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ゲーム、アート、展示、ビール……“みえない”世界を楽しもう! 10月24日「NO LOOK PARK」開催
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【画像】NO LOOK PARKのロゴの周囲に、小さくたくさんの写真がパネル型にはめ込まれている。写真の中にそれぞれ、たくさんの人が映っている

“みる”から一歩離れて、五感をひらく。1日限りのポップアップパーク

朝起きてスマホの通知を確かめ、日中はパソコンに向かい、移動中や眠る直前もSNSや動画を“ながら見”する。デジタルデバイスが当たり前になった現代において、私たちは多くの時間を「視覚情報」の処理に費やしています。

そうした日常、情報が簡単に手に入る便利さから離れ、他の感覚を呼び覚ますイベント「NO LOOK PARK」が、2026年10月24日(土)に東京・世田谷区で開催されます。“みえないこと”を学びや障害の体験とするのではなく、新しい感覚やエンターテインメントとして楽しむことを目指した、1日限りのポップアップパークです。

【写真】コンクリートの建物の外にロゴ
旧池尻中学校を活用した複合施設〈HOME/WORK VILLAGE〉にて開催

会場では、目を使わない「ノールック」の状態で楽しむ、ゲームや買いもの、ワークショップなどのコンテンツが用意されます。聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった感覚に意識を向けることで、新たな世界に出会えるかもしれません。

展示から体験、スポーツまで。コンテンツ盛りだくさんの「NO LOOK PARK」

会場には、視覚を使わない遊びやコンテンツが20個ほど用意される予定で、元中学校である〈HOME/WORK VILLAGE〉の1階、2階、そして体育館と施設全体を使って展開されます。

・NO LOOK GALLERY

1階にあるギャラリーでは、点字で手紙を届ける代筆サービス「White Letter(ホワイトレター)」の手紙が展示されます。真っ白な紙の上に、視覚障害のある「ブレイルライター」たちがひと文字ずつ打った点字を、参加者は点字表を頼りに読むことができます。

サービスを提供しているのは、視覚障害と他障害が重複する盲重複障害のある方とともに、遊び心ある新しい仕事や働き方を開発してきた〈一般社団法人FULLWONDER〉。共同代表の澤田智洋さんは、今回の主催者の一人です。

【写真】白い紙の上の展示を2本の手が読んでいる
「White Letter」で書かれた点字の手紙。点字が読めない人のための照合表も添えられている

また、先天的に全盲の人が身体感覚と内なるイメージだけで筆を走らせた「ノールック書道」の作品展示も。ここでは参加者自身がアイマスクをつけて、ノールック書道を楽しむこともできます。

【写真】炭のついた筆で力強く線が描かれた紙
ノールック書道は、紙の大きさを手で確かめ、身体の赴くままに筆を走らせる

・NO LOOK 縁日

2階ホールには、ノールックで楽しむゲームコーナーが用意されています。

主催の一人であるブラインド・コミュニケーターの石井健介さんが企画したのは、パッケージの触感で駄菓子を買う「手探り堂」。「手探り堂」は、石井さん自身がコンビニで、お目当てのうまい棒を袋の上から触り当てた体験がきっかけで生まれました。目を使わず指先の感覚だけで選ぶことで、日頃の買い物が「目当ての駄菓子を探し当てられるだろうか」というワクワク感や、「自分の感覚で選べた!」という手応えを楽しめるゲームのような体験に変わります。

同じく2階ホールで体験できる神経衰弱ゲーム「たっちまっち」は、主催の一人・発明家の高橋鴻介さんが、幼少期に「触覚日記」をつけていたという盲ろう者の友人の田畑快仁(たばたはやと)さんとともに開発したもの。カードや布の質感の違いを指先で探りながら同じペアを探す「たっちまっち」は、人によって得意な感触が異なるため、視覚障害の有無に関わらずみんなで盛り上がれます。

さらに、カードの指示に合わせて指と指の間に20センチほどの棒を挟み、みんなで落とさないように支え合う協力型ゲーム「YUBIBO」や、全身を使って大きな棒を支える「DEKABO」などもラインナップされています。

