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フィリピンの演劇作家による「ケア」をテーマにしたパフォーマンス『ケアのためのセレモニー』が8月東京・長野・浜松にて上演
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リボンを手に取る絵のイラストが描かれた、イベントのチラシ画像
2026年8月6日・7日に東京、8月11日に長野、8月16日に静岡で上演します

ケアを体験するパフォーマンスが3都市を巡回

家族にご飯をつくること、家を整えること、友達の話をじっくり聞くこと。日常生活の中には、「ケア」とあえて意識することなくしている「ケア」が無数にあります。

日常生活で見過ごしがちなケアに目を向け、ケアを体験するパフォーマンス『ケアのためのセレモニー』が、2026年8月6日(木)から東京都足立区、長野県長野市、静岡県浜松市の3都市で上演されます。

本作は、フィリピンの演劇作家 ジェームズ・ハーヴェイ・エストラーダさんと、日本の作曲家・演出家である額田大志さんによるパフォーマンス作品です。2024年に兵庫県や神奈川県で上演し好評を得た本作を、今回は築約100年の日本家屋や旧警察署庁舎を活用した文化施設など、地域の歴史や文化の記憶を遺す場所で、新たに創作し、上演します。

フィリピンにおけるケア「パグカリンガ」をテーマにした作品

フィリピンの演劇作家ジェームズさんは、「ケア」や「癒し」「コミュニティ構築」などをパフォーマンスを通して探求するアーティストです。これまで生まれ育ったフィリピンの文化をもとに、儀式的なパフォーマンスを世界各地で上演してきました。

作曲家・演出家の額田さんは、演劇カンパニー〈ヌトミック〉やコンテンポラリーポップバンド〈東京塩麹〉を率い、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表しています。2人は、2020年の〈東京芸術祭〉での協働をきっかけに出会いました。

二人のポートレート写真
額田大志さん(左)とジェームズ・ハーヴェイ・エストラーダさん(右)

『ケアのためのセレモニー』は、ジェームズさんのパフォーマンスに、額田さんが加わり、日本版として新たに創作した作品です。2024年に〈豊岡演劇祭〉(兵庫県豊岡市)で初演されました。

医療や介護の現場を中心に、対人コミュニケーションで用いられることの多い日本の「ケア」。一方でフィリピンにおける「パグカリンガ(ケア)」は、人に対してだけではなく、「場所」や「物」に対する思いやりや気遣いを含む概念です。ジェームズさんのケアをテーマにした創作においては、「人をいたわること」「場所を大切にすること」「物を慈しむこと」の3つが結びついて、「パグカリンガ」が成り立つと考えられています。

そのため本作では、観客だけではなく、上演する「場所」やその場に存在する「物」にもジェームズさんの歌や踊りが「ケア」として向けられます。身体表現と生演奏の音楽を通じて、フィリピンにおけるパグカリンガの文化を共有し、ケアの概念を拡張していきます。

観客の手首に香水をつけようとするジェームズさん
ジェームズさんは、観客に話す、歌う、踊る、香水を嗅いでもらうなどさまざまな方法でパフォーマンスを届けます ©トモカネアヤカ

地域に根ざした場所を舞台に

今回の上演が行われるのは、3都市4会場です。来日前にオンラインリサーチを行い、各地のコーディネーターと相談しながら会場が選ばれました。

2026年8月6日(木)と7日(金)は、東京都足立区で上演されます。初日の舞台は築約100年の日本家屋を活用したアートスペース・地域交流拠点である〈仲町の家〉(東京都足立区)、翌日は1927年(昭和2年)創業の宮造りの銭湯で、近年は展示やイベントスペースとしても活用されている〈タカラ湯〉が会場です。

8月11日(火・祝)は、長野県長野市にある1637年(寛永14年)創業の酒蔵・味噌蔵〈善光寺外苑 西之門よしのや〉で、8月16日(日)は、静岡県浜松市の1928年(昭和3年)築の旧警察署庁舎を改修した公共文化施設〈浜松市鴨江アートセンター〉で上演されます。

観客は公演スペースへ直接向かうのではなく、少し離れた場所に集合し、アーティストとともに歩きながら上演場所へ向かいます。作品へ至る道のりも体験の一部とすることで、観客自身が街や場所との関係性を育み、「ケア(パグカリンガ)」というテーマを身体的に体感します。

ドラムを叩いている額田さん
音楽は、パーカッション、シンセサイザー、鍵盤ハーモニカなどを用いた生演奏です ©トモカネアヤカ

本作の上演にあたって、ジェームズさんと額田さんはそれぞれコメントを寄せています。

Every year, thousands of Filipinos leave to care for others abroad. Through Pagkalinga: Vibrations and Rituals of Care, I reflect on this identity and create a shared space of care for audiences.
(和訳)毎年、何千人ものフィリピン人が、海を渡った先で他者へのケアに従事するために国を離れます。「ケアのためのセレモニー Pagkalinga : Vibrations and Rituals of Care」を通して、そのアイデンティティについて考え、観客の皆さんとケアを共有する場をつくります。
(ジェームズさん)

2024年に同作を上演したとき、あまりに清々しく、親密で、見たことがないジェームズのパフォーマンスを目の当たりにしてしまい、これは絶対にもう一度やらなければ、と思い国内ツアーを企画しました。空間とそこにあるものが一体となる、儀式のような上演です。演劇やパフォーマンスにはまだまだ未知の可能性があり、そして人を思いやるという、人間の生活に根差した表出が可能であることを思い知らされました。何よりもジェームズが、チャーミングでアグレッシヴ!こうした作品は時として、とても大切なものになると思います。東京、長野、浜松の3都市でお待ちしています。(額田さん)

思いやること、気遣うこと。パフォーマンスを通じて、当たり前になっている私たちの日常的なケアの行為に目を向け、自分と他者、場所、物との関係を見つめ直してみませんか。