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ろう者と聴者が語り合うための『アートを通して考える3』が開催。2022年1〜3月にトーク&公演
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【画像】2021年度 育成×手話×芸術プロジェクト アートを通して考える3

オンライントーク、パフォーマンス創作が行われる『アートを通して考える3』参加受付中!

ろう者がアートを楽しむため、そしてろう者と聴者が語りあうためのプログラム『アートを通して考える3』が、2022年1月から3月にかけて開催されます。オンライントークセッションやろう者が主体となるパフォーマンス制作を通じ、「言語や文化、身体の境界」を超えて、一人ひとりが持つ複雑さをより深くまなざすことを目指しています。

プログラム全体のモデレーターを務めるのは、キュレーター/プロデューサーとして活動する田中みゆきさん、企画・進行は映画作家の牧原依里さん、美術教諭の管野奈津美さんです。また、パフォーマンス制作では「ワーク・イン・プログレス」という創作段階の作品を試験的に公開するスタイルが用いられ、演出をパフォーマーの南雲麻衣さんが手掛けます。

現在、トークセッションの参加者を募集中。第1回は2022年1月11日(火)、第2回は2月8日(火)申込締め切り

ろうや難聴の表現者育成を目指す〈育成×手話×芸術プロジェクト〉

『アートを通して考える』を実施しているのは、ろう者・難聴者の表現者育成の場として生まれた〈育成×手話×芸術プロジェクト〉です。文化庁の事業として、運営を黒柳徹子さんによる小説『窓際のトットちゃん(講談社)』の著作権受領によって設立された、〈社会福祉法人トット基金〉が行っています。

〈育成×手話×芸術プロジェクト〉では、「芸術活動を通して、個性を認め合い、尊重し合って『共通言語』を探していくことは共生社会を実現するための近道なのではないか」と考え、演劇・美術・映画の各分野の実践者と共にさまざまなワークショップ、作品制作、海外の芸術祭の視察などを実施してきました。

プログラムの一つ『アートを通して考える』では、2019年に東京都現代美術館の学芸員・八巻香澄さん、東京藝術大学の准教授・伊藤達矢さんによる「アートを開く」トークセッションをはじめ、東京都現代美術館での展覧会体験、映画の上映会などを開催。また2020年には「ろう者のための美術鑑賞ワークショップ」として、横浜トリエンナーレ組織委員会と共にアートに触れるプログラムや、美学者・伊藤亜紗さんと聴覚言語障害児教育学などを専門とする松﨑丈さんの対談、今回のパフォーマンス制作で演出を手掛ける南雲さんとインタープリター・和田夏実さんの対談が実施されています。両年度とも、東京藝術大学の准教授・荒木夏実さんがモデレーターを務めました。

【写真】モニターの前でマイクを持つ人と、手話で語りかける人
「ろう者を主体とした国際芸術祭を近い将来に創設したい」という目標のもと運営されている、〈育成×手話×芸術プロジェクト〉。写真は2020年のプログラム『アートを通して考える2』の様子

ろう者と聴者が語りあうためのプログラム『アートを通して考える3』

2021年度、3度目となる『アートを通して考える』の内容は、全2回の「ろう者と聴者のためのトークセッション」とパフォーマンス制作「ワーク・イン・プログレス」です。

最初のトークセッションは、2022年1月15日(土)。米国でアートを学んだ人工内耳装用者のYoshiさんと、Yoshiさんの恩師である日本藝術大学教授・齋藤典彦さんの対談です。「知覚の境界を超える表現の可能性」をテーマに、Yoshiさんが自身のアイデンティティと向き合い、多様な人々を繋げる表現方法を見つけてきたのかを作品の変遷と共にお話しいただきます。(※参加の申し込み期限は1月11日(火)中

第2回目は、2022年2月12日(土)に開催されます。こちらは「『ろう』とは何か」をテーマに、ろう者学を学んだ看護師・皆川愛さんと、地域性とろう文化について研究をしてきた図書館司書・山下惠理さんが対談。多様性の観点から、“ろう”そのものの意味を探っていきます。

また、ワーク・イン・プログレス「1995-2022:たった一人の私たちへ」は、2022年3月5日(土)・6日(日)にSTスポット横浜にて上演されます。1995年の「ろう文化宣言」の後に起きているろう者・難聴者の間のアイデンティティをめぐる揺らぎを背景に、20~50代のろう者にインタビューを行い、一人ひとりのオーラル・ヒストリー(口述歴史)をもとにしたパフォーマンスを試験的に公開。3回の上演後、アフタートークも予定されています。

プログラム紹介動画には、企画・進行を務める牧原さんとパフォーマンス制作で演出を手掛ける南雲さんが登場

異なる感覚を通して、世界の新たな側面や未来の課題を探る本プロジェクト。「ろう者と聴者のためのトークセッション」の一部にはろう通訳(手話を第一言語とするろう者による通訳)、全回にUDトークも用意されています。ろう者、難聴者、聴者を問わず、どなたでもぜひご参加ください。