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「恋愛は、分岐点が3つ」―妄想恋愛詩人・ムラキングさんと企画会議してきました[後編] 妄想恋愛詩人・ムラキングの「ポロリとひとこと」 vol.02

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2021年初夏、こここ編集部の中田と岩中は、とある人物をたずねて、静岡県浜松市の〈たけし文化センター連尺町〉を訪れました。その人の名前は、“妄想恋愛詩人”ムラキング

「初キスはお昼ご飯の味でした」「全部中途半端」「添加物まみれのこの体」など、笑いと悲哀が詰まった「たまに名言」シリーズのほか、妄想恋愛をテーマにした詩や小説など、ことばを表現手段にして活動されています。恋愛について考えたこと、過去の落ち込んだ出来事、日常の気になるあれこれ……。ムラキングさんが繰り出すことばは、真面目さと優しさを備えつつどこかユーモラスな姿であらわれるところが魅力的です。

そんなムラキングさんと「ぜひ〈こここ〉で連載企画をご一緒したい!」とオファーしたのですが、ご本人は嬉しいと感じてくださった反面、大きなプレッシャーから緊張されているそう……。そこで、どうしたらお互いに心地よく企画を進められるのか、一緒に考えるところからはじめて、その過程もまた記事にすることにしました。

前編に引き続き、ゆるゆると話題の寄り道をしつつも「どうしたら安心して連載ができるのか」から考えた企画会議の様子をお届けします。最後には詩のワークショップもやってみましたよ。

(こここ編集部・中田)

ひきつづき、ゆっくり進む企画会議の様子をお届けします。

登場人物紹介

ムラキング: 1981年生まれ。高校生ぐらいから詩を書く。即興で詩を書くのが得意。認定NPO法人クリエイティブサポートレッツの就労継続支援B型を利用している。統合失調症。自信がなく、ときどき不安でいっぱいになることもあるが、興味のあることに対しては分野関係なく、まずは手をつけてみたいタイプ。好きなファミレスはデニーズ。

水越雅人:認定NPO法人クリエイティブサポートレッツのスタッフ。障害のある人の活動・居場所・仕事づくりをサポートする就労継続支援B型事業担当。同い年のムラキングと出会って10年。ムラキングにツッコミを入れる担当でもある。たまに喧嘩したりしながらも一緒に活動している。

中田一会:こここ編集長。5年前、ムラキングの「たまに名言」に出会って以来のムラキングファン。連載企画をオファーしたものの「プレッシャーで不安になっている」と聞いて岩中とレッツへ。情熱はあるがうっかり者。

岩中可南子:こここ編集部メンバー。パフォーミングアーツやアートプロジェクトのコーディネーターもしている。ムラキングとはSNSでつながっていて今回が初対面。ムラキングと自分の生年月日が同じなことに、密かな縁を感じている。

すぐ破綻しましたね

レッツ・水越

「でもここのところ、ムラキングが即興で一言つぶやく『たまに名言』はやってないんです」

こここ・中田&岩中

「そうなんですね」

ムラキング

「最近は長い文章を好んで書いているので。Facebookに長い詩を載せて。その長い詩からの一部や短く考えたやつをTwitterに上げてたんですけど、最近はやってないですね」

レッツ・水越

「もともとは『寺の和尚さんが門前に貼り出す一言』みたいなやつを、ムラキングに仕事としてお願いしてたんです。7年前くらいから書いてもらって」

ムラキング

「でもすぐ破綻しましたね」

レッツ・水越

「試しで1日1枚書くところから始めてみたんだけどね」

ムラキング

「書けなくなっちゃったんです。人に見せようと思うと、ことばが自然と偉そうになっちゃうんですよ。うまくいかない」

レッツ・水越

「だから、そこからムラキングだけでなく、皆で『たまに名言』を書くようにしたんだよね。3年前くらいかな。ちょっとお互い探りながらやっていて、最初はムラキングが自分で『詩人』を名乗っていて」

ムラキング

「詩を書くことが好きだったので」

レッツ・水越

「でもだんだん、ムラキングも詩人・上田假奈代さんの影響で、ワークショップや、人をインタビューして詩にする活動をはじめて。独りでやるっていうスタイルはどっちでもよくなった。『たまに名言』もその日、皆で書いて、その中からよいものをひとつ選ぶことにしたんです。そっちのほうがリラックスして書けるから。プレッシャーも減るし」

