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医療福祉エンターテインメント集団〈Ubdobe〉が主催する実験的クラブイベント「UNIVERSAL CHAOS -Reunite-」がコロナ禍を経て3年ぶりの開催!
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ユニバーサル・ケイオスのキービジュアル

渋谷のクラブから始まる「分断ではなく融合でもない、普遍的混沌」

実験的クラブイベント「UNIVERSAL CHAOS(ユニバーサル・ケイオス) -Reunite-」が、2023年3月21日(火・祝)に東京都渋谷区のクラブ〈ENTER〉で開催されます。コロナ禍を経て、約3年振りの開催です。

DJやアーティストによるライブパフォーマンスが行われるフロアには、車椅子来場者の目線に配慮した展示スペースなどが設置されるほか、音楽の視覚化に挑戦した展示や、手話で注文するバーカウンター、視覚障害のあるスタッフにアテンドされながらイベントを体験するブラインドツアーなどのプログラムも実施されます。

フロアでライブパフォーマンスをするDJ

主催は医療福祉エンターテインメント集団〈ウブドベ〉

本イベントを主催するのは、NPO法人〈Ubdobe(ウブドベ)〉。医療や福祉の専門性と、難病や障害の当事者性を活かしたコンテンツづくりを通じて「あらゆる人々の積極的社会参加の実現」を目指す「医療福祉エンターテインメント集団」です。これまでにも〈こここ〉では、障害児者の好きなモノ・コトを反映したデジタルアートと、各種センサーによって起きるインタラクションを活用した、新しいリハビリツール「デジリハ」について取り上げました。

〈ウブドベ〉は2010年から、”芸術と人間科学が交差する屋内型音楽フェスティバル”〈SOCiAL FUNK!〉を手掛けています。このイベントを開催するきっかけは、代表理事の岡勇樹さんがご家族の病気に直面し、普段自分が身を置くカルチャーと、利用できる福祉制度や信頼できる情報までの「遠さ」を痛感したことでした。そこで医療や福祉に関する情報の届き方に疑問を持った岡さんは、それまで自分が主催していたクラブイベントを通じて、20~30代の若者へ医療や福祉の情報発信ができないかと〈SOCiAL FUNK!〉を企画。1年に1回のペースで開催してきました。

さらに2019年からは、音楽とカルチャーを通じて、あらゆる人々が空間を共有するための実験的な場として、今回紹介する〈UNIVERSAL CHAOS〉を年5回開催することに。そこで得た手ごたえを2019年11月の〈SOCiAL FUNK!〉へ反映して以降、コロナ禍で両イベントは開催を見送っていました。

中央にDJ機材があり、フロアいっぱいの観客たちが楽しげに手を挙げたり音楽を楽しんでいる
車いすに乗った女性と踊る老年の男性
過去に開催された〈UNIVERSAL CHAOS〉の写真

音楽が生み出す混沌とした空間〈UNIVERSAL CHAOS〉とは

3年の期間を経て復活し、今回6回目となる〈UNIVERSAL CHAOS〉は「分断ではなく融合でもない、普遍的混沌。見たことも聞いたこともない、世界に入り込む。」をキャッチコピーにした実験的クラブイベントです。音楽好きを満足させるような空間と音響、そして多彩なジャンルのDJやアーティストが出演。同時に、障害のある人も楽しめるようなコンテンツや会場のアクセシビリティを取り入れることで、障害の有無に関わらない音楽を通したユニバーサルなコミュニケーションが生まれていく空間を目指しています。

プログラム企画は、社会福祉士や介護福祉士などの医療・福祉従事者と、聴覚障害・視覚障害・ダウン症・精神疾患などの障害のある当事者との意見交換を経て作られています。開催回数を重ねるごとに、さまざまな身体的・心理的特徴がある人の参加も増えつつあり、会場では、ゲストや参加者が自然と手を貸す場面や交流が生まれています。

中央に車いすに座る女性がおり、そこを囲むように8名の男女が笑っている

今回の新しい取り組みとして、聴覚に頼らず音楽を楽しむアートエキシビジョン「人工知能と人間による音楽の視覚化」が開催されます。耳が聞こえる人も、そうでない人も曲を楽しめるように、AIを活用して音楽の「可視化」に挑戦したコンテンツです。目の見えない人が会場で扱う楽曲を聞いて作った詩を、AIに読み込ませイラストレーションを生成し、会場で展示します。「目の見える人の世界」を、「目の見えない人のために翻訳する」作品が多いなか、逆転の発想で、目の見えない人の世界を軸に、可視化する手法をとっています。〈ウブドベ〉企画担当の萩原さんは「目が見える・見えない、耳が聞こえる・聞こえないを、ひとつのコンテンツのなかで絡め合わせていくことで、さまざまな人が楽しめる展示になっていくのでは」とコメントしています。

出演者には、エキシビションにそれぞれの音の違いが現れるように、ヒップホップやハウス、テクノなどのさまざまなジャンルのアーティストをブッキング。参加アーティストのなかには、医療福祉従事者や精神疾患がある当事者もいるそうです。

そのほか、会場で提供されるフードメニューも、普段では考えられない色合いのおでんをつつきながら「視覚で感じるおいしさ」について考え味わう「ODD ODEN」や、老いとともに現れる嚥下機能の低下を考えるきっかけを提供する、とろみのついた「TOROMI TEQUILA」などユニークなものが並びます。

また、会場では、ろう者のスタッフに手話で注文するバー「SILENT BAR」や、視覚障害のあるスタッフにアテンドされながら、視覚に頼らずに空間を体感する「BLIND CLUB TOUR」などのプログラムも実施されます。

「UNIVERSAL CHAOS -Reunite-」のフライヤー

クラブイベントに行ったことのない人も

「私たちのイベントは、クラブに行ってみたいけど、行ったことのない人も多く参加してくださっています。福祉的な発見だけでなく、多彩なジャンルの音楽との出会いも楽しんでもらいたいです」と萩原さん。「BLIND CLUB TOUR」などは参加数に限りがあるので、興味のある方はぜひ予約のうえ、会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか?