ニュース&トピックス

レッジョ・エミリア・アプローチから着想。「100のことばはこえる。」展が渋谷区で開催
展覧会情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. レッジョ・エミリア・アプローチから着想。「100のことばはこえる。」展が渋谷区で開催

いべんとばなー
渋谷や原宿、代々木公園を舞台に、「100のことばはこえる。」展が開催されています

レッジョ・エミリア教育の考えから生まれた、「100のことばはこえる。」展

子どもたちの創造的な思考を育む幼児教育法として近年日本でも広がりをみせる「レッジョ・エミリア・アプローチ」をご存じでしょうか。イタリア発祥のこの教育法は、 1991年に「世界で最も優れた10の学校」に選ばれた学校が実践していたことから一躍有名に。幼児教育の国際的なロールモデルの一つとして注目されています。

そんな「レッジョ・エミリア・アプローチ」から着想を得た展覧会、「100のことばはこえる。」展(主催:まちの研究所株式会社 JIREA運営事務局)が、渋谷区にて開催されています。

てんじ
会場のひとつ〈神南ネウボラ子育て支援センター coしぶや〉での展示

レッジョ・エミリア・アプローチとは?

展覧会の着想もとになる「レッジョ・エミリア・アプローチ」は、1960年代頃からイタリア北部の小さな町で始まった幼児教育法。子ども一人ひとりがもつ可能性を尊重し、想像力や表現力を育むアプローチです。

特に大切にされているのが、「共同性」と「創造性」です。

「共同性」とは、コミュニティの参加。「レッジョ・エミリア・アプローチ」では、「教育はすべての子どもの権利であり、コミュニティの責任である」と定義されています。専門的な理論や教育思想を土台にしながらも、コミュニティの中で子ども自らが「市民」として主体的に学ぶ、豊かな保育をしています。

次に「創造性」。「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れる学校や幼稚園の多くでは、少人数のチームで興味関心を掘り下げる「プロジェクト活動」を実施しています。その際、あらかじめ決められたスケジュールや時間割はありません。子どもの「時間」感覚に合わせてプロジェクト活動は週単位や月単位、時には一年単位になることもあるそうです。

こうした「レッジョ・エミリア・アプローチ」の保育環境や子ども達の姿は、創造的で美しく、保育・教育関係者のみならず、まちづくりの観点からも魅了される方が多いのが特徴です。

『子どもたちの100の言葉』から着想

独自の活動を実践する「レッジョ・エミリア・アプローチ」の本質を表しているのが、その立役者ともなった教育学者のローリス・マラグッツィが記した詩、『子どもたちの100の言葉』です。

“子どもには 百とおりある。
子どもには 
百のことば 百の手 百の考え 百の考え方 遊び方や話し方
いつでも百の聞き方 驚き方 愛し方 歌ったり
理解するのに 百の喜び
発見するのに 百の世界
発明するのに 百の世界
夢見るのに 百の世界がある
子どもには 百のことばがある”
(『子どもたちの100の言葉』より一部抜粋)

マラグッツィの詩は、子どもたちが無限の可能性を持っていることを示しています。

え(けいご)
たねの上にとげがある。たねをまもるためにとげがあるんじゃない(けいご 5歳)

子どもたちのアイデアやことばがまちへ飛び出す

こうした思想や実践から着想を得て、開催されているのが展覧会『100のことばはこえる。』展です。

本展覧会では、「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れている保育園・幼稚園・学校の子どもたちの表現の展示から始まり、100を超えるアイデアやことばがまちへ飛び出します。

また、2022年秋冬には日本未公開のレッジョ・エミリアの教育実践の展示会や、保育・教育業界に限らずさまざまな方によるトークセッションも予定されています。ゆくゆくは、巡回展として日本各地を回る計画もあるそうです。

「まちと子どもたちの100の言葉との出会いの中で、コミュニティと共に育ち合い、社会と育ち、新しい未来が創られていくことを願い、ここ東京から3年間をかけて展覧会を育てていきます」と主催者はそのビジョンを掲げます。

え(こうき)
これはももいろで、これはピンクいろ。同じえのぐでも、ちがういろが出てくるよ(こうき 3歳)

第一弾として、2022年1月19日より渋谷を中心に、主要会場3箇所で展覧会を実施しています。会場は、渋谷と原宿を結ぶ〈穏田キャットストリート商店会〉、〈神南ネウボラ子育て支援センター coしぶや〉、そして「100のことばはこえる。」展を主催するJIREAの拠点でもある〈CCLC(まちのこども園 代々木公園 エントランス)〉です。展覧会は、まちなかで長期的に展開されます。幼児教育や子どもたちの表現などに興味のある方は、ぜひお立ち寄りください。