数年前、主催する研修会で「僕は障害者が大好きです」と嬉しそうに発言した人に対して怒りを隠せなかった。当然のことながら、彼の「大好き」は障害者という<総体>などではなく、ある<個人>に向けられた思いなのだから、これほど雑で失礼な括り方はない。
この国の大好物は<みんな>。みんなで同じ格好をしましょう、黙っときましょう、玉砕しましょう。が、人にはそれぞれ揺るがしがたい好き嫌いというものがある。それは自分が自分であり続けるために意地でも手放してはいけない感情のひとつだと思う。(木ノ戸昌幸)
この連載について
「生き方は、ひとつじゃないぜ。」
京都府・上賀茂に所在する生活介護事業所〈スウィング〉のウェブサイトに、書かれている言葉です。
スウィングの活動はさまざま。絵・詩・?の芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、戦隊ヒーローのブルーに紛したメンバーがまち中でごみを拾う「ゴミコロリ」、「世の中、意味があることが多すぎる!!鼻クソみたいにどうでもいいことを話したい」とはじまった「Swing鼻クソRADIO」など、既存の仕事観・価値観に問いかけを投げつつ、創造的な取り組みを重ねています。
この連載では、そんなスウィングから「贈る言葉」をお届けしています。(こここ編集部 垣花)
Information
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思うに任せぬ人生だから「うまくいく」なんて稀なこと。むしろ失敗、基本やん(Shippai Kihon Yan=SKY)。
けれどなぜか失敗に対して異常に冷たかったり、過剰に失敗を恐れなければいけない残念な社会です。
株式会社NPOおよび福祉施設<スウィング>は、そんな窮屈で息苦しい世の中のセーフゾーンをジワジワと拡張すべく、ギリギリアウトを狙ってさまざまな活動を展開しています。
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木ノ戸昌幸
株式会社NPO 代表取締役
1977年生まれ・愛媛県出身。株式会社NPO代表取締役、元NPO法人スウィング理事長、フリーペーパー『Swinging』編集長、スウィング公共図書館CEO。引きこもり支援NPO、演劇、遺跡発掘、福祉施設勤務等の活動・職を経て、2006年、京都・上賀茂に<スウィング>を設立。仕事を「人や社会に働きかけること」と定義し、清掃活動「ゴミコロリ」、芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」等の活動をプロデュース。ギリギリアウトを狙った創造的実践や発信を通して窮屈な社会の規定値を拡張したいと願う。単著に『まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験』(2019/朝日出版社)。
(プロフィール写真撮影:Numata Ryohei)
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Q
1973年生・京都府京都市在住。高校卒業後、複数の職場、職業を経て2006年よりスウィングに所属。2008年に始動した芸術創作活動「オレたちひょうげん族」創設メンバーのひとり。2012年より詩作、2013年よりXL、木ノ戸とともに京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」をスタート。数々の名珍エピソードを生み出し続け、『まともがゆれる』(朝日出版社/2019)には最も数多く登場している。2016年、個展「Qの世界」(恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール/京都)開催。