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ベートーヴェン「第九」を多様な人と共奏しよう!〈スローレーベル〉の新プロジェクト「Earth ∞ Pieces」参加者募集中
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星々や星雲がきらめく画像の中央に「Earth ∞ Pieces」の文字が入ったビジュアル画像
参画型音楽プロジェクト「Earth ∞ Pieces」の第一弾が、2024年3月16日(土)に横浜〈象の鼻テラス〉で開催されます

あらゆる生命が響き合う音楽プロジェクト「Earth ∞ Pieces」

東京2020パラリンピック開閉会式の企画・演出や、ヨコハマ・パラトリエンナーレなどを主催してきた〈認定NPO法人 スローレーベル〉が、音楽経験の有無や、障害や経済的事情などのハードルを超え、あらゆる人々とベートーヴェンの交響曲「喜びの歌(第九)」を合奏するプロジェクト「Earth ∞ Pieces(アースピースィーズ)」を始動しました。

その第一弾となる公演プログラム「Earth ∞ Pieces vol.1 World Premiere」が2024年3月16日(土)に予定されており、現在参画プレイヤーを募集しています。

6年をかけて「第九」を完成させる⁉

「Earth ∞ Pieces」とは、多様な背景を持つ参画者が集まり、その日1日を共に過ごし、最後に「第九」を皆で合奏するという「1日完結型」のプロジェクトです。

企画発案・監修は、〈スローレーベル〉芸術監督であり、パラリンピック開閉会式の企画・演出振付・キャスティング・リハーサル運営・コメンタリーガイドを監修した栗栖良依さん。

音楽監督には、パラリンピック開会式の楽曲提供や指揮を担った音楽家の蓮沼執太さんが就任。参画者が奏でる楽器、音、声などを取り入れ、自由で有機的なアンサンブルを発展させていきます。

笑顔を見せながら振り向く栗栖良依さんと、足を組んで椅子に座る蓮沼執太さんの写真
左・栗栖良依さん、右・蓮沼執太さん

本企画では、募集するプレイヤーに特定の楽器の演奏可否は問われません。

例えば、通常の「第九」では用いられない民族楽器、電子楽器、自作楽器などの演奏もOK。はたまた、何かを叩く、引っ掻く、弾くといった行為で音を出したり、生成AIなど先端テクノロジーによる音源や自然のなかの音を用いるなど、プレイヤー自身の好きな音づくりで参加することもできます。

もちろん楽譜が読める・読めないといった条件もなく、障害の有無、国籍、言語といったものも問われません。

楽器などを持ち扇状に座って演奏する参画者と、大勢の観覧者が見守る、蓮沼執太フルフィル公演リハーサルの写真
「Earth ∞ Pieces」は、一人ひとりが地球を構成するかけがえの無い「Piece」と捉え、その一片一片が集まり音を奏でる、というイメージのもと企画されている

3月16日(土)に行われるWorld Premiereは、神奈川県横浜市にある文化観光交流拠点〈象の鼻テラス〉にて開催。その後、場所をさまざまに変えて“旅するプロジェクト”として展開される「Earth ∞ Pieces」は、国際社会共通のSDGs達成目標である2030年まで続きます。

真の「多様性」と「調和」を目指すための実践

本プロジェクトを企画する〈スローレーベル〉は、アートの力で「多様性と調和のある世界」を目指す団体です。生産性を重視しがちな社会に「SLOW」な感性を取り戻すべく、創作現場におけるアクセシビリティの支援など、多岐にわたるプロジェクトを展開しています。

前述のパラリンピック、パラトリエンナーレのほか、世界各地でマイノリティのエンパワーメントに活用されている「ソーシャルサーカス」を2014年から日本に導入。2019年には「SLOW CIRCUS PROJECT」を発足させるなど、その普及活動にも尽力してきました。

これらの実践のなかで、物理的バリアフリーの不足、情報の壁など、さまざまな障壁の存在を目の当たりにしてきた〈スローレーベル〉。ダイバーシティの価値やその必要性が社会で認識され始めても、「取り入れる余裕がない」「構造的な問題で簡単に変えられない」といった声があがったり、取り組みが広がりつつある文化芸術の世界でも、助成金など公的資金への依存度が高く持続が難しかったり、といった現実にも出会ってきました。

