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〈オレンジキッズケアラボ〉が2日間の災害学習キャンプを開催。アウトドア×非常時の体験を、医療的ケアの子どもと家族に
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【写真】広い原っぱ、気球の前で笑っている4人家族
〈一般社団法人オレンジキッズケアラボ(Orange Kids'Care Lab.)〉が過去に行ったアクティビティの様子

医療スタッフサポートのもと、キャンプ場で非常時を体験

地震や台風など、頻発する災害。私たちの暮らしは、災害と災害の“間”にあると捉えることができるかもしれません。

いつか来るその日のために、いまどういう備えが必要か……世の中には防災に関するさまざまな知見がありますが、一般にある情報だけではうまく災害を乗り切ることができない人もいます。例えば、呼吸器が日常的に必要な子どもたち、そしてかれらをサポートする家族であれば、災害発生時に「いつも受けられていた医療的ケアをどう保っていくのか」「もしケアを受けられない状況になったらどうすべきなのか」などを想定しておく必要があります。

2023年9月30日(土)から10月1日(日)にかけて開催される「医療的ケア等がある子どもと家族の災害学習キャンプ」は、そうしたケースに向けた、具体的な学びのプログラムです。福井県の宿泊施設〈休暇村越前三国〉を使い、医療的ケアを必要とする子どもたちと家族が、在宅医や通所施設の看護師らのバックアップを受けながら、災害時を想定した非常食の実食や電源確保などを経験します。

子どもたちが非日常の体験にチャレンジする〈オレンジキッズケアラボ〉

イベントを主催するのは〈一般社団法人オレンジキッズケアラボ(Orange Kids’Care Lab.)〉。2012年4月から福井県福井市で、重い障害があったり、日常的に医療的ケアが必要だったりする子どもたちの通所施設を運営しています。

医療に左右されずに子どもたちが「自分らしい選択ができる」よう、通常の障害福祉サービスに加え、「旅行」や「就学支援」など公的な福祉制度にはない支援も実施しています。

【写真】手前に木々が並ぶ1階建の建物
〈オレンジキッズケアラボ〉の運営する通所施設

代表理事のひとり、紅谷浩之さんは、軽井沢にあるケアの文化拠点〈ほっちのロッヂ〉の共同代表でもあります。過去に〈こここ〉のインタビューでも、子どもを中心にしたまちづくりと医療福祉の関係性について語ってくださいました。

子どもたちが「非日常的な体験にチャレンジすること」を大切にしている〈オレンジキッズケアラボ〉。そこで重視しているのは、呼吸器や吸痰、胃ろうなどのケアの必要性ゆえに、ほかの子と同じような日々を送ることの難しい子どもたちが、医療スタッフのサポートを受けながら家族との旅行や登山、海水浴などを経験でき、たくさんの感情が生まれていく過程です。

一方で、そうしたチャレンジをしたからこそ、家族から「バリアフリーが十分でないなら行くのが不安」「いつも使用している備品が揃っていないと行くのが怖い」と、日常から離れた行動への戸惑いの声も聞いてきました。

【写真】医療スタッフが見守るなか海水浴を楽しむ母子2組

この実情に対して、制度面では、2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行されています。しかし、平常時の支援や活動は各地で展開されてきた一方で、非常時や災害時にまで配慮した支援・対応はまだわずか。体制なども十分に整備されていない状況があることを、〈オレンジキッズケアラボ〉では課題に感じていました。

災害対応を学ぶ「セミナー」×災害時を想定した「キャンプ」

これらの背景をふまえ、2023年に〈オレンジキッズケアラボ〉では、災害時のような非常事態に備え、不慣れな環境下でも医療的ケア児とその家族が自立して行動できるよう、2つのイベントを実施することとなりました。それが、7月に行った災害対応を学ぶ「セミナー」と、9月末に開催を予定している災害時等を想定した「キャンプ」です。

【写真】木の家の広い空間に人が座っている。奥にスクリーン
「医療的ケア等がある子どもと家族のための災害対応セミナー」の様子

7月29日(土)の「医療的ケア等がある子どもと家族のための災害対応セミナー」では、水害を想定したワークショップを開催。自分が住んでいる地域のハザードマップや避難所を確認し、各自が非常時にどう行動するかを予めまとめておく防災行動計画(マイ・タイムライン)を作成しました。

また、家族だけで医療的ケア児への対応や避難が難しい場合を想定して、支援を頼めそうな人のリストアップなど、参加者同士で発表し意見を交わしました。参加者からは「頼れる人の少なさを痛感し、地域との関わり、町内の方との情報交換をしないと、と思った」「周囲の人で助けが必要な人を知る必要性があると気づいた」など、防災意識の高まりを感じる声が寄せられたといいます。

【写真】いくつかのテーブルの周りに
自分の住む地域のハザードマップを確認するワークショップ参加者

そして、9月30日(土)~10月1日(日)に行うのが、「医療的ケア等がある子どもと家族の災害学習キャンプ」です。ここでは、〈オレンジキッズケアラボ〉のこれまでの経験を生かし、医療的ケア等がある子どもとその家族5組でキャンプ場に宿泊。

アウトドア体験を楽しむなかで、災害時に必要な備品の確認や、災害用非常食の活用や実食を予定しています。また、非常事態への対応を身につけながら、参加する家族同士の交流も図ります。

「防災」をキーワードに、家族や参加者と過ごすひと味違った体験。それは、子どもたちにとっても、そして大人にとってもさまざまな発見や楽しさがあふれる貴重な時間となりそうです。

開催後には、〈オレンジキッズケアラボ〉公式noteで活動レポートが公開されます。また、2024年2月に各イベントの報告会も予定されているそうなので、気になる方はFacebookInstagramもチェックしてみてはいかがでしょうか。