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文化運動として福祉を捉える展覧会「ブリッジ!-アートと社会福祉のあわいのなかで-」9月9日より東京都墨田区で開催
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【画像】「ブリッジ!-アートと社会福祉のあわいのなかで-」のサムネイル

誰もが安心して暮らせる社会へ。“地域福祉”をテーマにした展覧会

「福祉」と聞くと、どんなことをイメージするでしょうか?福祉とは、あらゆる立場の人が安心して暮らせる社会を実現するための仕組みや取り組みのことを指します。そのため、福祉を支える担い手は、必ずしも福祉の専門職に限られるものでありません。

とりわけ、地域にいるさまざまな人や組織が関わり、一緒に地域の生活を支える”地域福祉”は、サービスや制度に収まらず、複雑で豊かな活動としてそれぞれの地域で展開してきました。

東京都墨田区で開催される約4か月間の総合芸術祭「すみだ五彩の芸術祭」の自主企画として、地域福祉をテーマにした展覧会「ブリッジ!―アートと社会福祉のあわいのなかで―」プロポーザル展を開催します。会場は、すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)と東京都復興記念館の2箇所。プロポーザル展の会期は、2026年9月9日(水)〜10月18日(日)です。

4組のアーティストと墨田区内の福祉団体との協働などを通じて、地域福祉の実践を「社会福祉・アート・まちづくりが交差する文化運動」と捉え、その可能性を本展示会で探求します。

歴史的リサーチから探る、アートと地域福祉の「共に在る」かたち

「ブリッジ!―アートと社会福祉のあわいのなかで―」のキュレーションは、墨田区を拠点にインディペンデントキュレーターとして活動し、本芸術祭のディレクターを務めるインディペンデントキュレーターの青木彬さんが担当しています。青木さんはアートを「よりよく生きるための術」と捉え、アーティストや企業、自治体と協同しながら、さまざまなアートプロジェクトを企画・展開しています。

〈こここ〉では「たとえ答えが出なくとも」と題した連載を展開しています。アートプロジェクトの現場や日常の風景を起点に、答えの出ない状況や世界に向き合いながら、青木さんが考えていること、実践していることが綴られています。

また、本展覧会はセツルメント運動の歴史的リサーチを踏まえて企画されています。セツルメント運動とは、1884年頃にイギリスで始まった社会福祉運動です。知識人や学生が貧困地区に自ら移り住み、住民と同じ目線で生活しながら、教育や医療、生活改善など地域課題に応答するかたちで、さまざまな取り組みが複合的に運動が展開されました。

今回舞台となる墨田区でも、1923年の関東大震災などを契機として、保育、診療、法律相談、職業訓練、文化活動など、さまざまな取り組みが展開されました。

4組のアーティストが作品展示やイベントを通して、地域福祉の可能性を探求

本展では、川田知志さん、さとうりささん、なんでそんなんプロジェクト、野ざらしの4組のアーティストや団体による制作中の作品紹介や、セツルメント運動に関する資料展示を行います。

川田知志さんの作品イメージ

川田知志さんは、公共空間における壁画制作を中心に作品を発表するアーティスト。今回の展覧会では、現代の都市景観に見られる機能や構造に着目し、モダニズムや防災の背後に潜む人間的な痕跡を、読み解いていきます。作品は、関東大震災や東京空襲に関する資料を展示・継承している東京都復興記念館で9月9日(水)〜12月20日(日)までの間、常設で展示されます。

【画像】
なんでそんなんプロジェクト

なんでそんなんプロジェクトは、岡山県早島町の生活介護事業所〈ぬか つくるとこ〉が2020年度に立ち上げた取り組みです。障害福祉や教育現場、そしてあらゆる日常で起こる誰かの理解できない言動を問題行動と捉えるのではなく、「なんでそんなん」とツッコミを入れるようにして“わからないことをわからないまま楽しむ”ことを実践。本展では、さまざまな分野の人と協働しながら「なんでそんなん」を集めます。

〈こここ〉では「なんでそんなんプロジェクト」のレポートや、連載「健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう?」では〈ぬか つくるとこ〉の訪問記を公開しています。

【写真】作品制作を行なっている様子
12月の成果発表展に向けて、さとうりささんと一緒に作品制作をおこなう参加者を募集中

さとうりささんは、抽象的な大型のソフト・スカルプチャーを屋内外問わず、公共のスペースに出現させる活動を展開しています。今回は、セツルメント運動における保育実践を参照しながら、家庭環境や背景の異なる子どもや大人が、共同制作を通してゆるやかにつながる、現代の居場所を模索します。

【写真】まちあるきワークショップの様子

野ざらしは、アーティストの中島晴矢さん、建築家の佐藤研吾さん、キュレーターの青木彬さんが墨田区で結成したコレクティブ。今回は、考現学やソーシャルワークの視点を参照しながら、地域に蓄積された人々の振る舞いや営み、大きな変化から取り残されたものや見過ごされてきた風景に目を向ける、まちあるきワークショップを展開します。

本展には、地域のなかで誰かと「共に在る」ことや、過去と現在のまちについて、身体で感じながら考えるためのヒントが散りばめられています。

展覧会をさらに深める多様なワークショップ・トークイベントを開催

展覧会に関連して、ワークショップやトークイベントが複数予定されています。

9月12日(土)に開催予定のワークショップ「よく分からないものにツッコミを入れて楽しもう!『なんでそんなん発見隊』」では、〈なんでそんなんプロジェクト〉をゲストに迎え、参加者が身近に発見した「なんでそんなん」な事例を語り合いながら、なんでそんなんプロジェクトの魅力を体験します。

【画像】〈なんでそんなんプロジェクト〉の展示

また、会期中、毎回ゲストを変えながら計4回の「野ざらし」によるまちあるきワークショップ「ほびろい」を開催します。

本ワークショップでは、街をただ通り過ぎるのではなく、一度立ち止まり、身体を通して街と触れ合いながら観察することを目指します。地域に蓄積された人々の振る舞いや営み、大きな変化から取り残されたものや見過ごされてきた風景に目を向け、丁寧に観察・記録することで、街に潜む多様な価値やケアの在り方を探っていきます。

そのほか、セツルメント運動を考察するトークや、福祉施設と地域の関わりを考えるトーク、さとうりささんの公開制作なども予定。さらに、今回のプロポーザル展を経て、12月5日(土)~20日(日)には芸術祭内で成果発表展を開催します。

展覧会や各種ワークショップ・トークイベントを通じて、日常の風景や地域との関わり方を改めて見つめ直してみませんか? 墨田区の街や会場で、表現と福祉が交差する「あわい」の時間をぜひ体感してみてください。