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”フリーでボーダーレスな” 都市型野外フェス日比谷音楽祭に行ってきました 野外フェスで会いましょう! |WASSUP vol.02

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いよいよ夏本番!野外フェスシーズンの到来ですね。まだ行ったことがない人、行きたくてもハードルが高いと感じる人にとっては、会場の様子や過ごし方が気になるのでは。

〈NPO法人Ubdobe〉が運営する福祉事業所〈WASSUP(ワサップ)〉は、「移動支援」の取り組みとして”野外フェス参加”のサポートを実施。連載「野外フェスで会いましょう!」では、全3回にわたって体験レポートをお届けしています。

第2回は、“フリーでボーダーレスな音楽祭”を掲げる都市型フェス「日比谷音楽祭」。今回もたくさんの写真と共にレポートします。それでは、行ってみましょう〜!

この夏こそ、フェスを楽しみたい!

本連載では、福祉事業所〈WASSUP(ワサップ)〉がクライアント(移動支援の利用を希望し、私たちのサービスを利用する方々のことをこう呼んでいます)と共にフェスへ参戦。

レポートを公開することで「フェスに参加したことがない」「ちょっとハードルが高い」という方々の最初の一歩を後押しします。

クラブにテーマパークにと、「こんなところに行けたら楽しくない?!」というご提案をクライアントさんと社会に向けて積極的に行ってきたWASSUP。

今回も、フェス参加を検討中の全ての方々への情報共有と、社会のよりよいアクセシビリティについて考える機会に繋げられたなら幸いです。

今回のフェスは日比谷音楽祭!

今回お邪魔したのは日比谷公園で開催される日比谷音楽祭。

「音楽の新しい循環をみんなでつくる、フリーでボーダーレスな音楽祭」として、2019年から開催されています。

その大きな特徴の一つが、企業からの協賛金・助成金のほか、クラウドファンディングなどの寄付を募ることで、参加費無料の音楽フェスを実現している点。

2023年もトップアーティストが集結する中、入場料無料での開催となりました。

会場は、東京のど真ん中!

会場となる日比谷公園があるのは、千代田区日比谷。東京駅もほど近く、周辺には皇居、帝国ホテル、官庁などが並ぶ東京の中心地です。

この日は日比谷を代表する商業施設、日比谷駅直結の「東京ミッドタウン日比谷」に集合です。東京ミッドタウン日比谷には、エレベーターやエスカレーター、多目的トイレが備わっているので、障害のある方でも快適に待ち合わせができました。

にしても、今回は大所帯。

前回のGREENROOMに参加してくれたTSUBASAくんとYOくんは、早くも2回目の参加。すっかり野外フェスの虜のようです。

その他、WASSUPのクライアントである好奇心旺盛の20代の女の子や、ちょっぴりシャイな中学生の男の子たちが集合。それぞれに知的障害や発達障害、重度の身体障害などがあり、共通点は、みんなお出かけが大好きなこと!

そしてなんと「私たちも行ってもいいですか?」とクライアントさんのご家族も飛び入り参加してくれました。

WASSUPのスタッフを含めた人数は18名!なんといっても無料ですから、誘い合って気軽に参加できるところも魅力のひとつです。

一人ひとりの自己紹介を済ませたら、いざ出発!

さすがに18名で一気にエレベーターに乗ることはできませんから、車椅子チームと徒歩チームの二手に分かれて移動開始です。

地上ですぐに合流できるのでご安心を。

東京ミッドタウン日比谷を出て、1分たらずでメイン会場となる日比谷公園に到着。入り口には交番もあるので、事前にチェックしておくと迷子の時に安心ですね。

高層ビル街に突如として現れるオアシスのような公園

ここが都会のど真ん中であることを忘れてしまうほど、緑で溢れている日比谷公園。遊歩道は綺麗に舗装されていて、ここまで車椅子での移動のストレスはほとんど感じませんでした。

会場は大きく8つのエリアに分かれており、それぞれにゆったりとしたスペースが設けられているので、ステージから離れてしまえば人混みも気になりません。

太陽の光を浴びて輝く新緑の道をゆったりと進みます。

ドキドキのチケット抽選システム

日比谷音楽祭は無料で誰でも入場が可能ですが、唯一「YAON」ステージ(日比谷公園大音楽堂)では、抽選制の無料鑑賞チケットが必要です。

チャンスは、事前にプレイガイドを利用して申し込み・抽選を行う「第一次抽選」と、当日に専用アプリを通して申し込み・抽選を行う「第二次抽選」の2回だけ。

第一次抽選を逃したWASSUPチームは、開演の1時間30分前に結果が表示される「第二次抽選」が頼みの綱です。

桜井和寿さんが、KREVAさんが、石川さゆりさんが、観たい……!!!

全員でスマホに祈りを捧げます。

結果は?

がびーーーーん!!!!!

なんと、全員落選。

無料ですから、ライバルが多いのも納得。「当選したら最高にラッキー」という気持ちでチャレンジを楽しみましょう!

そして「運には自信がない」という方もご安心ください。日比谷音楽祭にはYAONステージ以外にも楽しいコンテンツが目白押しなのです。

日比谷公園で、誰でもミュージシャン!

