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〈たんぽぽの家〉が運営する「パフォーミングアーツの広場」がオープン。障害のある人の身体表現の多様な魅力を紹介
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山、城、人、動物などがさまざまにイラストで描かれた、「パフォーミングアーツの広場」のアイキャッチ画像
(Tadashi UEDA/Abigail)

障害のある人が関わる“パフォーミングアーツ”を紹介するプラットフォーム

「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」をテーマに、アートとケアの視点から多彩なアートプロジェクトを実施する一般財団法人〈たんぽぽの家〉。2022年3月に、障害のある人が関わる“パフォーミングアーツ”の作品動画やトークを集め、その多様さや魅力を紹介するオンラインプラットフォーム「パフォーミングアーツの広場」を立ち上げました(令和3年度障害者芸術文化活動普及支援事業[厚生労働省])。

パフォーミングアーツとは、舞台やさまざまな空間で肉体を使って表現を行う芸術の総称。演劇、舞踊、歌舞伎、ミュージカル、朗読などが含まれ、日本では「舞台芸術」とも訳されます。

同法人では、オンラインパフォーマンス公演や、コミュニティ・アートセンター〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉の演劇創作プログラム「HANA PLAY」など、障害のある人が身体表現に取り組むパフォーミングアーツの作品づくりや発信を行ってきました。

障害のある人が宇宙服を着て演じる様子
〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉の演劇創作プログラム「HANA PLAY」が行った公演の様子(撮影:草本利枝)

しかし、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で、これまでのように出演者をひとつの会場に集めた公演が難しくなったことから、表現活動を行う団体やアーティストの作品動画をWebサイト上に集め、オンラインショーケースとして展開することに。誰もが気軽に視聴できる環境を整え、固定観念にとらわれない表現方法や、その楽しみ方を広く伝える場を目指しています。

建物の前に集まった5人のメンバー画像
「パフォーミングアーツの広場」の運用に関わる、〈たんぽぽの家〉のスタッフ&メンバー

5つの作品を紹介! 「オンラインショーケース」

サイトのメインコンテンツとなる、障害のある人が関わるさまざまなパフォーマンスの映像作品を紹介する「オンラインショーケース」。現在、オープニングにあわせて〈たんぽぽの家〉が選定した5作品が紹介されています(うち、1作品の動画は2022年3月末で公開終了)。

セレクトされている映像作品は、演劇、ダンス、音楽など、ジャンルはさまざま。パフォーミングアーツという括りのなかでのバリエーションを見せていきたいと、福祉施設、団体、個人など、規模や形態もさまざまな作品を選りすぐったのだとか。

パーカッション、キーボード、和太鼓、ギター、ドラムなどが並ぶ室内で、楽器にふれる人々の画像
〈音遊びの会〉ワークショップの記録[ドキュメンタリー作品:41分] エレキギター、パーカッション、ドラム、トロンボーン、シンセサイザーと、さまざまな楽器でのセッションが繰り広げられます

作品のひとつ『僕の一日』は、和歌山県の事業所でパンづくりを行う野澤大輔さんのミュージックビデオ。朝起きて仕事に行き、家に帰って眠るまでの一日の出来事を、ポップで軽快なメロディーに合わせて歌い上げます。

いつも声をかけてくれる地域の人、仕事前のあの作業、パンづくりのこと、今日の夕食。テンポよく歌われる歌詞のなかには、ささやかだけれど愛おしい日常の風景が詰まっています。野澤さんのやわらかい歌声も魅力です。

野澤大輔さんがギターを弾きながら歌っている写真
『僕の一日』作詞作曲:野澤大輔[ミュージックビデオ:7分] 歌詞は、日本語字幕と手話つき!

ほかには、兵庫県の〈音遊びの会〉のワークショップで行われた、音楽セッションのドキュメント。大阪府の福祉施設〈糸をかし〉に通うメンバーとスタッフで構成される劇団〈人形芝居ぬくぬく座〉の、白雪姫をユーモアたっぷりに演出した人形芝居。そして、〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉で演劇に取り組む「HANA PLAY」の最新作と、それぞれ趣向の違った作品がそろい、観ごたえたっぷり。

それぞれの作品には、障害がある人の表現活動の研究者や美術家、プロデューサーからのコメントが寄せられ、紹介されています。それらのコメントを読みながら作品を味わうのもおすすめの楽しみ方です。

今後は、視聴者からの要望や情報などを参考にしながら、映像作品の数を増やしていく予定です。

『ひょっとして、白雪姫!?』の、女王とその家来と鏡の精のやり取りが繰り広げられている人形芝居の一コマの写真
『ひょっとして、白雪姫!?』(人形芝居ぬくぬく座)[人形芝居:26分・日本語字幕]

パフォーミングアーツにまつわる情報交換の場「オンライントーク」

もうひとつのコンテンツ「オンライントーク」では、今後開催されるトークイベント情報を発信していきます。

2022年3月21日には、障害のある人による身体表現の魅力、それらの活動の意義、活動の始め方、続け方など、演劇や音楽の事例を紹介しながら話し合うオンライントークイベントを開催。「舞台をどうやってつくる?」「舞台を誰とどうやって観る?」「舞台芸術ネットワーク会議」という3つのプログラムを設け、多様な人がアクセスしやすい劇場や場所とはどんなものか? や、パフォーミングアーツの取り組みのなかで困っていること、工夫していることなどについても語り合いました。そのアーカイブ動画もWebサイト上に公開されています。

「パフォーミングアーツの広場」で紹介されるのは、舞台で発表されたものから、日常に近い場面で生まれたもの、そして施設で行われている活動から個人の表現活動まで、さまざまです。このサイトを訪れることでパフォーミングアーツの多様さやその魅力を楽しんでいただけるのではないでしょうか。今後更新される情報にも注目してみてくださいね!