【画像】他の人が書いた名言の例。たぶん多くの人が半袖の中、僕はこの夏の残りを過ごす。
他の人が書いた「たまに名言」
ムラキング

「だらしないんです、僕。大体だらしなさすぎて。別の人に書いてもらって、ピックアップ作品として選ばれるのは、他の人のばかり」

レッツ・水越

「いやいや、そんなことない。全然違うよ」

ムラキング

「いやいやいやいや、本当に本当に本当に本当に」

レッツ・水越

「わかったじゃあ、そんなにムラキングが『本当に』っていうんだったらそういうことにしよう。ここで歴史が作られた、ムラキングによって」

こここ・中田

「全然譲らないですね、水越さん」

レッツ・水越

「でも結局、皆で書く『たまに名言も』も、それ以降は続かなくて。ムラキングも、今は小説に関心があって、詩の数が減ってるので」

こここ・岩中

「いまは小説なんですね」

レッツ・水越

「ムラキングの人生によって、そのときの感じによって色々変わるので。僕はもう『たまに名言』シリーズにおいて『全部中途半端』が出た時点で、満足しました」

ムラキング

「3年くらい続けて、溜まった言葉の中から幾つか選んで缶バッジにしたんですけど、その中のひとつが『全部中途半端』。なにをやってもうまくいかないし。けど、なにかやろうとするところが、っていうのは自分にあって。そういう意味で」

【画像】白い丸いカンバッヂに縦書きで「全部中途半端」と手書き文字がプリントされている。
そんなこんなから生まれた「全部中途半端」バッヂ。お買い求めはレッツの公式ウェブショップからどうぞ

恋愛は、分岐点が3つ

こここ・中田

「ムラキングさん、最近は妄想恋愛詩人とは名乗ってないんですか?」

ムラキング

「名乗ってはいます。たとえば小説に興味を持ちつつも、また詩を書きたいなと思ったときは大体、恋愛のことをちょこちょこと書いていて。そうすると妄想――好きな人のこととかを考えたりするんですけど、わかっちゃう人はわかっちゃう。だから一時期、その人のことを想って書いていたときに、『これ私のことだよね?』って聞かれたことがあって。『いやいや違う』とは言えないじゃないですか」

こここ・中田

「そうですね。実際、想って書いているわけだし」

ムラキング

「それで意外と『そっか。こういうのって人に誤解を生みやすいんだな』って思って」

レッツ・水越

「それでこのあいだAKBとの妄想恋愛小説を書こうとして、スキルがなくて失敗したんだよね」

ムラキング

「スキルがいるんですよ、妄想の」

レッツ・水越

「メンバーを増やしすぎちゃって」

ムラキング

「全員を作中に使おうとするから、超長編になる」

レッツ・水越

「1対1にしとけばいいのに」

こここ・中田

「一大叙事詩ですよ、それは」

こここ・岩中

「描き切れない……」

ムラキング

「リアルな恋愛は無理だと思っているんですよ。人を好きになったりはするんですけど、自分の立場上、それを言っていいかどうかわからなくなるのはすごくあって」

レッツ・水越

「ちなみに、そういうムラキングもリアルな恋愛はしっかり経験していると僕からお伝えします」

ムラキング

「恋愛は、分岐点が3つあって。恋愛前・恋愛中・恋愛後のなかで、恋愛後を書いているのが、やっぱ一番楽しいんですよ」

こここ・中田

「興味深い」

ムラキング

「恋愛後を書くと、自分がフられたときに、『そっか。僕が思ってたとおりだったんだな』っていう風になるから、それを書くのが一番楽ですね。恋愛前とかは、それこそ『ときメモ』みたいになるし、付き合っているあいだは……付き合ってるあいだにも分岐があるのか。例えば出会ってからそれまでと、別れる話を考えるまで。だから正確には4分岐か。その別れる手前と別れた後はすごく書きやすいんですよ。こっちがもう自信がなくなってるから、自信がない状態を続けるのも嫌だなと思って、それを詩に落とし込んで『もう、そういうことだよね』って思って別れるみたいな」

