福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

【画像】出店ブースに並ぶ雑貨をお客さんが手に取って見ている様子【画像】出店ブースに並ぶ雑貨をお客さんが手に取って見ている様子

世田谷・福祉生まれのモノゴトを届ける「せせせマルシェ」! 2025年開催レポート せせせプロジェクト|こここラボ vol.06

Sponsored by 世田谷区〈せせせ〉プロジェクト

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今年も開催! 世田谷・福祉生まれのモノゴトを届ける「せせせマルシェ」

2025年3月16日(日)、東京都世田谷区の〈三軒茶屋 ふれあい広場〉にて、世田谷・福祉生まれのモノゴトを届ける「せせせマルシェ」が開催されました。

このマルシェは、世田谷区とマガジンハウス〈こここ〉の共同事業としてスタートした〈せせせプロジェクト〉の一環で実施されています。毎年3月、区内の障害者施設がブース出店し、それぞれの事業所で手がけているお菓子やパン、オリジナル雑貨などを販売しています。また、“世田谷発のアイデア”をカタチにしていくプラットフォーム〈SETAGAYA PORT〉の活動紹介ブースや、〈こここ〉編集部による出店も行っています。

第3回目の開催となった今回、冷たい雨に降られた1日となりましたが、ネットやSNSを見て来たという人、ある施設のお菓子のファンという人、福祉に関わるお仕事をしている人、たまたま通りかかった人などが会場を訪れ、各施設のスタッフと会話したり、商品を手に取る姿がありました。

【画像】三軒茶屋ふれあい広場の入り口。大きな「せせせマルシェ」のフラッグが飾られている
【画像】出店施設の職員がお客さんと談笑する様子
【画像】出店ブースに並んだコッペパンのサンドウィッチ

お菓子、パン、オリジナル雑貨がずらりと並んだ、障害者施設ブース

今回イベントに参加したのは、世田谷区内の11の障害者施設。そのブースの様子や並んだ商品を写真を交えてご紹介します。

社会就労センターパイ焼き窯(等々力)

焼き色の美しい、高級感ただよう焼き菓子がテーブルを彩っていたのは、等々力に拠点を構える〈社会就労センターパイ焼き窯〉。パティシエ指導のもと、約30年にわたって60種類以上の焼き菓子を手がけてきた施設です。

マドレーヌやパウンドケーキのほか、大粒プルーンが丸ごと1個入った人気商品「プランタン・プルーン」など、同施設自慢の人気菓子が並びました。

社会就労センターパイ焼き窯の商品紹介ページ

蜂蜜入りのしっとり生地に、プルーンの赤ワイン煮がゴロンと入った、大人の味わいの「プランタン・プルーン」。甘酸っぱいフランボワーズ入りも。贈答品にもおすすめの一品
【画像】出店ブース前に立つ参加施設の職員

わくわく祖師谷(祖師谷)

小田急線・祖師ヶ谷大蔵駅の「ウルトラマン商店街」に佇み、区内の福祉事業所で初めてパンの製造・販売に着手した〈わくわく祖師谷〉のパンがマルシェに登場。

甘いパンから惣菜パンまで、地域住民に親しまれている人気商品が約20種類。ずらりと並ぶパンを前に、子どもの意見を聞きながら購入するファミリーも。ついつい目移りして買い込みたくなる品揃えでした。

わくわく祖師谷の商品紹介ページ

【画像】ずらりと並んだたくさんのパン
【画像】
当日会場に並んだパンは、職人であるメンバーが朝3時から工房に入って焼き上げたパンなのだとか

喜多見夢工房(世田谷代田)

チョコチップやナッツ類をたっぷり混ぜ込んだクッキーや、発酵バターのパウンド、洋酒漬けのフルーツがアクセントのパウンドなど、材料へのこだわりと、食べる人の安心安全を考えた多種多様な焼き菓子が並んだ〈喜多見夢工房〉。通所するメンバーたちが描いたイラストを採用したパッケージシールもチェックポイントです。

本マルシェでは、クッキー各種やパウンドがたっぷり入って500円というお得な「ギフトパック」も展開されていました。

喜多見夢工房の商品紹介ページ

【画像】パウンドケーキ
ギフトパックを手にする施設スタッフ。「いろんなお菓子をお得に試したい!」という方にもぴったり

Factory 藍(若林)

「ジャパン・ブルー」と呼ばれる、古来から日本で親しまれてきた藍染のプロダクトが会場内でひときわ目を引いた〈Factory 藍〉。若林の工房でメンバーたちが染めたTシャツ、手触りのよいストール、靴下などが並んだほか、5月の節句も近いことから、藍染のこいのぼりも!

