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明日、あなたの身に何かあったら? 給付や相談窓口を楽しく学ぶ「社会保障ゲーム」、12月27日までクラファン中
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ヘッダー画像。社会保障ゲームで、若者が困難をのりこえるための、制度の知識、というかさを届けたい、のコピーとゲーム風景の写真

お金、身体、暮らし、家族……困ったとき、あなたならどうする?

もしも明日、病気になってしまったら。身近な人に介護が必要になったら。生活や進学のためのお金が足りなくなってしまったら。

新型ウイルスの到来や自然災害も増えている昨今、そんな「もしも」はいつ誰に起きるかわかりません。有事になったときに必要な行動がとれるよう、事前の知識を持つことは大切です。

日本には、私たちの安心や生活の安定を支える「社会保障制度」があります。しかし、いざ言葉を聞いても、どうすれば利用できるのか、そもそもどのような制度なのか、とっつきにくく感じてしまいませんか?

社会保障制度の存在を多くの人に知ってもらおうと、〈特定非営利活動法人 Social Change Agency〉は社会保障制度をゲームで学べる「社会保障ゲーム」を開発しました。開発費の確保と認知拡大を目的として、2024年12月27日(金)までクラウドファンディングに挑戦しています。

【写真】社会保障ゲームの台紙。カードや付箋がちりばめられている

あるけれど知られていない、400を超える「社会保障制度」

そもそも社会保障制度とは、「国民の『安心』や生活の『安定』を支えるセーフティネット」(厚生労働省)のこと。「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4本柱からなっており、子どもからお年寄りまですべての人々が利用できる制度です。

例えば、社会保険の中には年金制度、医療保険、介護保険が含まれています。病気やけが、出産、家族の死亡、介護、失業などの要因で生活を営むことが難しい場合に、相談ができたり一定の給付が支払われたりします。みんなでお金を出し合いながら、必要な人に分配する仕組みです。

一方で、児童福祉や高齢者福祉、障害者福祉などの社会福祉は、税金で制度が運営されています。国の集める所得税や法人税、また地方自治体の集める住民税や固定資産税などが、困りごとを抱えた方の支援サービスとして還元されているのです。

誰もが安心して生活できるよう、国、都道府県、市町村などが連携して実に400以上もの社会保障を行っていますが、その実態はなかなか知られていません。その大きな要因の一つが、日本の社会制度の「申請主義」です。つまり、利用するためには自ら窓口に出向き、「利用したい」と申し出る必要があります。

【画像】アクセスしやすい社会保障を目指したアプローチを整理した図。自動案内の運用、LINEやメールの相談、ゲーム開発など

知らないと利用できない。本来制度を必要としている人に適切に情報が届いていない。そこに課題意識を持つ〈Social Change Agency〉は、「アクセスしやすい社会保障」をめざして事業活動を行っています。社会保障制度の自動案内を行ってくれるチャットボットなどの開発から運用、LINEやメールでの相談受付、そして今回新たに社会保障をゲームで学ぶ「社会保障ゲーム」の開発を行いました。

架空のキャラクターのピンチをもとに、社会保障を楽しく学ぶ!

社会保障ゲームは、架空のキャラクターに起こるさまざまなピンチを通して、どのような社会保障が利用できるのかを考え、制度の利用方法を体験できるアナログゲームです。ゲームには、「キャラクターカード」「ピンチカード」「アイテムカード」「台紙」の4つが使われます。

キャラクターカードには中学生から40代まで10人のキャラクター設定があり、ピンチカードには病気、怪我、事故、死別、失業、パワハラ、介護、給与未払い、妊娠、子育て、パートナーからの暴力など20種類ほどのピンチがあります。

【画像】15歳のサクラという名前のキャラクターカード。さまざまな属性が記されている
キャラクターカードの一部。出身地や年齢、家族構成まで作り込まれています
【画像】病気や怪我、仕事、こころの健康などのトラブルが記されたカードが並んでいる
ピンチカードの一部。現実でも起こる可能性の高いピンチたち

それらのピンチに対して使用するアイテムカードには、50種類程度の社会保障制度が書かれています。

【画像】受け取れるお金や相談できる内容が記されたカードが並んでいる
アイテムカードの一部。実際の社会保障制度に基づいています

ゲームでは、架空のキャラクターのプロフィールカードとピンチカードが配布され、個人またはグループでピンチが起きたキャラクターの生活に、どのような困り事が起こるかを考えます。その後、ピンチに対応できそうなアイテムカードをチョイス。キャラクターの年齢や家族構成といった情報と、起きたピンチを見ながら、いつ、どのような社会保障が利用できるのかをゲームを通して学ぶことができます。

【写真】テーブルの上に台紙が広げられ、周りを10名ほどの人が囲んでいる
社会保障ゲームで学ぶ実際の様子

社会保障ゲームの発起人は、『15歳からの社会保障』(日本評論社)の著者でもある、〈Social Change Agency〉代表理事の横山北斗さんです。

横山さんは、中学生のときに小児がん難病を患い、2年間の入院を経験しました。その際、担当してくれた看護師長から難病に対する医療費補助制度を教えてもらい、利用したことで経済的な破綻を起こすことなく生活ができたといいます。その経験から、中高生を対象に、「人生に何かピンチが振りかかったとしても、生活や生きることを支えてくれる社会保障制度があることを知ってほしい」との想いでゲーム開発に着手しました。

義務教育では「社会保障制度」という言葉を聞く機会はあっても、種類や内容、利用方法を詳しく教えてもらう機会はありません。〈Social Change Agency〉が今回のプロジェクトにつけた「知らなかったから、諦めた。知っていれば、つかめた未来。」という言葉のように、知らなかったために諦めてしまう未来を、1つでも減らしたいとの想いが込められています。

【画像】生活に根ざした形で教えられる、教員も学べる、今の制度で足りてない部分を考えるきっかけになる、などの声
試作版の実施にあたってのヒアリングに対する教職員の反応

本ゲームは今年の2月から開発が始まり、8月にテスト版の実施先がSNSで募集されると、約30カ所から依頼がありました。その後、10月からテスト版の体験を中学校や高校、地域の居場所などで実施しています。テスト版のフィードバックと今回のクラウドファンディングを経て、2025年春に正式版を作成する予定です。

クラウドファンディングは、来年度中に100箇所で3,000人以上の若者に社会保障ゲームを届けることを目標に行います。目標金額の260万円は、ゲームの開発や中学高校や地域のコミュニティでの出前授業、福祉科高校への本体提供などに使われます。気になる方は、ぜひクラウドファンディングページをご覧ください。