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〈やまなみ工房〉と〈たんぽぽの家〉が共鳴する企画展「はばたくつばさ」。大分県立美術館で11月5日〜16日に開催
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【画像】はばたくつばさ

〈やまなみ工房〉(滋賀県)と〈たんぽぽの家〉(奈良県)の作品と、大分県内の作品が出会う大規模展

2025年11月5日(水)から11月16日(日)にかけて、大分県立美術館にて、「おおいた障がい者芸術文化支援センター企画展 vol.7はばたくつばさ」が開催されます。

本展では、障害のある人々の創造性を尊重し、自由な表現活動を通じて支援を行う〈やまなみ工房〉(滋賀県)と〈たんぽぽの家〉(奈良県)が協力出展。大分で生まれた障害のある人の作品と県外の障害のある人の作品が響き合う場となります。

300点を超える作品や障害×テクノロジー、市民運動の資料など、多角的に展開される展示

「はばたくつばさ」の協力出展者である〈社会福祉法人やまなみ会〉が運営する〈やまなみ工房〉には、さまざまな障害のある94名が通っています。ここからは、展覧会で活躍するアーティストや、海外のコレクターから注目を集める作品も数多く生まれています。

「こここインタビュー」では、〈やまなみ工房〉に通う人たちがどのように日々を過ごし、どのように作品を生み出しているのかを取材しました。

本企画で〈やまなみ工房〉は、「やっぱりぼくにはわからん展2 ~やまなみ工房 施設長のホンネ~」を開催。53名のアーティストによる300点以上の作品を大規模に紹介します。本展は、2020年に大分県立美術館で好評を博したエキシビションの第二弾です。

【画像】やまなみ工房の作品
【画像】やまなみ工房の作品

また、知的障害や精神疾患のある人々の創作の魅力を社会に発信するプロジェクト〈PR-y〉と〈やまなみ工房〉の協働によるファッションブランド「DISTORTION3」や、「PR-y×macromauro」のアーカイブ展示も行われます。

本展では、〈やまなみ工房〉施設長の山下完和さんと、キュレーションを手がけた〈PR-y〉主宰の笠谷圭見さんに、俳優・映画監督の竹中直人さんを迎えた対談形式の音声ガイドをご用意しています。どなたでも無料でお聴きいただけます。

もうひとつの協力出展者である〈たんぽぽの家〉は、奈良を拠点に50年以上にわたり活動を続けています。日々のアート活動やプロジェクトを通して、障害のある人の個性を活かすだけでなく、人と人との関係や対話から生まれる表現を大切にしてきました。

そんな〈たんぽぽの家〉が今回企画するのは、「人と人のあいだからうまれるアート」です。本展示では、4つのコンテンツを紹介しています

1つは、〈たんぽぽの家〉・「Good Job!センター香芝」のアーティストの表現の変遷を紹介。作品のほか、表現がうまれた背景や周囲との関係から広がる取り組みも展示されています。

2つ目は、加齢や病気、障害の重度化などによっても表現を継続できる方法を探る「Art for Well-being」プロジェクト。テクノロジーを通じて、表現とケアの新しいあり方を考えます。

【写真】「人と人のあいだからうまれるアート」
ケアの現場での音色生成AIワークショップ 撮影:衣笠名津美

「こここニュース」でも2023年3月4日(土)~3月12日(日)に開催した“表現とケアとテクノロジーのこれから”を考える展覧会「Art for Well-being」を取り上げています。

3つ目の「コラボレーションからうまれるアートと仕事」では、一人ひとりの表現の先にある創造的な協働の場を紹介。アートやものづくりを通じて、多様な人たちが出会い、ともに活動するプロジェクトを取り上げます。

そして最後は、「エイブル・アート・ムーブメント30年の軌跡」。1995年に始まった市民芸術運動〈エイブル・アート・ムーブメント〉の30年を、貴重な資料やメッセージとともに振り返り、その歩みとこれからを展望します。

「はばたくつばさ」をさらに楽しむ、多彩な関連イベントを開催

「はばたくつばさ」の開催にあわせて、おおいた障がい者芸術文化支援センターでは、多彩な関連イベントを実施します。

11月8日(土)15:00~16:30には、トークセッション「障がいのある人のアートの現在地とこれから」を開催。〈やまなみ工房〉施設長の山下完和さんと、〈たんぽぽの家〉理事長の岡部太郎さんが登壇し、一人ひとりと向き合いながら日常を積み重ねてきたお二人が、障害のある人のアートの“今”と“これから”について語ります。

【写真】〈やまなみ工房〉施設長の山下完和さん
〈やまなみ工房〉施設長の山下完和さん
【写真】〈たんぽぽの家〉理事長の岡部太郎さん
〈たんぽぽの家〉理事長の岡部太郎さん

11月9日(日)10:30~12:30には、セミナー「表現をひろめるために守る~障がいのある人のアートと著作権~」を開催。さまざまな背景がある人の創作活動を支援するため、人権の視点からアーティストの表現を守る権利や考え方を学びます。表現に関わる人や支援者にもおすすめです。

11月15日(土)15:00~16:30には、〈やまなみ工房〉の活動を山下施設長が紹介するセミナー「すべては幸せを感じるために~やまなみ物語~」を開催。現場のリアルな声を直接聞ける貴重な機会です。

同日13:30~14:30には、〈たんぽぽの家〉が〈Art for Well-being〉プロジェクトで開発したプログラムを体験できるワークショップ「MRゴーグルで体験する、表現と日常/非日常」も実施します。

 

【写真】「MRゴーグルで体験する、表現と日常/非日常」
撮影:清水花菜

さらに、11月16日(日)13:00~15:00には、公募型舞台芸術ワークショップ&発表「WAVE:なみのダンスとMR」を開催。〈たんぽぽの家〉所属のジャワ舞踊家の佐久間新さん、デザインエンジニアの緒方壽人さんのコラボレーションにより制作されたソフトウェア「WAVE」を体験できます。現実と仮想が融合した世界のなかで、波の動きを通して感覚を共有できます。ワークショップ参加者の募集は終了していますが、展覧会会場内で行われる発表はどなたでもご覧いただけます。

【写真】「WAVE」

展示会初日の11月5日(水)には、多くの方が大分県立美術館を訪れ、会場は活気に包まれました。会期は11月16日(日)まで続きます。どうぞ、豊かな表現と個性、そして情熱が息づく作品の数々を体感しに来てください。

【写真】11月5日の様子
【写真】11月5日の様子
【写真】11月5日の様子
展示会初日の様子