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東京おもちゃ美術館「病児のあそび支援」の歴史を未来へ。入院や在宅ケアの子ども向けプログラム、継続に向けたクラファン
活動紹介

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子どもと大人がおもちゃを使って遊んでいる写真の右側に「難病の子どもたちに、遊びを通じて心の栄養を」と書かれている
〈認定NPO法人芸術と遊び創造協会〉が2024年9月20日(金)までクラファンを実施中です

医療的ケア児や病児が、遊びの機会を得られるように

医学の進歩によって多くの幼い命が救われるようになりました。そのため、日常生活を営むために医療を要する子どもが増え、2021年の医療的ケア児(在宅)は2万人、15年前の約2倍にのぼると推計されています。さらに様々な慢性的な疾病を抱える病児は、2020年末で約12万人という報告もあります

日常生活を送るうえで配慮を必要とするこうした子どもたちが、自宅や病院などの身近な場で「遊び」の機会が得られるようにと、〈東京おもちゃ美術館〉は長年にわたって病児の遊び支援活動を行ってきました。

これまで続けてきた、美術館/オンラインでの遊び提供や、病院での遊びボランティア、支援者に遊びの重要性を伝える学びの場の提供などを続けるための、活動資金の一部を現在クラウドファンディングで募っています。実施期間は、2024年9月20日(金)までです。

複数の親子が、木のおもちゃを囲んでいる
〈東京おもちゃ美術館〉で貸し切りで遊んでもらうイベント、スマイルデーの様子

〈東京おもちゃ美術館〉と病児のあそび支援

東京都新宿区にある〈東京おもちゃ美術館〉は、五感を刺激するおもちゃを展示し、多世代に向けて豊かな遊びの体験を提供する場です。

病児のあそび支援に関わり始めたのは、今から35年前ほど前。国立小児病院の看護師を対象に、手作りおもちゃの研修会を実施したことがきっかけでした。その後、東京都清瀬小児病院へ、おもちゃの専門家である「おもちゃコンサルタント」を遊び支援ボランティアとして派遣。コロナ前には、全国17カ所の小児病院へ、おもちゃコンサルタントの活動が広がりました。

おもちゃ美術館がない地域の方に向けては、病院向け移動ミュージアム「ホスピタル・トイ・キャラバン」を全国で展開し、福島県、長野県、奄美大島、沖縄県などの病院へ、遊びの空間を届けました。また、今年度で19回目を迎える公開セミナー「病児の遊びとおもちゃケア」も開催。講演や活動報告のほか、参加者もおもちゃで遊んだり、身体遊びに興じたりと、交流の場としても機能しています。

大きなホワイトボードを前にして、大人と小さな子どもが一緒に遊んでいる
沖縄で開催されたイベントの様子

〈東京おもちゃ美術館〉の休館日には、在宅の難病の子どもと家族を招待し、貸し切りで遊んでもらうイベント「スマイルデー」を開催。2020年にコロナ禍になると、病院へのボランティア派遣が難しくなったことから、オンラインの活動へと切り替えました。

さらには、外出が難しく、在宅ケアを必要とする子どもたちとご家族を対象に「オンラインおもちゃの広場」を実施。緊急事態宣言中は毎日、その後は週2回の配信を続け、医療的ケア児やその家族の心の支えとなってきました。

木の動物のおもちゃを掲げている人たちがうつっている、オンライン画面
オンラインおもちゃの広場

クラウドファンディングの背景

「子どもは遊びを通して成長する」と言われるように、病気の子どもにとっても健全な成長・発達のために遊びは欠かせません。また子どものケアをしている親も、病院と家の往復の生活や、家族だけで看護している状態で孤立し、精神的に孤独になりやすい傾向があります。

病気の子どもたち、そして家族に「遊び」を届けることで、日常の中でホッとする時間や笑顔になれる時間をつくれるようにしたい、という思いで活動する〈東京おもちゃ美術館〉。今回、医療的ケア児や難病児にとっての遊びの重要性を知ってもらうという意味も込めて、クラウドファンディングを実施することにしました。

“本来、子どもは遊びの天才です。2、3歳児が砂場での遊びに打ち込む姿や、人形やぬいぐるみとコミュニケーションをとる姿には、子どもならではの感性や想像力の豊かさがみなぎっています。学習と同様に、子どもにとっての「遊び」は多くの体験と経験を与えてくれます。

だからこそ、健康であるか否かによって遊びの量と質が著しく低下することは、一度しかない子ども時代を生きる幼児にとって、その後の成長に少なからず影響を与えることにもなりえるのです。”(〈東京おもちゃ美術館〉館長 多田千尋さん)

 

横たわっている子どもの目の前に、ボランティアがカラフルなおもちゃを掲げてみせている
ボランティアによる、病院での子どもたちとのふれあい

集まった資金は、毎週1回の「オンラインおもちゃの広場」の活動費、小児病棟の遊びボランティアの活動費や交通費、公開セミナーの開催費用に充てる予定です。

これまで活動は、自主財源と助成金を併用して行ってきました。しかし、様々な活動がオンラインからリアルに戻るなかで、オンラインでの活動では助成金が取りづらくなっています。活動を通じて、全国の医療的ケア児や家族とつながったこと、また病児にとっては相変わらず外出しづらい状況であることから、〈東京おもちゃ美術館〉は今後も「オンラインおもちゃの広場」を続けたいと考えています。

おもちゃコンサルタントによる小児病棟のボランティア活動も2023年末から徐々に再開しはじめ、今後さらに必要とされていくはずです。また、遊びの重要性を広く訴えていくためにも、「病児の遊びとおもちゃケア」の公開セミナーの実施も継続を目指しています。

赤いエプロンをつけたスタッフたちの集合写真
〈東京おもちゃ美術館〉のおもちゃコンサルタントたち

返礼品は、〈東京おもちゃ美術館〉と〈福岡おもちゃ美術館〉の入館券、セミナーの参加券、「一口館長」として名前入りの積み木をサポーターズボードに飾れる権利や、「病児の遊び支援講座」の開催券などがあります。またそのほかに、返礼品のない支援のみのコースも用意されています。

気になる方は、ぜひクラウドファンディングページをご覧ください。