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バーチャルで「老い」や「介護」の様々なあり方を体験。日英国際共同制作『The Home オンライン版』が12月31日まで公開
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しせつのようす
バーチャル上で高齢者向け施設での暮らしを体験する『The Home オンライン版』

20211231日まで『The Home オンライン版』を公開中

年齢を重ねれば誰にでも等しく必ず訪れる、老い。しかし若く健康であるうちは、介護が必要になった自分自身の暮らしや身体をリアルに想像することは容易ではありません。介護のあり方や、高齢者向け施設での暮らしを事前に知っておくことは、より豊かな老後を送るためのヒントになることでしょう。

そうした体験をできるのが、2019年英国で生まれた没入型演劇(イマーシブシアター)の『The Home』です。同作がこの度、日本と英国の国際共同制作『The Home オンライン版』として、〈彩の国さいたま芸術劇場〉のプログラムの一環で無料公開中。公開は12月31日まで。バーチャルな老人ホームでの暮らしを体験してみませんか。

英国発の没入型演劇「The Home

The Home』の誕生は2019年。英国・ロンドンで開催された高齢者舞台芸術祭「Age Against the Machine(エイジ・アゲンスト・ザ・マシーン)」の主要プログラムとして初演されました。手がけたのは、劇作家・演出家のクリストファー・グリーン。近年、日本でも注目されつつある没入型演劇の作品として発表されました。

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劇作家・演出家のクリストファー・グリーンさん(C)Sorcha Bridge

作品では、大学寮をまるごと借り切り架空の老人ホーム「The Home」を出現させ、観客は体験入居者として48時間滞在。2日間に渡り、老人ホームでの暮らしを体験します。

観客は、明るく衛生的な居住空間、健康的な食事が提供されることに加え、遺書の書き方や地域住民との交流イベントなど、多彩なアクティビティに参加しながら、俳優たちが演じる介護職員や施設スタッフから介護を受けます。

突如として心身ともに介護される立場になった人は、介護されることをどのように感じ、受け入れていくのか。また、将来自分が老いた時にどのような介護を望むのかを考える機会として、『The Home』は高く評価されています。

日英合作でオンライン版が登場

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『The Home』のオンライン版では、閲覧者が架空の施設でさまざまな出来事を体験します

先進国で課題となる高齢化社会。この課題をテーマにしつつ、コロナ禍でリアルな体験が難しい状況の中、『The Home』のオンライン版が日英国際共同制作(主催:独立行政法人国際交流基金・公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団)として誕生しました。

原案・総合演出、英国版作・演出を担当するのは、オリビエ賞受賞アーティストであるクリストファー・グリーンさん。日本からは『老いと演劇』を実践する劇作家・演出家の菅原直樹さんが参加し、日本版の作・演出を手がけます。また、俳優として高齢者演劇集団〈さいたまゴールド・シアター〉と若手俳優による演劇集団〈さいたまネクスト・シアター〉出身者ほかが出演しています。

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劇作家・演出家の菅原直樹さん(C)草加和輝

アバターを作って老人ホームでの暮らしを体験

オンライン版では、英国版と日本版の2つのバージョンをウェブサイトまたは専用アプリをダウンロードすることで、無料で楽しむことができます。

サイトまたはアプリにアクセスした観客は、バーチャル空間に作られた老人ホーム「The Home」を訪ねます。バーチャル上には、施設のフロアがグラフィックで再現されていて、ラウンジ・施設長の部屋・入居者の部屋などを移動しながら見学可能。アプリ版では自身のアバターを作成して施設内を動きまわることもできます(サイトではメニューバーからコンテンツを選択)。また、入居者や介護スタッフのアバターもいて、彼らの自己紹介や施設での生活の様子を映像で楽しむこともできます。

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サイトまたはアプリ内では数々の短編映像を見ることができる

中でも、施設での生活を描いた日本版の短編映像は、映像監督に映画監督の遠山昇司さんを迎え、介護職の経験もある菅原直樹さんが脚本・演出を担当。入居者やケアワーカーなど当事者に寄り添った目線から、高齢者施設で生きる一人ひとりの小さな物語を紡ぎ出します。

高齢者向け施設での生活は、年齢を重ねるほど身近になるけれど、まだ遠いものとして感じている人も多いのでは。この機会にオンラインでの体験を通して、「老い」や「介護」の様々なあり方に触れてみませんか。