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京都6つの文化施設をめぐり、多様性や共生社会を考える17日間。アートプロジェクト「CONNECT⇄_」
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イベントバナー。2023年12月1日から17日。会場、京都・岡崎公園
「CONNECT⇄_(コネクト) ~アートでうずうず つながる世界~」

アートを通して多様性や共生社会のありかたを考えるイベント

耳にすることの増えた、「多様性」や「共生社会」という言葉。けれど、どのように学んで実現していけばいいのか、と考えたことはありませんか。

2023年12月1日(金)から 17日(日)まで開催される「CONNECT⇄_(コネクト) ~アートでうずうず つながる世界~」は、そうした多様性や共生社会のありかたについて、アートを通し障害のある方もない方も共に考え、語り合い、実践するプロジェクトです。

主催は〈文化庁〉と〈京都新聞〉。京都市左京区の岡崎公園近辺にある6施設、〈京都国立近代美術館〉〈京都市京セラ美術館〉〈京都府立図書館〉〈ロームシアター京都〉〈京都市動物園〉〈京都市勧業館「みやこめっせ」〉を舞台にさまざまなプログラムが、アクセシビリティに配慮されながら実施されます。

令和4年度「CONNECT⇄_アートで こころを こねこねしよう」アーカイブ動画

4年目を迎える「CONNECT⇄_」とは?

「CONNECT⇄_」は2020年度からスタートし、今年で4年目を迎えました。年に一度、障害者週間(12月3日〜9日)にあわせ、京都の文化ゾーンである岡崎エリアでの展示、参加型ワークショップ、動画配信など、多彩なプログラムを提供してきています。

「一貫したテーマは、『CONNECT=つながる』です。会場ではさまざまな表現や人々とつながる仕掛けを、いくつもの文化施設が考え、企画してきました。またジャンルの異なる施設同士がつながって、共生・多様性・アクセシビリティについて共に考え、実践していくという意味も含まれています」(CONNECT⇄_事務局

サブテーマは、2020年の「芸術/身体/デザインをひらく」から、2021年に「つながる・つづく・ひろがる」、2022年に「アートで こころを こねこねしよう」と移り変わり、4回目となる今年は「アートでうずうず つながる世界」です。

参加者がアートをつくったり楽しんだりすることで、個性や背景に関わらず心もからだも「うずうず」動き出してしまうこと、そしてその先に新しいつながりが生まれていくことを目指し、掲げられました。

12月1日から17日までのイベント一覧。各会場で、1つ〜3つのプログラムのほか、会場をまたぐスタンプラリー、ショップ巡りも開催されている
イベント全体のスケジュール(「CONNECT⇄_」公式サイトより)

今年も期間中は、展示やワークショップ、トークなどさまざまなプログラムが予定されています。いくつかご紹介しましょう。

共生について考えを深める「CONNECT⇄_プログラム」

まずは複数の文化施設が連携して企画・実施する「CONNECT⇄_プログラム」。

来場当日はまず〈京都国立近代美術館〉か〈京都市京セラ美術館〉に設けられている「うずうず広場」を訪れます。

〈京都国立近代美術館〉では表現や作品を通して、心も身体もうずうずできる空間がオープン。岡山県の生活介護事業所〈ぬか つくるとこ〉による催しや、滋賀県の障害者福祉施設〈やまなみ工房〉に所属する酒井美穂子さんらの表現・作品が紹介されます。また、〈京都市京セラ美術館〉ではCONNECT⇄_のこれまでの取組をご紹介するアーカイブ動画の上映があります。

広い縦長の会場に、たくさんの椅子やテーブル、アート作品が並べられている写真
うずうず広場(昨年度の実施風景)(京都国立近代美術館・1階ロビー)

本プログラムを深く楽しむためにぜひ参加したいのが、12月17日に開催される連続トークイベントです。各会場の取組テーマや内容に合わせて、「共生」につながる研究やプロジェクトに携わる専門家から話を聞くことができます。

トークテーマの1つ目は、「障害のある大型類人猿の暮らし」。〈京都大学野生動物研究センター〉センター長の伊谷原一さんと〈京都市動物園〉園長の坂本英房さんをゲストにお招きし、障害のある動物の「野生」と「飼育下」の事例をもとに、ヒトの障害との関わり方を考えます。

2つ目のトークは「CONNECT⇄_の入口をデザインするー美術館ロビーの設えから」。2022年度・2023年度のロビー計画に関わったメンバーである、〈REUNION STUDIO〉共同代表の木村慎弥さん、〈Neki inc.〉代表の坂田佐武郎さん、〈京都国立近代美術館〉研究員の松山沙樹さん、〈CONNECT⇄_事務局〉の朴鈴子さんが集まり、情報センター、展示空間、休憩所や体験コーナーなど複合的な要素を持った〈京都国立近代美術館〉1階ロビーの企画の意図や検討プロセスなどについて語り合います。

スクリーンの前に数人の登壇者、少し離れて椅子に座るたくさんの人がいる写真
共生・多様性・アクセシビリティについて考えるトーク(昨年度の実施風景)

6つの会場で楽しむ「参加施設プログラム」

6つある文化施設が、それぞれの特徴を活かして行うプログラムも充実。期間中にしか味わえない展示やワークショップが予定されています。

例えば、〈京都国立近代美術館〉では昨年度も好評だった「筆談鑑賞会 かく⇄みる⇄つながる」(要事前申込)を、12月10日(日)に開催。聞こえる人・聞こえない人・聞こえにくい人が一緒に、文字や絵を「かく」ことでアート鑑賞します。

大きな紙に3人がそれぞれ言葉を書いている写真
筆談鑑賞会 かく⇄みる⇄つながる(昨年度の実施風景)

また〈京都府立図書館〉では、12月16日(土)に羊皮紙に羽根ペンで好きな言葉や絵を描く「羊皮紙に描く!」を開催。作品を参加者同士で鑑賞しあう時間も設けられます。

机に向かって何か書いている人、壁に書いたものを吊り下げている人が入り混じっている写真
羊皮紙に描く!(昨年度の実施風景)

さらに、〈ロームシアター京都〉では12月9日(土)に、鑑賞マナーのない、ダンスと音楽のパフォーマンスを楽しむ「なんでもOKなダンスパフォーマンス」を、〈京都市動物園〉では12月2日(土)と3日(日)に、音の特徴をからだに伝達する「Ontenna」を使って、動物の鳴き声を振動と光で感じる「Ontennaで感じる、動物たちのこえ・いろ・かたち 2023」(要事前申込)を開催予定です。

障害の有無に関わらず参加できる、アクセシビリティへの取組

こうしたさまざまなプログラムに誰でも参加できるよう、CONNECT⇄_事務局は公式サイトの「プログラム」一覧ページに、「手話通訳」「文字通訳」「音声ガイド」「さわれます」「子ども歓迎」などのアクセシビリティ(合理的配慮の取組)を記しています。

また、記載のないプログラムの手話通訳や、車いす席の希望などにも、できる限りサポートを行うとのこと。鑑賞や参加を希望される場合や、内容について知りたい場合は、本記事末のInformationにある問い合わせ先にメールや電話をすることができます。

手話による〈京都国立近代美術館〉の施設紹介動画。ほかにも、〈京都市京セラ美術館〉〈京都府立図書館〉〈ロームシアター京都〉〈京都市動物園〉の紹介を手話と字幕で行っている(配信:YouTube

17日間に渡って開催される、「CONNECT⇄_(コネクト) ~アートでうずうず つながる世界~」。お好きなプログラムに参加し、「多様性」や「共生社会」についての理解を深めませんか。