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「障害xデザイン|学びの空間どう作る? 共創シンポジウム」12月7日(日)東京ミッドタウンで開催!
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「いっしょに学ぶ」という風景をもう一度見つめてみる

私が通っていた小学校には、「普通学級」と「特別学級」がありました。同じ校舎の中にいながらも、別々の場所で授業を受ける。子どもながらに「どうして一緒に勉強できないのだろう」と思ったことを覚えています。

ですがもし、障害の有無に関わらず、「学び」を目的としてひとつの場に集うとしたら。授業の進め方や声のかけ方、空間のつくり方、補助のあり方は、どのように変わるのでしょうか。 そのために必要な環境や仕組みとはどんなものなのでしょうか。

こうした問いを出発点に、2025年12月7日(日)、東京ミッドタウン・デザインハブ内の〈インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター〉で、参加型シンポジウム「障害×デザイン|学びの空間どう作る?」が開催されます。「障害」と「デザイン」を軸に、学びの場をどのように育て、これからの学びのあり方をどう開いていくのか。リアル会場とオンラインをつなぎながら、一日を通して多様な視点を交わし合います。

学びの場を開いていくために。3つの主催団体が担う役割

今回のシンポジウムを主催するのは、〈日本財団DIVERSITY IN THE ARTS〉、〈多摩美術大学〉、そして〈一般社団法人ドリフターズ・インターナショナル〉の3団体です。「障害」「表現」「デザイン」「教育」の各領域で独自の取り組みを続けてきた三者の専門性が交わり、「共創」というテーマに迫ります。

〈日本財団DIVERSITY IN THE ARTS〉は、アートやエンターテイメントを通じたインクルーシブな社会の実現を目指して、これまでに、国内外で障害のある人たちの芸術文化活動を支えるプロジェクトを展開してきました。展覧会の企画、舞台芸術やダンスの公演、さらには作品を生み出す現場やアーティストの取材など、その活動は多岐にわたります。既存の枠組みにとらわれず多様な表現を紹介し、社会における多様性の価値を可視化してきました。

〈日本財団DIVERSITY IN THE ARTS〉が行ってきた芸術祭「TRUE COLORS FESTIVAL」。イベントでは、あらゆる人が参加しやすい環境をデザインすることも重要な要素となっている

〈多摩美術大学〉は、アートとデザインの学びを社会へ開いていくことを掲げ、2021年に東京ミッドタウン・デザインハブ内に「Tama Art University Bureau(TUB)」を設立しました。学生だけでなく子どもから社会人までが参加できるプログラムの企画、生まれた作品の展示・発信、企業や団体との協働による価値創出など、幅広い主体がまじわる場をつくっています。

そして、〈一般社団法人ドリフターズ・インターナショナル〉は、演劇・ダンス・建築・デザイン・観光・福祉といった領域を横断しながら、地域の資源を生かして表現の場をつくり続けている団体です。障害のある人、子ども、外国にルーツを持つ人、LGBTQ当事者など、さまざまな背景を持つ人たちとともに課題を見つけ、学び合いながらプロジェクトを進めてきました。

三者の共通点は、誰もが参加できる場をつくり、実践を通して新しい価値や関係を生んできたこと。今回のシンポジウムでは、そうした蓄積をもつ3団体が協働し、多様な立場の人がともに学ぶための「仕組み」や「環境」について考えます。

今回のシンポジウム開催にあわせて、東京ミッドタウン周辺のアクセシビリティマップを制作するワークショップを事前に実施

一日を通して広がる、「ともに学ぶ」ための実験と対話

シンポジウム当日は、午前から夕方まで、学びの場をかたちづくる視点がリレーのようにつながっていきます。

デザイナー、大学教員、表現者、プロデューサーなど様々な人がトークや議論を展開します

午前に行われる第一部では、教育や文化の現場で活動する研究者・実践者が集まり、「障害のある人とともに学びの場を作るには、どのような環境デザインが必要か」というテーマから議論がスタートします。登壇者には、多摩美術大学で教育・研究に携わる菅俊一さん、パフォーミングアーツの分野から野上絹代さん、デザインリサーチャーの島影圭佑さんなど、多様な領域で活動する面々が揃います。モデレーターを務めるのは、〈こここ〉でも紹介したことがあるプロデューサーの金森香さん

続くセッションでは、SLOW LABELの芸術監督・栗栖良依さん、一般社団法人日本障害者舞台芸術協働機構 代表理事の南部充央さん、金森香さんとともに、「芸術文化と共創の実践を次の世代へどう受け渡していくか」をテーマに語り合います。モデレーターは元True Colors Festivalプロデューサーの森真理子さんです。

午後の第二部は、リアル会場とオンライン会場の二つの場で同時に展開されます。リアル会場のトークでは、〈一般社団法人シブヤフォント〉のライラ・カセムさん、NPO法人Collable代表理事の山田小百合さん、キュレーターでアクセシビリティの研究を行う田中みゆきさん、〈情報科学芸術大学院大学IAMAS〉の小林茂さん、島影圭佑さんが登場。デザイン、アクセシビリティ、地域の実践など、異なる現場での経験を持つ登壇者たちが、「共創」に必要な視点や環境について語り合います。また、後半には〈たんぽぽの家〉の佐藤拓道さん、振付家・ダンサーの近藤良平さん、演出家・俳優・振付家の野上絹代さんが登壇し、多様な身体や感覚をめぐる表現の広がりについて考えます。

一方、オンライン会場では公開Zoom会議が3本開かれ、教育、デザイン、支援の現場をテーマにした対話が行われます。リアル会場よりも参加者との距離が近く、具体的な課題や実践を深く掘り下げる学びの場となるはずです。

夕方からの第三部は「みんなの大会議」と題し、全員参加型のセッションです。哲学者の梶谷真司さんの進行のもと、有識者として参加する島影圭佑さんやデザイナーの清水淳子さん、インクルーシブデザインを実践するタキザワケイタさん、ジャーナリストの徳永啓太さんなど、多様な立場の登壇者とともに、会場全体で未来の学びの空間について考えます。最後には、金森香さん、菅俊一さん、野上絹代さんらが一日の議論を振り返り、そのエッセンスを共有していく予定です。

また、すべてのプログラムを視覚言語研究者であり、多摩美術大学の情報デザイン学科専任講の清水淳子さん率いるグラフィックレコーディングチームが記録し、即時にオンラインにて公開します。さらに、オンライン会場では視聴者の方からの意見を表示できるオンラインツールも公開されるため、自身の意見や考えを発言してみてください。

午前・午後・夕方と重層的に展開されるプログラムのなかで、専門性の異なる人たちが交わり、問いを深めながら、誰もが参加できる学びの環境とはどんなものかを探っていく。このシンポジウムそのものが、参加者にとっての「学びの場」となる一日になるでしょう。

【画像】共創シンポジウムのイメージ画像