レッツ・水越

「この連載で、恋愛の話とかも僕はただ聞いてみたいな」

こここ・中田

「恋愛中とか、付き合っている状態じゃないほうが、ストーリー性は確かにありますよね。恋愛中は単純にうきうきしているから」

ムラキング

「そうすると個人としてのやり方を考えちゃうから。結局恋愛ってなんだろうって探っていくから、その人から遠くなる。書いちゃうと遠くなっていっちゃうから、結果的に失恋の詩を書くようになり、最終的にこの人と僕は一生結ばれないんだろうなと思って、おしまいにする」

レッツ・水越

「いや、今、ムラキングは、自分のなかで意味付けしてますけど、そんなかっこいいまとまった話だけじゃないと思うな。ないないないない。心の中はどっろどろのべちゃべちゃですよ(笑)」

こここ・中田

「えええー。どんな話だったのかな。それにしても、ムラキングさんをキラキラさせないっていう水越さんの役割が発動している。なかなか、うまくまとめさせませんね」

伊達に10年間一緒に過ごしてきてない。いろいろあったようです

アーティストになるのが嫌

レッツ・水越

「ちなみに、改めて聞きたいんですけど、〈こここ〉は、なぜムラキングに連載を依頼したんですか?」

こここ・中田

「〈こここ〉は、『人』に出会えるメディアにしたいと思って、いろいろな人や場所をたずねています。それは必ずしも有名人である必要はなくて。出会ったら気になって、自分の感覚がちょっと揺るがされるような、会いに行きたくなるような人。私自身、〈こここ〉創刊やほかの仕事のリサーチで、いろいろな福祉施設を巡ったのですが、ムラキングさんのことはとても印象に残っていて」

レッツ・水越

「というのは?」

こここ・中田

「佇まいも印象的だし、詩やことばもいいし、手書きの文字もいい。こうやって一緒に話している時間も、ワークショップのときも穏やかで、ついつい話したくなっちゃう感じというか。もちろん、本人としては落ち込んだり、穏やかじゃないときもたくさんあるとは思うんですが、単純に私は〈こここ〉を通じて、読者にムラキングさんと出会ってほしいなと思ったんです。レッツは刺激的でユニークな活動をしている施設でいろいろな取材方法があるけど、もしかしたら最初は、そこに長くいるムラキングと企画を一緒にやるのはどうかなと思って」

ムラキング

「そのあとに壮大なレッツの歴史を語る……」

こここ・中田

「いや、レッツを代表しなくていいですよ! 語らなくて大丈夫。あと、以前からムラキングが『アーティストと呼ばれたくない、その荷が重い』と言っていたけれど、完璧に出来ているアーティストとしてじゃなくて、凸凹ありながらもことばを紡ぐ人、書くことを続けている人として登場してほしいです」

ムラキング

「ありがとうございます」

こここ・中田

「だから私たちとしては、連載の進め方も『これはちょっとしんどいかも』ということを確認しながら進めたいです。この企画を一緒にやりたいって手を挙げてくれた岩中さんはどう?」

こここ・岩中

「私自身は、とにかくムラキングと会ってみたい、お話をしたいなと思ってたんです。中田さんの言っていたムラキングのチャーミングさって、私も直接会ったことはないけど、詩やラジオを通して感じていて。喋っている雰囲気とか、迷って行ったり来たりしているのがそのまま出ている感じとか、すごくいいなって思ってて。その空気感含めて読者の人にも感じてもらいたいという思いがありました」

ムラキング

「ちなみに、僕がアーティストになるのが嫌だと言っている理由は、話してないですよね」

こここ・中田

「はい。聞きたいです」

ムラキング

「アーティストになっちゃうと、結果的に独りになっちゃうじゃないですか。例えば商業用の詩を書くとかはすごく大変だし、評価されない可能性のほうが高い。書き続けなきゃいけない。書き続けるって大変だってわかっているので。最終的にネタが尽きちゃうじゃないですか。そうなるのが、すごく嫌で。水越さんは前から『ムラキングは普通にいればいい』って言ってくれるんですけど。あまり期待されると困るんです。『この人がレッツを代表するアーティストです』と言われてしまうと、『いやそれは、レッツでやることがないから、ここで書いているだけだ』って僕は思う」

