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vol.052023.04.17同じ場所に立とうとすることで見えてくるもの ―妄想恋愛詩人・ムラキングと詩を書こう
今回のテーマとあらすじ 〜“立場”を裏返してみる〜 妄想恋愛詩人・ムラキングの「ポロリとひとこと」。連載5回目のテーマは「みんなで詩を書いてみる」、裏テーマは「“立場”を裏返す」です。 この連載でこれまで考えてきたのは、生きていく上で重要な「表現」のこと。そして表現しながら生きる切実さと大変さです。書くことを続けてきたムラキングさんにとって、詩が残ったり、誤解されたり、自分と離れていく不安はいつもセットだといいます。今までの記事でも「表現」というポジティブな言葉の裏に潜む、後ろ向きな気持ちを正直に話していただきました。 が、しかし、本当にそれでいいんでしょうか? 言葉にする不安をさらに言葉にしてもらって、ムラキングさんにばかり私的な出来事や感情を差し出してもらって……。ずっとモヤモヤしてきました。 そんな気持ちから、今回は取材メンバーが詩作に挑戦してみることに。ムラキングさんには、書く人の横で見守る“先生”の役をお願いしました。自分の考えや感情を言葉で表すってどういうことなんでしょう。それが「怖い」ってどんな感覚なんでしょう。 わからないから、まずは自分たちもやってみよう。そんな企画です。 この企画に取り掛かるにあたり、ムラキングさんが過去の詩を見せてくれることになりました。「過去のものは見せたくない」と言っていたのに、大量のファイルを持って、地元・静岡県浜松市で待っていてくれたムラキングさん。「ああ、またまた差し出してもらってしまったかも」と思いつつ、いちムラキングファンとして作品を味わうところから取材がはじまります。(こここ編集部・中田)

vol.042022.10.19詩を書いている自分は自分じゃない? ―妄想恋愛詩人・ムラキングの「表現」をめぐる葛藤
今回のテーマとあらすじ 妄想恋愛詩人・ムラキングの「ポロリとひとこと」。連載4回目のテーマは「表現」です。 「妄想恋愛詩人」として活動するムラキングさんですが、実は「詩人」を名乗ることにためらいがあったり、それでもやはり書くこと・創作することは手放せなかったり、日々揺れる気持ちを抱いているそう。連載第1回でも「アーティストにはなりたくない」「つくったらそこでもうおしまい」とお話しされていました。 それでもやっぱり、私たち〈こここ〉編集部がムラキングさんに出会い、惹かれたのは、ムラキングさんがつむいだ詩に惹かれたから。この連載で毎回、詩のワークショップをやっているのも、創作による出会いの力を借りたいからです。 生きていくうえで何かを表したり、つくったりすることは、ささやかでも大事なことのように思います。そこで今回は、悩みながらも「妄想恋愛詩人」を続けるムラキングさんに、「つくる」についてお話を聞いてみることにしました。ムラキングさんの活動に10年以上伴走している、認定NPO法人クリエイティブサポートレッツの水越雅人さんにも、“横で見ている人”の視点で語っていただきました。 みんなでおしゃべりするための場所を提供いただいたのは、静岡県浜松市の「読書空間 ひつじ日和」さん。ご家族で運営されている素敵な本屋さんです。それでは、今回のおしゃべりをどうぞ。(こここ編集部・中田)

vol.032022.06.02「いちゃダメと言われない場所を探して」―妄想恋愛詩人・ムラキングと「居場所」をめぐる話
なんだか落ち着く、ついつい通っちゃう、気づけば常連だったーー。この記事を読んでいるあなたに「居場所」と呼べるところはありますか? あるいは、日頃からそういった場所を探していますか? 妄想恋愛詩人・ムラキングの連載「ポロリとひとこと」。第2回のテーマは「居場所」です。「常に『居場所』を探している」というムラキングさん。打ち合わせでもしばしば出てくるのが「居場所」というキーワードでした。かたや、福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉でも、この「居場所」という言葉がよく出てきています。もしかしたら「居てもいい場所」は、“みんなの福祉=幸福”と深い関わりがあるのかもしれません。なんで居場所が必要なんだろう? どんな場所が居場所と呼べるのだろう? そんなことをゆるやかに考えてみるべく、今回もムラキングさんが生活する静岡県浜松市にお邪魔しました。ファミレス、漫画喫茶、公共施設、フリースペース……ムラキングさんが居場所にしている場所を実際に一巡りしてから、コミュニティスペース「黒板とキッチン」に腰を落ち着けておしゃべりしました。 季節はまだ冬のことでした。冷たい雨で冷え切った身体をさすりながら。(こここ編集部・中田)