こちらは日比谷音楽祭ならではの出店が楽しめる「音楽マーケットブース」。

自由に演奏できるストリートピアノや、即席バンドによるデモ演奏、子どもから大人まで参加できるワークショップなどなど、楽器メーカーや販売店による体験ブースが集結しています!

例えば、こちらの株式会社サンフォニックスさんが出店されていたインスタコードは「誰でもカンタンに弾ける」という新しい電子楽器。

試しに、手に麻痺のあるTSUBASAくんが触ってみると……

ジャーン♪

ミュージシャンさながらのギターの音色が!

アーティストの音楽を聴くだけでなく、誰もが奏でる側に挑戦できるという、なんとも粋なコンテンツです。

野外フェスの英才教育?!ファミリーにおすすめのキッズエリア

会場奥、祝田通り側に進めば、キッズエリアである「ASOBI」エリア(草地広場)が広がっています。

さすがはフリーでボーダーレスな音楽祭。キッズエリアも、フード出店にワークショップブースにと、充実の内容。

DJダイノジの「キッズディスコ」では、子どもも大人も大興奮のアニメソングやフェスでお馴染みのエビカニクスが流れ、メインステージに負けない熱気で溢れていました。

ASOBIエリアの奥には木陰があり、休憩にもおすすめ。こちらのエリアは常設のベンチがいくつか設置されているのに加え、レジャーシートの使用もOKなので、みんなで足を伸ばしてゆっくり過ごすことができますよ。

芝生のステージエリアでピクニック気分

そして、特設ステージが設置されているKADANエリア(第二花壇)へと到着。

こちらは日比谷公園の中心に位置する芝生のエリア。車椅子ではタイヤが取られてちょっぴり移動が大変なので、介助者のサポートを受けることをおすすめします。

KADANエリアもレジャーシートの使用が可能なので、ステージが始まるまでピクニック気分でゆっくりするのがおすすめです。

ちなみに、フェスによってこういった道具の使用に関するルール設定はさまざま。2023年の日比谷音楽祭では「テントやタープの持ち込みは禁止」「レジャーシートは一部エリアで使用可能」といったルールがありました。みんなで気持ちよく安全に楽しめるよう、フェス参加の際は事前に公式HPでリサーチをしておきましょう。

サングラスでお洒落をキメて、準備は万端!

さぁみなさん、お待たせいたしました!

KADANステージのパフォーマンスがスタート!

GOMA meets U-zhaanというフェス好きは大興奮間違いなしのコラボユニットが登場です。ディジュリドゥとタブラが奏でる民族音楽のリズムが、WASSUPチームのハートを揺さぶります。

今回もステージやアーティストの撮影は禁止。

でも、満面の笑顔で踊りまくるWASSUPチームの写真を見ていれば、どこからともなく音楽が聞こえてくる気がしませんか?

太陽の下で思いっきりエネルギーを解放して自由に飛び跳ねるお客さんの姿も、フェスの醍醐味。気づけばWASSUPチームは会場内の誰よりも激しく踊り狂い、会場の盛り上がりを牽引している状態に。

さすがは「自分の感性を爆発させる天才たち」です!

車椅子ユーザーのクライアントさんも心地よい音楽とみんなのダンスを見てこの表情。それぞれが思い思いにフェスを楽しむことができました。

やっぱり、一番心づよいのは?

圧巻のステージを終え、そろそろ帰ろうか……と移動を始めたところで、トラブル発生!

日比谷音楽祭では車椅子やベビーカーに配慮し、各所にスロープが設置してあるのですが、前日が雨で地面がぬかるんでいたこともあり、タイヤがスロープから滑り落ちて芝生にはまってしまったのです。

一言に「車椅子」といえど、その重さは様々。押す分には問題がなくても、持ち上げるとなるとプロでも時間がかかってしまうことがあります。

そこへすぐさまやってきたのは、近くで募金活動を行っていた日比谷音楽祭のスタッフさんたち!

手慣れた様子で「せーの!」と声をかけながら、車椅子の段差越えを手伝ってくださいました。

スロープや舗装など、ハード面への配慮はもちろん大切ですが、一番心強いのはこういった人の力。日比谷音楽祭が持つ「フリーでボーダーレス」の精神は、主催者だけではなく当日のスタッフの方々にも浸透していることが実感できました。

スタッフのみなさま、ありがとうございました!

日比谷音楽祭参加まとめ

・東京都千代田区日比谷公園で行われる「フリーでボーダーレスな音楽祭」
・駅の近さはもちろん、大型商業施設も隣接されているのでアクセスや待ち合わせは安心
・参加費無料!ただし、「YAON」ステージはチケットの抽選が必要
・キッズエリアや最新の楽器が触れる出店エリアなど、コンテンツが盛り沢山
・車椅子ユーザーは芝生エリアの移動がちょっぴり大変
・いざという時はスタッフさんも心強い味方!
・そして、音楽はやっぱり最高!!!

WASSUPはこれからも、「あらゆる人々の積極的社会参加」を実現するために、どんどんワクワクする場所へのお出かけを続けます!

次回もどうぞお楽しみに!


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連載:野外フェスで会いましょう! |WASSUP