レッツ・水越

「売れることを考えるとしんどい、という話はよくしているよね」

こここ・岩中

「なるほど」

こここ・中田

「編集長の自分が言っちゃいますが、〈こここ〉って、まだそんなに大きなメディアじゃないところもいいと思うんですよ。今年の4月にはじまったばかりで、いろいろ試しているところ。もちろん、メディアに載るとか、取材されるとか、ネットに残るとか、そういう重みは媒体の大小問わずあるのはわかります。だけど今のうちに一緒に遊ぶというか、泳いでもらえたら本当は嬉しいです」

レッツ・水越

「一緒につくるようなかたちで進めればいいですよね。全部ムラキングに責任を押し付けることはないし」

こここ・中田

「そうそう。『個と個で一緒にできること』が〈こここ〉のテーマです。ムラキング頼りではいけない。私たちも一緒に考えさせてください」

ムラキング

「写真家の人が出版社に作品を持ち込んで、最初の写真集を出したって話を読んだときに、プロで活躍する人はこういうやり方なんだなと、思って。僕は途中でだらけちゃうからダメなんです。いろんなことに途中でだらけるんです、それをすごい考えちゃう」

レッツ・水越

「ムラキングはだらけてるんじゃないよ。詩集も作ったんですよ。Facebookでメッセージを上げて、それをコピーしてWordで作った。詩も400から500ほど入っている。だけど作ったあと、詩集に一切興味がないんだよね」

ムラキング

「作ったらもうそこでおしまいだから」

レッツ・水越

「作った作品を広めたいとか、写真家だったら個展を開くとか、写真集をつくるとか。そういうことにそもそも興味ないんじゃない? だから、ムラキングが望むゴールの位置が、他の作家さんやアーティストとは違うってことだと僕は思っている。だからそれはたぶん、できないんじゃなくて、目指していることが違う感じなんじゃないかな」

こここ・中田

「ずっと一緒に活動してきた水越さんならではのことばですね。私も創作っていろいろな形があっていいと思ってます」

『北斗の拳』ではない

レッツ・水越

「こういうムラキングの話をベースにした記事って、人が考えるきっかけをつくるものなんじゃないかなって僕は思います。直視せずに蓋をしていた物事を開けてくれるというか。で、それはアーティストとして強い発言をする、世の中にインパクトを与えるみたいなこととは違っていいはず」

こここ・中田

「そう思います。そのためにこうやっておしゃべりで一緒に考えたことを記事でどう表現するかは、私たち編集部が頑張らないといけないことで」

ムラキング

「はあ、すみません本当に」

こここ・岩中

「いやいや、謝らないでください。私たちの仕事です!」

こここ・中田

「読む人には、『そうやって肩の力を抜いてもいいんだ』とか『こういうのってしんどいよね』とかが共有できたら嬉しいです。『ギターのFコードが押さえられないからやめちゃう』って話も、『書きたい小説がいまいち書ききれない』って話も、すごく好きでした。躓いたら、やめてもいいじゃないですか。あまり大きな声では言わない人も多いけど、ムラキングはそういうことをちゃんと明かしてくれる」

ムラキング

「自分が肯定することによって、やっぱり誰かの心が温かくなればいいなというのはすごくあります」

レッツ・水越

「ムラキング自身が、周りの人と同じことが出来なかったり、同じ社会を生きているのに自分だけ嚙み合わない感覚があったりすることで、気付いているところもありますよね。でもそれを『ムラキングだからできるいい話』でまとめるのは違うとも思うんです。たとえば、『膝立ちしすぎてズボンが破れて引きずって歩いてもいいじゃねえか』というエピソードを笑いつつ肯定したときに、『じゃあ僕らの社会とか生活で“ちゃんとすること”ってどう考えたらいいのか』みたいなことをみんなで話すきっかけになるといいというか」

ムラキング

「僕、ときどき喋ってること全部忘れて憶えてないんですよ」

レッツ・水越

「忘れるのはもうしょうがないと思う。忘れたら忘れたって本当に言ったほうがいいし、今日みたいに緊張してるんだったら緊張しているって言えばいいんじゃない。もし、そういうのがあった場合は、僕を通してでもいいし、〈こここ〉メンバーと話す場を作ればよくて。全部抱える必要はないし、作るのはみんなで作って。なにもムラキングにいいこと言ってくださいってプレッシャーじゃなくて、お互いに話をして、というところだから。あとは、調子とのバランスをとりましょう」