一方、それらの課題をDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の観点でプロジェクトに落とし込むなかで、「多様な人が自分らしく創造性を発揮し、活躍できる」心理的安全性のある環境では、ハラスメントなどが起きにくく、結果的にメンタルヘルスを支えることにつながる、と気づいたともいいます。

今後、人や地球のウェルビーイングには「永続的に貢献できるコミュニティ(文化的エコシステム)」がより重要になるとし、アートの力でそのような社会をつくることを目指して企画されたのが「Earth ∞ Pieces」です。

文化的エコシステムを図式化した画像

音楽を切り口にすることで、身体を使う「ソーシャルサーカス」のようなプログラム以上に、多様な人々が気軽に関わりあえることが期待される「Earth ∞ Pieces」。最終的には、世界中で知られるベートヴェンの「第九」を、年齢、性別、人種、宗教、国籍など、さまざまな文化や価値観を持つ人々と共奏し、完成させていくといいます。

6年の歳月をかける壮大なプロジェクトを通じて、多様な人々が交わる機会を生み出し、あらゆるバリアを超えて真の多様性と調和のある世界を希求する、ひとつの先駆モデルを目指しています。

参加枠は4種類! トークサロンのアーカイブ動画も配信中

2024年3月16日(土)に行われるプロジェクト第一弾「Earth ∞ Pieces vol.1 World Premiere」には、4つの募集カテゴリーが用意されています。

・「U25スカラシップシート」
障害や経済的事情などにより、音楽にアクセスすることが困難でありながらも、音楽に対する熱意がある方や、本プロジェクトで未来を切り拓きたいという意欲のある方。原則14~25歳の青少年。参画費は無料、応募締切は1月21日(日)、結果発表は1月下旬を予定。

・「プレイヤーズシート」
自身が持つ楽器演奏や歌唱のスキルで、自分や誰かをエンパワーしたい、新しい表現の可能性を広げたいという方。吹奏楽部に所属していた方、バンドをやっている・いた方、現役ミュージシャンの方も歓迎。参画費は13,750円(税込)、応募締切は2月2日(金)、結果発表は2月上旬を予定。

・「メセナシート」
「Earth ∞ Pieces」のビジョンに共感し、国や業界を超えた新しいエコシステムの一役を担いたい、クリエイティブなアプローチでSDGsの目標達成を目指したい企業、経営者、団体に向けたシート。アート支援にとどまらず、自社製品のプレゼンテーションの機会としたり、新製品開発のエネルギーやアイデアに変えていく機会に。

・「サポーターズシート」
「Earth ∞ Pieces」のビジョンに共感し、想像力や共感力でプレイヤーを応援したい方のシート。当日は食事を楽しみながら、創作の様子を観覧できます。(※以下、1/26情報を更新)キャスト・スタッフがプレ受講するオンライン勉強会(サステナビリティ編:2/23、アクセシビリティ編:3/2)の受講権つき。申し込みはPeatixから。

「1日完結型」の企画のため、事前に集まっての練習はありません。ただし、開催前にオンラインにてプレイヤー同士の顔合わせの機会を設ける予定です。

当日は、〈象の⿐テラス〉の営業時間中に行われるパブリックタイム(14:00〜18:00)と、閉館後のクローズドな環境で、食事も交えて開かれるプレミアムタイム(19:00〜20:30)の二部制。蓮沼さんをはじめとしたサポートミュージシャンが、参画者一人ひとりとコミュニケーションを重ね、それぞれがフラットに“自分らしく”共奏できる環境を提供します。

応募は〈スローレーベル〉の公式サイトにて。視覚障害のある方など応募フォームへの入力が難しい方は、メール、電話、ファックスでも受け付けています。

金管楽器・ユーホニュームを持って楽譜を見ている女性、大勢の演奏者が輪になって合奏する「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017」の様子

また、2023年12月20日(水)にはプロジェクト始動に先駆け、栗栖さんと蓮沼さんによるトークサロンを開催。プロジェクトの背景や、募集カテゴリーの説明、今後の展望についてなどが語られました。

現在アーカイブ動画として公開されています。「Earth ∞ Pieces」に興味のある方、応募を検討されている方は、ぜひチェックしてみてください。

2023年12月20日(水)に行われたトークサロンのアーカイブ動画

第一弾開催以降も、アップデートを重ねながら2030年に向けてプロジェクトが続いていく予定です。ご興味のある方、参加してみたいという方は、「Earth ∞ Pieces」の今後の動きにも注目を!