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老人ホームで生まれた、認知症のある人と介護者とつくる「とつとつダンス」。1月25・26日に大阪でパフォーマンス公演開催
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ダンサー二人が向き合って手を握っている様子
「とつとつダンス」パフォーマンス公演 in 東京(2023)より。写真:西野正将

認知症のある人と介護者とつくる「とつとつダンス」の大阪公演が開催

“ダンス”と聞くと、どのようなものを想像するでしょうか? 音楽に合わせてリズミカルに踊るもの、トレーニングされたダンサーによるダイナミックな動き、あるいは、振り付けに合わせて皆で踊るもの……。では、「認知症のある高齢者とつくるダンス」と聞いたとき、どんなイメージが浮かんでくるでしょうか。

「とつとつダンス」は、2009年に京都・舞鶴の特別養護老人ホームで始まった、ダンスワークショップとダンス公演を軸にした活動です。認知症のある高齢者や介護者、ダンサーや、音楽家、そのほかさまざまなバックグラウンドを持つ人たちがコミュニケーションをとりながら、時にはゆっくりと手と手を合わせて動かしたり、時には身体を動かさずに見つめ合ったり。そこではダンスのような、ケアのような、アートのような、不思議な時間が流れます。

近年、マレーシアやシンガポールなど海外にも活動を広げている「とつとつダンス」の公演が、2025年1月25日(土)・26日(日)の2日間、〈アートエリアB1〉(大阪府大阪市)にて開催されます。主催は、文化芸術活動を行う〈一般社団法人torindo(トリンド)〉。当日の公演には、これまで「とつとつダンス」を率いてきたダンサー/振付家の砂連尾理(じゃれお・おさむ)さんをはじめとする複数のダンサーやアーティストが参加するほか、マレーシアにいる高齢者や介護者とオンラインで繋ぎ、普段施設で行っているワークショップの様子も披露します。

手を繋ぎ並ぶ4人の人たち
シンガポールでの高齢者施設で実施した「とつとつダンス」ワークショップの様子(2024)
オンラインで海外と繋ぎながらトークをするダンサー2人
「とつとつダンス」パフォーマンス公演 in 東京(2023)より。写真:西野正将

老人ホームで生まれた「とつとつダンス」

「とつとつダンス」が生まれたのは、今から15年ほど遡る2009年。振付家/ダンサーの砂連尾理さんを中心に、ダンサーや映像作家が京都府舞鶴市の特別養護老人ホーム〈グレイスヴィルまいづる〉を訪問し、入居者や職員とともにダンスワークショップやダンス公演を展開してきました。

これまで施設を利用する認知症のある高齢者や介護職員のほか、地域住民なども加わり、350回以上のワークショップと、それをもとにしたダンス公演を国内4会場で開催してきました。日常的な身体の動きやコミュニケーション・対話から表現を引き出し、時にはそうした関わり合いを通して、認知症のある人の過去の記憶が引き出されることもあるのだそう。

2020年コロナ禍で対面での交流が難しくなってからは、オンラインも活用しながら活動を継続。2022年以降はマレーシア、シンガポール在住の認知症のある人々との「とつとつダンス」もスタート。各地で、高齢者や認知症患者とのダンスワークショップや勉強会、トークイベント、パフォーマンス公演などを通して、身体コミュニケーションの可能性を探っています。

シンガポールでの高齢者施設で実施した「とつとつダンス」ワークショップの様子(2024)

ダンサーの砂連尾理さん、神村恵さん、映画監督の石田智哉さんらが出演する大阪公演

1月25日(土)・26日(日)の2日間、大阪で開催されるパフォーマンス公演では、日本、マレーシア、シンガポールの認知症者、介護者、アーティストたちと繰り広げてきたダンスワークショップを、ダンサーの砂連尾理さん、神村恵さん、西岡樹里さん、大迫健司さん、そして、映画監督の石田智哉さんが 出演し、その体験を再現・共有します。

砂連尾理さん(振付家・ダンサー)写真:草本利枝
神村恵さん(振付家・ダンサー)Photo by Nahoko Morimoto
西岡樹里さん(ダンサー)写真:阪下滉成
大迫健司さん(ダンサー)写真:松本和幸

石田智哉さんは、2021年に公開された、障害のある人の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー映画『へんしんっ!』で監督を務めています。当時学生だった石田監督が、さまざまな表現者に取材をしに行くところからスタートする本作品には、石田監督自身も出演し、表現者として登場する砂連尾理さんとダンスをするシーンもあります。

石田智哉さん(映画監督)

パフォーマンス公演では、マレーシアの認知症のある人や介護者とオンラインで繋ぎ、現地施設で行っているワークショップを遠隔で行い、発表します。パフォーマンス中は、各回にUDトークによる字幕提供があり、25日は手話通訳が入ります。また、会場ロビーでは、過去に実施した「とつとつダンス」ワークショップの記録映像の上映もあります。

「とつとつダンス」がこれまで国内で積み重ねてきた経験や、海外での新しい展開について、パフォーマンスや記録映像を通して触れられる貴重な機会です。さらに、2025年2月15日(土)、16日(日)には、東京・中野にある〈水性-suisei-〉にて映像上映とトークも開催される予定です。ぜひ会場へ足を運んで、身体表現を通じたコミュニケーションのあり方について共有し、一緒に考えてみませんか。