こここ・中田

「いよいよというときは、水越さんにも助けてもらって。ちゃんとストップかけましょう」

レッツ・水越

「中田さんも岩中さんも全然『北斗の拳』みたいな人たちじゃないから」

こここ・中田

「『北斗の拳』!? そうですね、私たち、そんな強くないですよ」

レッツ・水越

「『マガジンハウスのメディア』って聞くと、イメージ的には北斗のラオウとかケンシロウって感じですけど、むしろトキみたいな」

こここ・中田

「トキ?! ええ、もちろん、怖がらずにいてもらえたら嬉しいなって」

ムラキング

「そうですよね。わかりました」

レッツ・水越

「これはね、ある種ムラキングにとっての修行みたいなもんじゃないかな。あ、北斗の拳みたいになっちゃった!」

詩のワークショップをやってみよう

こここ・中田

「最後にお願いがあって。もともとこのシリーズは、ムラキングがやってきた即興詩のワークショップを、いろいろな人を交えつつ、記事のなかでやってみようという企画でした。一度ここで試してもいいでしょうか」

レッツ・水越

「いつもみたいな感じで、岩中さんと話しながらやってみたらいいんじゃない」

ムラキング

「やってみます。いつもワークショップでは『来世占い』を詩でしてて」

こここ・中田

「来世占い!」

こここ・岩中

「来世占い! え〜、楽しみ。よろしくおねがいします」

編集部・岩中と「詩の来世占い」をしてみる
ムラキング

「岩中さんって、人間以外でなりたいものありますか」

こここ・岩中

「なんだろう。カメとか好きですかね。でも楽しくないかな……あとは鳥とか。空を飛んでみたいです」

ムラキング

「大きい鳥がいいですか、小さい鳥がいいですか」

こここ・岩中

「自分ちっちゃいから、大きいものに憧れるかも……」

ムラキング

「あ、そう、岩中さんが思ったよりちっちゃかった。SNSのプロフィール写真だともっと大きいイメージで」

こここ・岩中

「それよく言われます。でもずーっと小学校から背の順は、前のほうだったんですよ」

ムラキング

「僕も前のほうでした」(と、書きはじめる)

こここ・岩中

「伸びるといいなって思ってましたよね」(と、書く様子を見守る)

ムラキング

「はい、どうぞ」

こここ・岩中

「おお……迫力のあるカメ……ではなく……」

迫力のあるカメは
やっぱり私には
少し考えてもなりたくない
少しでもいいから
大きく見せるだけでいいから
誰かより
先にどこかにたどりつく
鳥になると私はいいよ

―M(ムラキング)

こここ・中田

「鳥だった……! 」

ムラキング

「カメの話が途中で終わっちゃったので」

こここ岩中

「ふふふ。いいですね。嬉しい」

ムラキング

「一番最初にでてきたものって、案外ちがったりするんですよね。だから鳥なんだろうなって」

こここ・岩中

「書いているときの集中力すごかった。どんなことを考えてたんですか?」

ムラキング

「相手を想像して相手を書くか、想像したものから変化させるか、そういう書き方をするようにしています。来世占いにしてるのもそういう感じ」

こここ・岩中

「“先にどこかにたどりつく鳥”かぁ」

ムラキング

「なんか、さっき〈こここ〉の話をしていて、情報にたどりつくみたいなイメージがあって。それで」

こここ・中田

「書いてみてどうでした?」

ムラキング

「久しぶりだったけど意外と書けた気がする。やってみると楽しいです」

こここ・中田

「よかった。こんな感じで、ちょっとやり方は相談しつつ、〈こここ〉と一緒に連載やってみていただけますか?」

ムラキング

「はい。わかりました。やってみます」

【画像】「ポロリとひとこと」と書いた紙を持つムラキングさん
題字も書きました。連載タイトルは「ポロリとひとこと」に決定。

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連載:妄想恋愛詩人・ムラキングの「ポロリとひとこと」