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“福祉とアート”の体験型トークイベント開催! 「TURN LANDミーティング+」は9月28日(日)
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【写真】大きなモニター画面を前に語りあう人々
サウンドプログラマーの田中文久(たなかふみひさ)さんと、作曲家の井川丹(いかわあかし)さんによるフリースクールとの協働プロジェクト 撮影:Ayaka Umeda

アートと福祉がつなぐ、一人ひとりの「違い」が交わる場

障害の有無、世代、性別、国籍、家庭環境など背景が違うからこそ、人と人とのあいだには価値観や考え方、物事への感じ方などに「違い」が生まれます。けれど今の社会では、働く場所や生活環境が異なる人同士が交わる機会はそう多くありません。

そうしたなかで、東京都で展開されているアートプロジェクト「TURN LANDプログラム」は、福祉施設の職員や利用者、アーティスト、地域の人々など、背景や習慣の「違い」を超えた多様な人々をアートを媒介に結びつけてきました。

その活動の魅力をより多くの人に体感してもらおうと、2025年9月28日(日)に開催されるのが、体験型トークイベント「TURN LANDミーティング+(プラス)〜TURN LANDプログラムの魅力を体感しよう!〜」です。会場となるのは、2024年に誕生した重症心身障害児者のための施設〈りばぁさいど原宿〉。最新の施設を舞台に、トークやパフォーマンス、施設見学を通して、アートと福祉の交わりを肌で感じられるはずです。

【写真】白い長机について、マイクを手に話す参加者

施設に根ざし、人と人をつなぐ「TURN LANDプログラム」

2022年にスタートした「TURN LANDプログラム」。東京2020オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを先導する東京都のリーディングプロジェクトの一つとして2015年に始動した「TURN」事業を引き継ぎ、現在4年目を迎えています。〈東京都〉〈公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京〉〈一般社団法人 谷中のおかって〉の3団体が主催となり、いくつもの共創型アートプロジェクトを展開してきました。

「TURN LANDプログラム」の特徴は、アーティストが一度きりのイベントや展示を行うのではなく、福祉施設に繰り返し足を運び、職員や利用者とじっくり関わりながらインクルーシブなプログラムを開発していくことにあります。

たとえば、アーティストが施設の職員と協働し、施設内にダンスフロアを開く企画を立てたり、ダンサーが踊りを通じて利用者、職員および施設の方々との交流の時間を生み出したりと、施設ごとに異なる環境や習慣を丁寧に受け止めながら、それぞれに根ざしたプログラムを編み上げていく。このプロセスには、必ずコーディネーターが伴走します。

これまでに展開されたプロジェクトは39。高齢者のグループホームや障害者施設、フリースクールなど19の施設が参加し、ダンサー、音楽家、エンジニア、哲学者など幅広い専門性を持つアーティストとともに活動してきました。

関わる人々は「支援者」と「利用者」、あるいは「企画者」と「参加者」という関係を越え、互いの違いを認め合いながらともに時間を重ねていきます。その積み重ねが「違いを受け止め、共に居られる状況」をつくり出し、施設にアートを根付かせているといえます。

同プログラムではさらに、「TURN LANDミーティング」と呼ばれる集いの場で、福祉職員やアーティスト、地域住民などの参加協力者が互いの経験や学びを共有してきました。これにより、施設を越えたネットワークが育ち、アートと福祉を軸にした新しいコミュニティも広がりつつあります。

〈りばぁさいど原宿〉を舞台に広がる、新しい出会いと学び

今回の「TURN LANDミーティング+(プラス)」は、これまで行われてきたミーティングを広く一般に開き、その魅力を分かち合うために企画されました。「+」には、アートや福祉にすでに関わっている人だけでなく、初めてそうした活動に触れる人とも知見を重ね合い、ともに考える場をつくりたいという願いが込められています。

会場となる〈りばぁさいど原宿〉は、2024年にオープンしたばかりの重症心身障害児者のための施設です。〈社会福祉法人 睦月会〉理事長の綿祐二氏が設計から携わった空間は、福祉施設の新しい可能性を示す場としても注目されています。

【写真】広く明るい空間にたくさんの木製テーブルと木の椅子
〈りばぁさいど原宿〉の1階にあるカフェ「D&I原宿」

当日は、「TURN LANDプログラム」のディレクターや事務局による事業紹介からスタートします。綿さんによる〈りばぁさいど原宿〉の紹介、最新の設備が整った施設の見学もプログラムに組み込まれています。

さらに、福祉施設での活動の様子をイメージしてもらうため作曲や演奏が得意なアーティストたちによるパフォーマンスも予定。アーティストが福祉職員や利用者たちと共に開発した、「多様な人々が参加できるアートプログラム」を体験できます。

【写真】高齢者の前にたち演奏する、黄色いワンピースの女性
クラリネット奏者の島田明日香(しまだあすか)さんのプログラム 撮影:Ayaka Umeda

また、綿さんと「TURN LANDプログラム」に参加している施設職員、アーティストによるクロストークもあり、現場での実践を通して見えてきた課題や可能性について語り合います。最後には参加者同士の交流の時間も設けられているため、直接意見を交わすことも可能です。

プログラムの一部を実際に体験できる貴重な機会でもある「TURN LANDミーティング+」。アートと福祉が出会うとき、これまで見えなかった可能性や価値を発見することがあります。それは一つの作品やパフォーマンスを超え、日々の暮らしや人と人との関わり方にまで広がっていくかもしれません。

興味のある方はぜひ足を運んで、現場の空気を感じてみてください。