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視覚障害の“壁を溶かす”新規事業を目指して。「VISI-ONE」採択6社が、2022年10月14日に実証成果をプレゼン
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右側に目を閉じた女性。目の周りは、様々な色や形で彩られている。左には、「DEMO DAY」の下に「2022年10月14日(金)13:40〜16:30、オンライン視聴募集中」の文字
VISI-ONEアクセラレータープログラムの実証成果が発表される「デモデイ」。オンラインで誰でも視聴することができます

視覚障害に関わる新規事業創出支援を目的としたプログラム

目が見える・見えないを超えて人と人とが共生できる社会を目指し、パートナーシップを結ぶ〈参天製薬株式会社〉、〈特定非営利法人日本ブラインドサッカー協会〉、〈一般社団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション〉。3者が展開するプロジェクト「VISI-ONE(ビジワン)」の一環として、視覚障害に関わる“壁”を溶かす新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONEアクセラレータープログラム」が実施されています。

初年度となる2022年、採択された企業は6社。その事業アイデアの実証成果を発表する10月14日(金)の「デモデイ」開催にあわせ、オンライン視聴の参加者を募集しています。

見える・見えないを超えてひとつになる世界を目指す「VISI-ONEプロジェクト」

プロジェクトのスタートは、2020年10月のこと。視覚に障害のある人とない人が当たり前に混ざり合う社会の実現を目指して、眼科に特化した医薬品企業の〈参天製薬〉、ブラインドサッカーとロービジョンフットサルを統括する団体〈日本ブラインドサッカー協会〉、ブラインドサッカーが国際的にプレーされるスポーツになることを目的に活動する〈インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション〉の3者が、10年間のパートナーシップ契約を結びました。

その後2021年4月に、「VISI-ONEプロジェクト」として本格的に始動します。「VISI-ONE」という名前には、“見える”、“見えない”を超えてひとつ(ONE)になる、という意味が込められています。

プロジェクトのビジョンを描いたイラスト。「視覚障害者の新たな雇用創出」「視覚障害者と晴眼者の交流イベント」など、このプロジェクトを通して実現したいことがひとつのイラストにまとまっている

プロジェクトが目指すゴールは、「共体験でそれぞれの個性や強みを理解する」「見えるに関するイノベーションを創出する」「視覚障害者のQuality of Life(QOL=生活の質)を向上する」の3つ。この一環として、今年はじめて開催されているのが、新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONEアクセラレータープログラム」です。

“壁”を溶かす事業アイデアを募集、実証成果の発表へ

「VISI-ONE​​アクセラレータープログラム」は、視覚障害に関わる“壁”を溶かし、かつ事業性を追求できる製品やサービスの創出を支援するプログラムです。溶かす“壁”として設定されたテーマは「オンライン」「オフライン」「能力」「働き方」「つながり」「思いがけないこと」の6つ。

2022年2〜4月の期間に応募が受け付けられ、4つの観点(社会課題との整合性、アイデアの新規性、将来性、共生社会を見据えたインクルージョン)から、総合的に評価された6社が7月に採択されました。その後、視覚障害のあるアドバイザリーボードメンバーのアドバイスを受け、社会応用が可能かどうかを測る実証実験を行っています。

10月14日(金)に開催されるデモデイでは、6社の代表者がその実証成果を発表。審査員の審査を経て受賞企業を決定します。審査中は、事務局と視覚障害のあるアドバイザリーボードメンバーによる「インクルーシブな事業設計による市場の最大化について」をテーマにしたパネルディスカッションを楽しむことができます。

登壇6社をご紹介

・株式会社Ahirase

視覚障害のある人の単独歩行をサポートをする「あしらせ」を開発。靴に装着したデバイスがスマートフォンから信号を受け取り、例えば「右折」なら右足、「左折」なら左足、「直進」なら両足の装置が振動し、曲がり角に近づくとその間隔が短くなる、など振動で目的地までの道案内をしてくれます。

【画像】点字ブロックの上を白杖を持って歩く人の足元。足にはオレンジ色のデバイスが装着されている

・株式会社GATARI

MR(複合現実)技術を活用したプラットフォーム「Auris(オーリス)」を2020年9月にローンチ。事前にアプリに取り込まれた施設データを活用し、施設内でスマートフォンのカメラを空中にかざすと、自身が空間のどの位置にいるかがわかり、空間に配置された音声コンテンツを楽しめるシステムです。すでに博物館やテーマパークなどで導入されています。

【画像】空間を映したスマートフォンの画面の中に、様々な黄色い線や丸い形が見えている

・クラスリー株式会社

AIを活用し、テキスト原稿を人間に近い精度で読み上げるソフト「Alterly(オルタリー)」の開発を進めています。プロのナレーターや声優の声を機械学習することで誕生した、人に近い高品質な合成音声を作成することが可能です。

【画像】声の主が発した言葉をオルタリーが編集し、クリエイターやメーカーなどに貸出することが、図式化されている

・株式会社コンピューターサイエンス研究所

視覚に障害のある人用の歩行支援アプリ「EyeNavi(アイナビ)」は、歩行者用の経路情報をベースに、GPSを使って利用者の位置情報を把握するiPhoneアプリです。iPhoneを首からぶら下げて使用し、カメラが撮影した周囲の画像をAIが解析。歩行者信号の色や点字ブロック、歩行の妨げとなる障害物の情報をリアルタイムにお知らせします。

【画像】右側に白杖を持ってあるく女性、左側に障害物があることを知らせるスマートフォンの画面が映っている

・MAMORIO株式会社

視覚に障害のある人が飲料の自動販売機を利用するときにサポートするスマートフォンアプリの開発を、本プログラムを通して進めています。電波発信器(ビーコン)を取り付けた自動販売機に近づくと、音声が近くに自動販売機があることを案内し、さらに近づくと、販売している飲料名など詳細を読み上げます。

【画像】掲げたスマートフォンの画面に、自動販売機が映り、「自動販売機を検知しました」との文字が出ている

・リンクス株式会社

視覚に障害のある人を音声で指定の場所まで誘導するiPhoneアプリ「shikAI(シカイ)」を開発。点字ブロックに貼られたQRコード(※)を読み取ることで、進む方向や距離を音声読み上げ機能で案内します。すでに東京メトロのいくつかの駅などで導入されています。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。 

【画像】点字ブロックの上に貼られたQRコードに、スマートフォンをかざす手元

デモデイの参加費は無料で、どなたでもオンラインで成果発表を視聴することができます。視覚の“壁”を超えるために、今どんな技術が開発されているのでしょう。採択企業の発表に耳を傾け、アイデアに刺激を受けてみませんか。