ニュース&トピックス

地域で学び合い、“好き“をシェアする〈みんなのだいかい大学〉拡大へ。〈ケアと暮らしの編集社〉がマンスリーサポーター募集中
活動紹介

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. 地域で学び合い、“好き“をシェアする〈みんなのだいかい大学〉拡大へ。〈ケアと暮らしの編集社〉がマンスリーサポーター募集中

【バナー画像】「図書館」を中心に、障害や疾患のあるなしに関わらず、誰でも教え、学び合える場をつくりたい「みんなのだいかい大学」マンスリーサポーター50人募集中!

多様な人の「表現の機会」を増やす市民大学、マンスリーサポーター募集中!

「ケアするまちをデザインする。」を合言葉に、市民と医療福祉専門職の協働プロジェクトをいくつも手がける〈一般社団法人ケアと暮らしの編集社〉。

まちに暮らすなかで、気づいたら“Well-being”になっている社会を目指して活動する同社は、運営する〈本と暮らしのあるところ だいかい文庫〉(兵庫県豊岡市)で2023年1月より、障害や疾患の有無に関わらず学び合える市民大学〈みんなのだいかい大学〉を開催してきました。

今後さらに多くの講座をひらき、多様な人が自己表現や“好き”を共有できる地域社会の実現を目指すべく、継続寄付者を募る「マンスリークラウドファンディング」を実施中! 募集〆切は2023年7月31日(月)までです。

【写真】だいかい文庫の店舗入口
まちと人、まちとケア・医療福祉など、多くの分断された関係性を紡ぎ直す取り組みが評価され、2022年度の「グッドデザイン賞」を受賞した〈だいかい文庫〉

医師・守本陽一さんによる、豊岡市での「社会的処方」の実践

「社会的処方」という言葉が少しずつ認知されつつあります。これは、不安や困難を抱えた人に対して、薬ではなく「地域の人とのつながり」を処方する仕組みのこと。医療者だけでなく、さまざまな人や活動が交わるなかで、困りごとの解決をはかる取り組みです。

著書に『ケアとまちづくり、ときどきアート』(中外医学社/西智弘さん・藤岡聡子さんとの共著)などがある、〈ケアと暮らしの編集社〉代表理事の守本陽一さんは、総合診療医でもあります。

これまで守本さんは、医療者として働くなかでさまざまな歯がゆさを感じてきました。

“もう少し早く医療にかかっていれば救えたのかもしれないのに”
“生きていても仕方ないと言った患者の生きがいは取り戻せただろうか”
“誰かが救いの手を差し伸べればもっと幸せに生きれたのに”

病院の中にいても、解決できることには限りがある――そんな思いで2016年から始めた活動が〈YATAI CAFE(モバイル屋台de健康カフェ)〉。毎月1回、小さな屋台を引いて豊岡市民にコーヒーやお茶を振る舞いながら、何気ない会話のなかで健康の話をしたり、悩みや不安に耳を傾けたりしてきました。

また、まちを練り歩くなかで地域のつながりやコミュニティを把握し、悩みのある人に地域の活動やリンクワーカー(地域資源とつなげる役割の人)を紹介するなど、「社会的処方」の活動を行ってきました。

【写真】YATAI CAFEを囲みながら話したり腰掛けたりしている人々
〈YATAI CAFE〉の様子。中央に立つのが守本陽一さん

そして、毎月1回のモバイル屋台のほかに、それらの活動を継続的に行える“拠点”をつくりたいと、2020年11月にはみんなで本棚を共有するシェア型図書館〈だいかい文庫〉をオープン。

豊岡市の商店街に立地するその店舗は、表向きは気兼ねなく入館できる“私設図書館”ですが、本をきっかけに人々が集まったり、新たなコミュニケーションが生まれたりと、“地域コミュニティを創造する場”という側面を持ち合わせています。

また、医師や看護師、心理士、保健師などが地域住民の大小さまざまな悩みに寄り添う相談所も設置。店番には守本さん自らが立つことも多々あり、「話した相手が実は医者だった」という、日常生活のなかでの“医療との偶然の出会い”を創出しています。

〈だいかい文庫〉では他にも、どんな小さな悩みごとも受け止めて一緒に考える「居場所の相談所」、対話のなかで悩みの捉え方の選択肢を広げる「ケアと暮らしのダイアローグ」、居場所やつながりに関心のある人が集まって語り合う「ゆるいつながり研究室」など、さまざまな取り組みが生まれてきました。

【写真】郷土玩具のこけしに関連する書籍や、こけしそのものが並ぶレンタル本棚
〈だいかい文庫〉では一箱本棚オーナー制(月2400円)を導入。棚をレンタルした人は自由に本などをディスプレイできるほか、店番に立つことも可能です

シェア型図書館〈だいかい文庫〉から、市民大学〈だいかい大学〉が誕生

そして2023年1月には、病気や障害の有無は関係なく、誰でも講師・生徒になれる〈みんなのだいかい大学〉がスタートしました。

講座のテーマは自由で、これまで「メンタルヘルスについて語る会」「京都のまちを語る会」「メルカリを使ってみようの会」など、14回の個性あふれる講座に約70名が参加。なかには視覚障害のある方が講師となり、障害が日常生活に及ぼす影響から、ラグビー観戦、演劇、映画、登山などの趣味を楽しむ方法までを講義したこともありました。

【写真】だいかい文庫内で1人の男性が身振りを交えて話し、数人がそれを囲むように聞いている様子
網膜色素変性症という進行性の難病を患った片野明さんが講師を務めた「見えなくても人生は楽しい♪~障害者が芸術やスポーツを楽しめる方法を考えよう~」の講座の様子

「表現する機会」を増やすため、マンスリークラウドファンディングを実施

スタートから7か月にもかかわらず、着実に地域に根づき始めている〈みんなのだいかい大学〉。守本さんはこの取り組みをスタートさせた理由を以下のように述べています。

だいかい文庫を続けるなかで、困難に直面した方々がこの場でのつながりを通じて回復し、自らの表現をできるようになる姿が、本当に嬉しかったのを覚えています。一方で、だいかい文庫のある但馬地方には表現の場がまだ少ない現状があり、障害や疾患、困難を抱えている方は、さらにその機会が減ってしまっているのも事実。だからこそ、多様な市民の表現をより後押しできる機会を作りたいと思いました。

今も新たに5名以上が講師に名乗り出ており、なかには自身の障害や疾患をテーマに授業を企画している人も。地域の多様な人が表現できる機会をつくるだけでなく、それを受講する参加者も増えることで、地域コミュニティの中で日常的にケアし合えるまちを目指しているといいます。

今回、マンスリークラウドファンディングで目標の50人のサポーターが集まれば、現在月3回ほど行っている講座を、5回以上に増やすことができるそう。寄付金額は月あたり500円から1万円と、気軽に支援できる金額も用意されています。集まった支援金は、講師をサポートするスタッフの人件費などにあてられる予定です。

豊岡市在住の方、同市がふるさとの方をはじめ、〈だいかい文庫〉の取り組みや「社会的処方」に興味のある方など、ぜひサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。