【写真】4本の手の間に、棒が何本も渡っている
YUBIBO」は、指でやるツイスターのようなゲーム。直接手を取り合わずとも、棒を介してお互いの力の加減や身体の動きを感じ取ることで相手との距離が自然と縮まり、普段意識しない指先や身体の新たな感覚を発見することができる

・NO LOOK GYM

身体を使って遊べるのが体育館エリアです。だれもが楽しめる新しいスポーツ「ゆるスポーツ」からは、音を頼りに相手の位置を探る「チャンバラちゃん」や、「コツコツ!点字ブロックリレー」が登場します。

【写真】白杖をついた人が目隠しをされて歩いている
目隠しをして、直進と方向転換の2種類の点字ブロックを組み合わせて相手チームのコースを作り合い、リレー形式で速さを競い合う

このほかにも、「NO LOOK LOUNGE」(会場2階ブックラウンジ)には、香りと手触りでお花を選ぶ「見えないお花屋」や、会話を楽しみながら一瞬の音と空気感で撮影する「写瞬館」が登場。

さらに「NO LOOK BREWERY」(1階西エントランス側)として、目をOFFにして楽しむビアバー「OFF T!ME BAR」がオープンするなど、五感をひらいて1日中遊び尽くせるプログラムが会場全体に散りばめられています。

“みえない”とそれぞれ異なる距離感を持つ主催者、NO LOOK BROTHERSの3人

イベントを主催する澤田さん、石井さん、高橋さんは、自身を「NO LOOK BROTHERS」と称して今回のイベントを立ち上げました。

ブラインド・コミュニケーターである石井さんは、約10年前に突然視力を失った後、見えない世界と見える世界をつなぐワークショップや講演活動をスタートしたという、中途視覚障害の当事者です。また、誰もが楽しめる〈世界ゆるスポーツ協会〉代表理事として100以上の新しいスポーツを開発し、著書『マイノリティデザイン』を刊行するなどしてきた澤田さんは、障害のある子どもの親でもあります。

一方で高橋さんは、人と人とをつなぐことを起点とした発明家で、点字と文字が一体となった書体「Braille Neue」や触覚ゲームなどを手がけるなか、多くの当事者と出会ってきました。“みえない”と異なる距離感をもつこの3人が出会い、意気投合したことが「NO LOOK PARK」の始まりとなっています。

【画像】キービジュアル
「NO LOOK PARK」のロゴも高橋さんがデザインし、「Braille Neue」が使われている

イベントの根底にあるのは、「みえない世界を学びに行く」「大変さを体験する」といったアプローチではなく、純粋に新しい感覚を面白がるエンターテインメントの視点です。目を閉じることで、日常の当たり前だった出来事が未知の発見に変わり、知っていたはずの世界を新しく味わい直す。「NO LOOK PARK」は、テーマパークに遊びに行くような感覚で、家族や友人と一緒に新しい感覚を共有できる場を目指しています。

現在、イベント開催に向けた裏側やそれぞれの思いを語り合うポッドキャスト番組「NO LOOK RADIO」が配信されています。番組には主催の3名に加え、ブラインド・コミュニケーターや舞台俳優として活動しているゲストが続々と出演。目がみえること・みえないことについて語り合ったり、「NO LOOK PARK」のコンテンツを実際に体験したりしています。

番組のなかでゲストの一人、ノールックコミュニケーターのじょにーさんは、自分たちが普段体験している感覚を次のように表しました。

「ノールック」というスパイスを私たちは持っていて、それを使うのが当たり前の文化にいる。けど、それは悪いことでもないし、すごく違うことでもなく、「スパイスがある文化」だってことを、堂々と思ってていいんだなって。

(NO LOOK RADIO #2「触覚で遊ぶと、世界がマジックになる」より)

「ノールックワールドを通して、いろんな味を見つけていってくれる日になればいい」。そんなじょにーさんの言葉が示すように、視覚を使わないことで、見慣れた日常や遊びがまったく新しい体験へと変わる可能性を秘めた「NO LOOK PARK」。家族や友人と一緒にその面白さを味わいに、足を運んでみてはいかがでしょうか。