vol.022021.10.21「恋愛は、分岐点が3つ」―妄想恋愛詩人・ムラキングさんと企画会議してきました[後編]
2021年初夏、こここ編集部の中田と岩中は、とある人物をたずねて、静岡県浜松市の〈たけし文化センター連尺町〉を訪れました。その人の名前は、“妄想恋愛詩人”ムラキング。 「初キスはお昼ご飯の味でした」「全部中途半端」「添加物まみれのこの体」など、笑いと悲哀が詰まった「たまに名言」シリーズのほか、妄想恋愛をテーマにした詩や小説など、ことばを表現手段にして活動されています。恋愛について考えたこと、過去の落ち込んだ出来事、日常の気になるあれこれ……。ムラキングさんが繰り出すことばは、真面目さと優しさを備えつつどこかユーモラスな姿であらわれるところが魅力的です。 そんなムラキングさんと「ぜひ〈こここ〉で連載企画をご一緒したい!」とオファーしたのですが、ご本人は嬉しいと感じてくださった反面、大きなプレッシャーから緊張されているそう……。そこで、どうしたらお互いに心地よく企画を進められるのか、一緒に考えるところからはじめて、その過程もまた記事にすることにしました。 前編に引き続き、ゆるゆると話題の寄り道をしつつも「どうしたら安心して連載ができるのか」から考えた企画会議の様子をお届けします。最後には詩のワークショップもやってみましたよ。 (こここ編集部・中田)

vol.012021.10.21「壁があったら自然に曲がる」―妄想恋愛詩人・ムラキングさんと企画会議してきました[前編]
2021年初夏、こここ編集部の中田と岩中は、とある人物をたずねて、静岡県浜松市の〈たけし文化センター連尺町〉を訪れました。その人の名前は、“妄想恋愛詩人”ムラキング。 「初キスはお昼ご飯の味でした」「全部中途半端」「添加物まみれのこの体」など、笑いと悲哀が詰まった「たまに名言」シリーズのほか、妄想恋愛をテーマにした詩や小説など、ことばを表現手段にして活動されています。恋愛について考えたこと、過去の落ち込んだ出来事、日常の気になるあれこれ……。ムラキングさんが繰り出すことばは、真面目さと優しさを備えつつどこかユーモラスな姿であらわれるところが魅力的です。 こここ編集長の中田もまた、そんなムラキングさんのことばに射止められたひとり。「ぜひ〈こここ〉で連載企画をご一緒したい!」とオファーしたのですが、ムラキングさんは嬉しいと感じてくださった反面、大きなプレッシャーから緊張されているそう……。そこで、どうしたらお互いに心地よく企画を進められるのか、一緒に考えるところからはじめて、その過程もまた記事にすることにしました。 また、ムラキングさんは約10年前から、認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ(以下、「レッツ」)が運営する、障害福祉施設〈アルス・ノヴァ〉や〈たけし文化センター連尺町〉を利用しています。今回の企画では、ムラキングさんはもちろん、レッツのスタッフでムラキングさんと長年関わり合いのある、水越雅人さんにも参加していただきます。 第1回は、企画会議のような、ただのおしゃべりのような、ゆるくて脱線だらけのトークをお届けします。格好つけすぎず、ありのままで、なおかつ安心して続けられる「連載」とは、どんなかたちがあるのでしょう? ムラキングさんも、水越さんも、編集部メンバーも、悩みながら話してみました。 (こここ編集部・中田)