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「第2回かながわともいきアート展~生きること、表現すること~」横浜赤レンガ倉庫にて11月1日〜9日で開催
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「生きること、表現すること 第2回かながわともいきアート展 11月1日(土)~9日 会場:横浜赤レンガ倉庫1号館」と書かれたアート展のメインビジュアル。黄色の背景に、赤・黒の金魚のイラスト、フライドポテトのイラスト、四角い箱を組み合わせたようなロボットの立体造形、ソファに寝転ぶ男性の写真などがコラージュで載っている

障害のある人の表現が集結した大規模アート展、今年も開催

2024年の初開催において約6000人もの来場者を記録した、神奈川県主催のアート展「かながわともいきアート展〜生きること、表現すること〜」が今年も開催されます。

会期は、2025年11月1日(土)~9日(日)。今年も横浜赤レンガ倉庫を会場に、自由な発想と創造性によるアート作品約200点が展示されるほか、ライブ、アート鑑賞会、多種多様なワークショップ、アートグッズの販売などが行われます。

明治後期~大正初期にかけて建造されたレトロ建築・赤レンガ倉庫の外観。
会場となる横浜赤レンガ倉庫1号館

「生きること、表現すること」をテーマにした約200作品を展示

神奈川県では、障害のある人によって制作されたアート作品を「ともいきアート」と称し、県内各所にてたびたび展示を行ってきました。

2024年、より多くの人へ「ともいきアート」の魅力を発信していきたいと、“芸術文化の創造”と“賑わいの創出”をコンセプトとする横浜赤レンガ倉庫1号館を会場に「第1回かながわともいきアート展」を開催。「生きること、表現すること」をテーマに作品を公募し、選考を通過した作品を含む約100点が展示されました。

昨年開催された「第1回 かながわともいきアート展」の様子。作品の魅力をより引き出すべく、プロのアートキュレーターが展示や設計を担当しています

2025年度も、県内在住、在勤、在学または福祉事業所に通所する障害のある人を対象に作品を募集し、平面・立体作品のうち約120点が審査委員によって選出されました。さらに、県内にある福祉事業所9団体に所属する利用者の代表作品80点が加わり、約200点もの作品が今期の会場を埋め尽くします。

アーティストたちが美しいと感じるもの、愛してやまないもの、日々のルーティーンから生まれるもの、特性やこだわり、はたまた衝動のままに創作・表現されたものなど、内に秘めたるものをほとばしらせた作品群が、今年も勢揃いします!

「傷付いた蝶のもとに舞い降りる鳳凰」を描いたという《不滅の国》のイラスト。黒ペンのみで、鳳凰、花、蝶などが細部まで細かに描き込まれている。
2024年度のアート展で大賞を受賞した作品。《不滅の国》萌木さく
多種多様でカラフルな平面作品が壁に飾られた会場の様子。
2024年度の展示風景(第1回かながわともいきアート展より)。2025年度も「こここなイッピン」でご紹介した、神奈川県内の福祉事業所〈アール・ド・ヴィーヴル〉〈嬉々!!CREATIVE〉のメンバーによる作品も展示予定!

白鳥建二さんとのアート鑑賞会や、日替わりワークショップも

会期中のイベントも盛りだくさんな「第2回かながわともいきアート展」。主な会場内イベントをご紹介します。

11月1日(土)15:30~16:00 
ともいきマイスター式町さん特別ライブ

同県が任命した、共生社会の実現に向けた活動の実践者「ともいきマイスター」のひとり、プロバイオリニストの式町水晶(しきまち みずき)さんによる特別ライブが開催されます。

東日本大震災の津波に耐えた陸前高田市の奇跡の一本松と、被災地に残された瓦礫や家具を再利用してつくられた「津波ヴァイオリン」の音色が会場を包みます。

ヴァイオリンを構える式町水晶さんの写真。
小田原市在住、脳性まひと闘うプロヴァイオリニストの式町水晶さん。2018年、21歳でキングレコードよりメジャーデビューを果たし、東京2020パラリンピックでは閉会式の演奏を担当