藍染やものづくりに関するメンバーのかかわり方や、藍染の手入れ方法など、スタッフが丁寧に説明していました。

Factory 藍の商品紹介ページ

【画像】藍染の鯉のぼり
メンバーたちの手仕事から生まれた藍染プロダクトは、下北沢にあるショップ〈ファクトリー藍SHOP〉でも購入が可能です

TODAY喜多見(喜多見)

水引を使ったマスクチャームやしおりなど、カラフルでキュートな商品を〈せせせ〉のWebサイトでご紹介してきた〈TODAY喜多見〉。本マルシェでは、水引とレジンを使ったキーホルダーや、大人用・子ども用とサイズもさまざまなイヤリングなど、メンバーのアイデアや感性を形にした新たなアイテムが並びました。

キラキラと目を引く多様なアイテムに、会場を訪れた子どもたちも足を止め、商品を吟味する姿が。

TODAY喜多見の商品紹介ページ

【画像】出店ブース前に並ぶアクセサリーを眺める子ども
【画像】
立体的で商品が見やすい&手に取りやすい展示設計。〈せせせ〉で開催したディスプレイ講座の実践が見られました

給田福祉園(給田)

さまざまな色柄の刺繍を配したポーチやバッグ、ポチ袋などの紙製品、そして同施設の目玉商品の手づくり石鹸「Q’s soap」などが並んだ〈給田福祉園〉。

フルーツ型のカラフル石鹸と、パイナップル型のアクリルたわしがセットになった新商品も登場。アクリルたわしづくりを得意とするメンバーがいたことから、このセット売りを考案したのだとか。アイデアがすてきです!

給田福祉園の商品紹介ページ

「軽い食器汚れならこの石鹸とたわしで落ちますよ」と、新商品の石鹸セットを手にするスタッフ。主に食器洗い用途の石鹸ですが、子どもが喜んで手洗いしてくれそうなキュートさです
【画像】ポチ袋や刺繍小物、石鹸など

奥沢福祉園(奥沢)

「汚れがよく落ちる」「長持ちする」「洗剤いらずで環境にやさしい」と評判で、リピーターの多いロングセラー商品「おりぞう」を中心に販売した〈奥沢福祉園〉。「おりぞう」とは、余剰品のストッキングを裂いてメンバーが色染めし、それぞれの感性で色を組み合わせて織ったお掃除アイテムです。

ブースには織りの際に使う道具も展示。制作の手順や、メンバーのものづくりへの関わり方などを、来場客へスタッフが丁寧に伝えていました。

奥沢福祉園の商品紹介ページ

2色のシンプルなもの、パステルカラーを何色も組み合わせたもの、アクセントカラーを生かしたものなど、織ったメンバーの個性が感じられる「おりぞう」

烏山福祉作業所(北烏山)

クッキーやレモンケーキ、ジャム、刺繍小物などが並んだ〈烏山福祉作業所〉。こちらでは“和のテイスト”を含んだ菓子づくりが行われており、そのやさしい味わいにはファンも多し。

また、整然と並んだジャム瓶には「キウイ」「カリン」「湘南ゴールド」とジャムにしては珍しいフルーツの名前が。じつは、近隣の民家の庭先に実った果物をメンバーと一緒に収穫させてもらい、それらを原料にしているのだとか。そんな地域との関わりについてもスタッフが丁寧に説明してくれました。

烏山福祉作業所の商品紹介ページ

自慢のジャムや焼き菓子を手にするスタッフ。果物を収穫させてもらった家庭には、完成したジャムをプレゼントしているのだそう
【画像】キウイなど果物のジャム

岡本福祉作業ホーム(岡本)

企業や団体からも大口注文が入るという、プレーンとココア味をミックスした手づくりクッキーを販売していた〈岡本福祉作業ホーム〉。さらに、青森県産のヒバが香るサシェ、宮城県のおからかりんとう、長崎県のカステラといった品々も並んでいました。

同施設では、各県の障害者施設でつくられている商品を仕入れて販売する、いわばセレクトショップの形をとっています。三軒茶屋で他県の福祉発プロダクトにも出会えるのはうれしいですね!

岡本福祉作業ホームの商品紹介ページ

バター、小麦粉、砂糖、卵のみ(※プレーン味)のシンプルな材料でつくられているクッキーは、1袋100円とお手頃価格。かりっと軽い歯ごたえで、甘すぎず、飽きの来ないシンプルな味が人気

発達障害者就労支援センターゆに(上用賀)

砧公園にほど近い〈ゆに〉からは、〈せせせ〉のWebサイトでも「リアル過ぎる!」と話題のミニチュア玩具アクセサリーがお目見え。ひとりのメンバーの得意から始まったミニチュア玩具制作でしたが、今では多くのメンバーが手がけています。本マルシェでは、バナナ、目玉焼き、ふっくらとした肉まん・あんまんをモチーフにしたものも並んでいました。

また、具材たっぷりのコッペパンサンド各種は、お昼には全品完売という人気っぷり!

発達障害者就労支援センターゆにの商品紹介ページ

【画像】フライドチキンなどミニチュアの雑貨小物が並ぶ
エビ&アボカド、スモークサーモン&クリームチーズ、タマゴづくし、牛肉プルコギのコッペパンサンドのほか、クロワッサンやパン・オ・ショコラも並び、大人気でした!

