を振り返って言葉にし、さらに他者へのインタビューを通して「今」という時代を考えます。

対象となるのは、“ホームムービー”の被写体になっている昭和に子供時代を過ごした「ロスト・ジェネレーション世代」(1972〜1984年頃生まれ)をはじめ、興味のある人はどなたでも参加可能です。過去には、家族間での記憶の継承やオーラルヒストリーに関心がある方、古いことやモノに興味がある方、地域型のアートプロジェクトを研究している方など、さまざまな軸での関心を持つメンバーがプログラムに参加しています。

活動日は、毎月の第4日曜日。7月から翌年1月にかけてオンラインで集まり、自分たちの生きる時代を考える参加型企画です。


※注:「GAYA|移動する中心」は、昭和の世田谷を写した8ミリフィルムのデジタルデータを活用し、映像を介した語りの場を創出するコミュニティ・アーカイブプロジェクトです。映像の再生をきっかけに紡がれた個々の語りを拾い上げ、プロジェクトを共に動かす担い手づくりを目指し、東京アートポイント計画の一環として実施しています。

本プログラムは、「余暇の時間をつかった自発的な活動」として企画され、「日曜大工」ならぬ「日曜インタビュアー」として、自ら誰かの話を聞きに行くことで「声」を集めることを目指している

「ひとりで “みる”」「みんなで “はなす”」「だれかに “きく”」の3ステップで、過去を経由して現在を知る

「サンデー・インタビュアーズ」の活動内容は、「ひとりで “みる”」「みんなで “はなす”」「だれかに “きく”」の3ステップです。

「ひとりで “みる”」は、昭和の時代に世田谷地域で撮影された8ミリフィルムの“ホームムービー”鑑賞です。ウェブ上でアーカイブ化された〈世田谷クロニクル1936-83〉から、一篇の映像を選んで一人でじっくりと観ます。

次に、「みんなで “はなす”」にて、それぞれの鑑賞体験による気づきや発見をオンラインでプロジェクトメンバーに共有します。

そして、「だれかに “きく”」では、みんなで話した気づきや発見を深めるために、誰かにインタビューを行ったり、自身の経験を振り返ったり、図書館や博物館で資料を探します。

この3ステップを経由することで、映像と自分自身の記憶が連鎖を起こし、思いがけないことが蘇ったり、新たな視点を得たり、時代の共通性と極個人的な話のつながりを見つけたり。そうした過程を経て、過去を通して現在を知ることをこのプロジェクトでは目指しています。

プログラムを通して出会う「わたし」の気づき

「サンデー・インタビュアーズ」のWebサイトには、「わたしの場合」というコーナーで過去に参加した6名のサンデー・インタビュアーズによるそれぞれの視点と発見が紹介されています。

例えば、世田谷区で20年暮らしている佐伯研さんは、プロジェクト内で起きた対話の中で「あ、そういう見方もあるんだな」「そこに着目するんだ」と思うことも多く、自分だけでは見えないものが見えるようになったと言います。またプロジェクトを経て、自分の記憶がよみがえってくることを「自分の過去をもう一度旅するような、そんな感覚です。これからの人生を歩んでいくときに、自分の過去を見つめ直すひとつのきっかけになりました。」と綴っています。

〈世田谷クロニクル1936-83〉 No.66 『理容店2』02:43 のキャプチャー。佐伯さんは、この映像の左側に映る二輪車をきっかけに、幼少期の友人と遊んだ帰り道のことを思いだしたのだとか

人々の暮らしに興味を持つ参加者のshinoさんからは「自分のために、集っているみなさんのために、映像を見ながらプライベートな思い出を語りながら楽しむ。そんなあり方でもいいんだと気づきました。」というプロジェクトを通した発見が寄せられています。

また、戦中戦後の記憶を次世代に伝える語り部の育成事業に携わる経験をもつ、やながわかなこさんからは、「映像に映っているものの『名前』を知ることで、自分になかった視点があたかも自分のものだったかのようにスライドしていく感覚が、みんなで『はなす』ことの面白さだなと思いました。」と述べています。

現在「サンデー・インタビュアーズ2022」参加者募集中

本プログラムは2022年度の参加者を募集中。参加希望者は、2022年7月3日・4日に行われる説明会への参加が必要です。(説明会への申し込みは2022年7月1日まで)気になった方は、まずは説明会に参加してみるのはいかがでしょう。

また、noteでは、『ドライブイン探訪』(筑摩書房)や『市場界隈』(本の雑誌社)の著者である橋本倫史さんよる「サンデー・インタビュアーズをめぐるドキュメント」も公開中。2021年度の活動をより深く知ることができます。