11月9日(日)①13:00~15:00、②16:00~18:00
白鳥さんと一緒に「ともいきアート」鑑賞会

ドキュメンタリー映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』(2022年)でも知られる、全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんと一緒に会話しながら作品を鑑賞する、対話型鑑賞会が実施されます。

まずは、作品タイトルや解説文を読まずに作品を鑑賞し、作品から感じられるもの、想像するものに意識を集中し、自らの言葉で語る鑑賞会です。参加費は無料。参加ご希望の方は応募フォームから事前申込が必要です。申込期限は11月3日(月・祝)まで。

Tシャツとキャップを被ったスタイルで、にこりと微笑む白鳥建二さんの写真。
全盲となった20代半ば頃から、人と会話しながらの美術鑑賞をスタートさせた白鳥建二さん。年に何十回も美術館を訪れるほか、全国各地にて講演やワークショップのナビゲーターを務めています (写真:鈴木竜一朗 Photo by Ryuichiro Suzuki)

11月1日(土)~7日(金)10:30~20:00
共遊玩具で一緒に遊ぼう
【株式会社タカラトミー&NPO法人ぷかぷかプレゼンツ】

視覚・聴覚の障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめるように配慮された「共遊玩具」の製造・販売を行っている株式会社タカラトミー。今回は触って特徴がわかる動物のフィギュアと、障害福祉事業所 NPO法人ぷかぷかによって制作されたサバンナをイメージしたジオラマで遊ぶスペースを設けています。

ゾウ、ゴリラ、ライオン、キリン、パンダ、ワニと、リアルな造形の動物フィギュアが並んでいる写真。

11月1日(土)~8日(土)11:00~16:00
ともいきワークショップ

県内9つの福祉事業所から障害のあるメンバーが参加し、ねこブローチや缶バッジづくり、マスキングテープアート、機織り、花文字アート実演、熊手制作など、一緒にものづくりを楽しむワークショップを実施します。

日時によって開催される内容が異なるため、詳細は県の公式サイトにてご確認・ご予約ください。

左の写真は、塚本愛実さんがブースに座り、子どもの似顔絵を描いている様子。右の写真は、眉毛が下がり困ったような顔をした猫ブローチの拡大写真。
左)2024年度のアート展にて開催した、小田原市の〈アール・ド・ヴィーヴル〉のメンバー・塚本愛実さんによる似顔絵コーナーの様子。 右)横浜市の〈アート・メープルかれん〉のメンバーと制作するねこブローチのイメージ

ほかにも、県内の福祉事業所やその利用者が日替わりで会場を訪れ、自主生産品であるアートグッズ、雑貨、お菓子などの販売を行います。

さらに会場内には、寝転んで休憩できるスペースを設けたり、おしゃべりを楽しみながらの鑑賞を推奨したり、どの作品も写真撮影OKとするなど、「いいよ!」と「いいね!」があちらこちらに散りばめられています。ユニークな会場設計にも注目してみてください。

やまゆり園の事件を契機に、共生社会の実現に向けて

本展の開催は、2016年に制定された「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念のもと、共生社会の実現に向け、県が行うさまざまな取り組みのひとつとして実施されます。

この憲章が制定された背景には、2016年7月26日に県立の障害者支援施設〈津久井やまゆり園〉で起こった凄惨な事件があります。障害のある人への偏見や差別的思考から引き起こされたとされるこの事件は、障害のある人、その家族、そして多くの人々にいいようのない衝撃と不安を与えました。同時に、社会福祉とはなにか、障害とはなにか、といった問いをあらためて社会全体に突き付ける契機にもなりました。

神奈川県はこの事件による大きな憤りと悲しみを抱えながら、断固とした決意のなかで「ともに生きる社会かながわ憲章」を制定し、そうした事件や差別が二度と繰り返されない社会を目指しています。

会場内に寝転んで休憩できるクッションソファが置かれている会場内風景。
2024年度の展示風景。会場内には寝転んで休憩できるクッションソファが (第1回かながわともいきアート展より)

多様で魅力的な作品を楽しみつつ、さまざまな障害のあるアーティストたちとの交流のなかで、「ともに生きる」とは何か? について考える機会となるかもしれません。芸術の秋、ぜひ足を運んでみては?