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学びたい人が集まれば、そこが大学になる。大阪「釜ヶ崎芸術大学​2021」が開講中
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かまがさきおぺらのようす(2014ねん)
「釜ヶ崎芸術大学」が開催中です。写真は即興でつくりあげる「釜ヶ崎オ!ペラ。」の様子(2014年)

誰もが参加できる。地域に開かれた「釜ヶ崎芸術大学

日雇い労働者のまちとして栄えた、釜ヶ崎(大阪府西成区)。高度経済成長期の日本を現場から支えてきた場所である一方、ホームレス状態にある人も少なくないまちです。ここに「釜ヶ崎芸術大学(通称:釜芸)」と呼ばれる、少し変わった大学があります。キャッチコピーは、「学びたい人が集まれば、そこが大学になる」。一体どのようなものでしょうか。今年度後半の活動も交えてご紹介します。

社会に接続する場をつくり続けている〈ココルーム〉

「釜ヶ崎芸術大学」は、釜ヶ崎で開催されている地域に開かれた市民大学。2012年から、〈NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)〉が運営しています。

ココルームの代表を務めるのは、詩人の上田假奈代さんです。2003年から「表現と社会と仕事と自律」をテーマに喫茶店のふりをしながら場を開き、2016年からは旅人と地域の人が交流する35ベッドのゲストハウスを運営しています。商店街に面した玄関先では賑やかなバザーを開催。奥はジャングルのような庭が広がっています。

さまざまな人と出会い、悩みも喧嘩も笑いもありのままに共有することを〈ココルーム〉では「日々人生劇場」と呼び、訪れた人が暮らしや仕事の中で、社会と接続する場をつくっています。

天文学、哲学、美学……その数、年間100講座以上

〈ココルーム〉は釜ヶ崎で暮らす人たちとの交流が深まる中で、「話し相手がいない」「朝からお酒を飲むしかない」と行き場をなくした人たちに生きる目的を持ってもらえるよう、2012年から「釜ヶ崎芸術大学」をスタートしました。無料(カンパ歓迎!)で、住んでいる地域を問わず誰でも参加できる市民大学として、年間約100講座を開催しています。

かまがさきでせいかつするひとがせんせいをしたいどほり(2019ねん)
釜ヶ崎で生活する人達が先生になり、ココルームの庭でスコップを使って井戸掘り(2019年)

講座のテーマは天文学や哲学、芸術、詩、音楽、地理などさまざま。「学びたい人が集まれば、そこが大学になる」をキャッチコピーに、地域の施設を会場に開催してきました。

こうした活動が実を結び〈ココルーム〉は、2020年度に大阪弁護士会人権賞、国際交流基金より地球市民賞を受賞しました。

2021年度後半も楽しい講座が盛りだくさん

「釜ヶ崎芸術大学」は今年度も開催中。来年の3月まで多様な講座を開講予定です。その中から、11月に行われるいくつかの講座をご紹介します。

1113日(土)には、「Word, Body, and Sound Wave ことばとからだとおんぱ 問題行動な3人がそろって、さあ」という、振付家/ダンサーの砂連尾理さんと、作曲家の野村誠さん、そして〈ココルーム〉代表であり詩人の上田假奈代による、イベントが行われます。

1114日(日)には「合作俳句とオーケストラ公開リハ」として、上田假奈代さんと、 オーケストラ〈アミーキティア管弦楽団〉がコラボレーションしたステージのリハーサルの様子が観覧可能です。

1124日(水)には「夜回り」と題して、手紙を書いて、おむすびを結んで、野宿の方へ手渡す活動を体験できます。

その他の講座については、「釜ヶ崎芸術大学」のウェブサイトをご覧ください。

おぼうさんにまなぶこうざ(2018ねん)
お坊さんに学ぶ、死の講座。葬式プランや辞世の句をつくりました(2018年)

「釜ヶ崎芸術大学」は、全国どこに住んでいても参加できます。また、近隣の高校や中学校への出張講座を行うほか、「さいたま国際芸術祭」(2020年)や「​​ヨコハマトリエンナーレ」(2014)などの展覧会にも出展することもあります。
もし学びたいことがあれば、あなたも「釜ヶ崎芸術大学」に参加してみませんか。