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【写真】植物に触れているたばたはやとさんの両手

ふれる世界探索 たばたはやとの触覚冒険記

長年使い込んだお気に入りのタオルケットに触る。近所のスーパー銭湯であたたかい湯に浸かる。電子レンジであたためたコンビニの弁当を持つ。裸足で砂浜をはしゃぐ。久しぶりに会った大切な人と手をつなぐ、あの瞬間。

モノと人、人と人の間にしか成立しない触れるという感覚。その世界やそこでうまれる感覚・記憶は、私たちの身体を揺さぶり、豊かな世界がそこにあることを認識させてくれる。

しかし、個人のその感覚に立ち止まること、ましてや誰かに共有することは難しい。なんとか言葉にしても、あくまでそれは感覚の一部を言葉にしたにすぎない。言葉を並べても、それをぴったり言い当てることはできないのではないかと思う。

「私は生まれたときから耳が全て聞こえず目もよく見えない、先天性盲ろう者である。コミュニケーション手段は弱視手話、触手話(手話を触って会話する)、少しだけ指点字などである。

私は触覚を使いながら言葉の概念を獲得した。そして、今も触手話や指点字など触覚を使ってコミュニケーションをしている。相手の手に触れることで、言葉の意味だけではなく、相手の気持ちが伝わってくる。

また、最近は視力が落ちてきて、通訳・介助者と一緒だが、以前は一人で外出することもあった。そのとき、触覚のアフォーダンスから、色々な気づきがある。電車やバスなどに乗ると、乗り物によって手すりの形が違うことが、私には大切な情報だ。物の形状や触った感じによって得られるものは多い」

こう語るのは、触覚デザイナーたばたはやとさん。この連載では触覚がもたらす文化や表現の可能性をたばたさんと共に探索する。

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