しあわ世のもりあわせ(下馬)

〈世田谷福祉作業所〉が運営するカフェ〈しあわ世のもりあわせ〉も出店。国産の良質な原材料でつくられているパウンドケーキ、童話を一袋に詰めたようなストーリー性のあるサブレ、テリーヌのように濃厚かつ酸味のあるチーズケーキなど、同店の人気商品がずらりと並びました。

ガラスのジャーにクッキーを詰めて陳列したり、木のトレーに並べたりなど、ついつい引き寄せられて購入したくなるような、見せ方への工夫やアイデアが印象的でした。

しあわ世のもりあわせの商品紹介ページ

【画像】焼き菓子
「チーズケーキ」「オレンジケーキ」「チョコレートケーキ」には、原料へのこだわりや味わいを簡潔に紹介したポップも用意。これは惹かれる!

〈せせせ〉ではこれまで、自主生産品の魅力の伝え方、デザインの考え方、写真のとり方、手に取ってもらいやすいディスプレイ方法など、プロジェクトに参画する障害者施設に向けたワークショップや講座を開講してきました。

そうしたなかで得たものを「せせせマルシェ」で生かしている施設も多く、回を重ねるごとにブースの様相も大きく異なってきたように感じました。

【画像】水引をアレンジしたアクセサリー

また、本マルシェを既存商品の販売にとどめず、新商品のお披露目や、それらに対して来場者はどんな反応をするのか? といった実験の場として活用する施設もあるようでした。

障害のあるメンバーの“好き”や“得意”を生かした商品や、その活動、その魅力を広く知ってもらいたい。そして、より地域に根ざした場所であることを目指したい。そんな各施設の強い思いが、来場者にも伝わる機会になったのではないでしょうか。

【画像】焼き菓子
【画像】藍染の靴下

〈SETAGAYA PORT〉と〈こここ〉編集部もブース参加!

自由な視点で“セタガヤ” と“なにか”をかけ合わせた活動を行う〈SETAGAYA PORT〉からは、福祉にまつわる2つのプロジェクト「セタオーレーベル」「ART WALL PROJECT」の紹介とグッズ販売がありました。

「セタオーレーベル」は、区内の障害者施設でメンバーの生活や活動のなかで発せられる音を集音し、音楽アーティストが楽曲を制作するプロジェクト。これまでに3施設で集音が行われ、18曲を制作。会場内も同プロジェクトの楽曲がBGMで流れました。

【画像】セタオーレーベルのブース

もうひとつのプロジェクト「ART WALL PROJECT」は、同区内の子どもたちが学びを通じてアート作品を共創するプロジェクト。子どもたちと一緒に制作したアート作品のタペストリーが、区内の福祉施設によってバッグに仕立てられ、本マルシェで販売されました。

【画像】ART WALL PROJECTのブース

そして、〈こここ〉編集部による企画も実施。

「喫茶せせせ」では、編集部スタッフが店頭に⽴ち、〈ソーシャルグッドロースターズ〉のコーヒー、〈ムジナの庭〉のハーブ ティー、〈天⽔福祉事業会〉のジュースといった福祉発のドリンクを販売。各施設で販売されていたお菓子やパンと一緒にドリンクを楽しむ来場者が多くいました。

【画像】喫茶せせせを運営するこここ編集部メンバー
黄色いカラーが目をひくロゴ入りテーブルクロスと卓上のミニのぼりは、マルシェに合わせて〈せせせ〉オリジナルアイテムとしてつくったもの。〈せせせ〉参加施設にも配布し、今回がお披露目となりました
【画像】カラフルなパッケージの、天水さんのジュースのボトル
【画像】せせせのロゴが入ったアクリル看板

また、マルシェでは初実施となる「こここブックパーティー」も行われました。参加者が持ち寄った本をもとに、それぞれが大切にしていること、モヤモヤしていること、その1冊のなかで気になったこと、話を聞いていて思い出したことなどを共有しあう、本を囲んだ小さな会です。

今回持ち寄った本のテーマは「“当たり前”がとろける一冊」。区内在住の映画監督・佐々木誠さんをゲストに迎え、参加者と一緒に、その本を選んだ理由、本にまつわるエピソード、そこから派生して思い出されたことなど、それぞれが抱く思いを語りました。

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参加者が持ち寄った「“当たり前”がとろける一冊」たち(撮影:こここ編集部)
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ゲストとして迎えた映画監督・佐々木誠さんをはじめ、福祉施設で働く方、デザインのお仕事をされている方など5名が参加しました。モデレーターを務めたのは〈こここ〉編集部のちばひなこさん(撮影:こここ編集部)

各施設の商品も、種類や数も、見せ方も、年々パワーアップしているのが感じられる「せせせマルシェ」。また、来場者のなかには「以前食べておいしかったから」「商品が魅力的・かわいいから」さらには「施設やメンバーのファン」「福祉発プロダクトに興味がある」という理由でマルシェを訪れ、商品を購入する方が少しずつ増えているように感じます。今回のマルシェも、誰かの記憶に残る商品や出会いの機会になったことを願っています。

今後もさまざまな活動を続けていく〈せせせプロジェクト〉。これからもぜひ注目してみてください!


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