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ろう者・難聴者を対象にした講座から生まれた短編映画の上映会が2月25日、手話にまつわる新拠点〈5005〉にて開催
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2024ろう映画製作者育成講座「上映会」と記載されたイラストを中心としたメインビジュアル

ろう者・難聴者による「短編映画」2本を初公開

ろう者やコーダ(注)を主人公に、手話を交えたストーリーが繰り広げられるドラマや映画が増えつつある昨今。なかには大ヒットしたものや、何度も再放送される話題作も。多様な背景や特性を持つ人物が登場する映像作品は、年々増加傾向にあるようです。

一方で、聴覚などに障害がある映画監督や映画作家は、まだまだ少数派。本当の意味で多様な人が楽しめる作品とするには、さまざまな視点やリアルな表現方法を知る当事者の参画が必要という声もあります。

そのような映像の世界で活躍できる多様な人材育成を目的に、2024年1月~2月の期間、ろう者・難聴者を対象とした「ろう映画制作者育成講座」が〈一般社団法人日本ろう芸術協会〉の主催のもと行われました。

その講座で制作された短編映画2作品の上映会が、2024年2月25日(日)、東京都台東区西日暮里にある“視覚で世界を捉える人々のための”ワーキング・プレイス〈5005〉にて開催されます。

(注)コーダ:CODA、Children of Deaf Adultsの略。耳が聴こえない、もしくは聴こえづらい親を持つ、聴者の子どもを指す

脚本、撮影、演出などを“手話”で学ぶ「ろう映画制作者育成講座」

映画制作にあたっての知識や経験を“手話”を通じて学ぶ「ろう映画制作者育成講座」。東京から九州、20代から60代と、居住地も年代もさまざまなろう者・難聴者11名が集まり、オンラインやリアルでの講座が行われてきました。

2024年1月5日(金)からスタートした「基礎編」では、第一言語が日本手話のろう者であり映画監督の今井ミカさん、映画監督・ドキュメンタリー映像作家の青山真也さん、ろう者で映画作家・アーティストの牧原依里さんが講師として参加。脚本制作や一眼レフカメラによる撮影方法などのレクチャーが行われました。

2月には参加者でチームを組み、短編映画の制作に臨む「実践編」がスタート。イギリスから、ろう者で映画監督のルイス・ニーリングさん、ろう者で映画監督・ビデオグラファーのサミュエル・アッシュさんを招聘。お二人の演出やアドバイスのもと、映像制作を行ってきました。

イギリスの映像業界の事例を知る講演会

今回、講師に招いたルイスさんやサミュエルさんが活躍するイギリスでは、多様な人々が登場する映像作品があまた制作されています。そしてそれらの現場には、ろう者や難聴者のプロデューサー、ディレクター、ビデオグラファーなどが多数活躍しているのだとか。

実際にルイスさんも手話の映画制作を専門とし、BBCやITV(イギリス最大の民放局)などに30年以上携わっています。

そのような、多様な人が協働するイギリスの制作現場は、どのように醸成されていったのでしょうか?

ルイスさんの上半身画像とともに「イギリスのろう者実演家ルイス・ニーリング氏が語る、映像業界にろう者/難聴者が参入するために必要なこと」と書かれた講演会のメインビジュアル

上映会の開催前となる2月22日(木)、ルイスさんによる「映像業界にろう者/難聴者が参入するために必要なこと」と題した講演会が開催されます。

聴覚障害のある人が映像業界の多方面へ参入できた経緯、ろう者と聴者の円滑なコミュニケーション方法、協働方法など、ルイスさんの実体験をもとに多様性のあるイギリスの映像業界をひも解きます。

『追憶』『見て。』―― 完成した2作品を2月25日に上映

そして2月25日(日)には、「ろう映画制作者育成講座」で制作された短編映画の上映会が〈5005〉にて行われます。

完成した『追憶』『見て。』の2本の映画は、監督、脚本、撮影、出演、編集と、すべて講座受講メンバーによるもの。

『追憶』の監督・脚本は、〈こここ〉の連載「働くろう者を訪ねて」の取材・執筆を担当する写真家の齋藤陽道さんが担当。齋藤さんは本講座の受講生として参加されています。

浜辺を歩く3人の写真をメインとした『追憶』、左肩に手で触れて声をかけるような2人の人物が写った写真の『見て。』のポスター

上映会の開催は、11時~12時、13時30分~14時30分、16時~17時と3回に分けて行われます。手話で進行され、聴者用に音声日本語の通訳が用意される予定です。定員は各回35名程度。参加費は大人1200円、学生600円です。参加希望の方は事前に参加申込フォームからご予約ください。

「5005」の数字と、イラストが描かれた画像
手話という視覚言語の保存・継承と、ろう者・難聴者・コーダなど手話を使う人たちの交流と文化醸成を目指し、2023年秋、西日暮里に誕生した〈5005〉

2023年10月の総務省による「放送分野における​情報アクセシビリティに関する指針」改定の後押しもあり、手話・音声・字幕などによる放送や解説が、今後より普及していくことは間違いありません。それに伴い、多様な背景や視点を持つ人々の映像業界参入もますます必要不可欠となるはずです。

そのプロセスの一端となるであろう本講演や上映会に足を運びつつ、「ろう映画制作者育成講座」の今後の動向にもぜひ注目してみてください。