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「みらいの福祉施設建築ミーティング」2024年は7月6日スタート! 福祉と建築が出会うフォーラム×ツアー×スタディの4days(ハイブリッド開催)
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「日本財団 みらいの福祉施設建築ミーティング」と書かれたキービジュアル

社会福祉施設で重視され始めた「建築デザイン」

福祉施設に対する「こうあるべき」といった価値観などにとらわれず、創造的で独創的な、地域にひらかれた社会福祉事業を展開する事例が、近年全国に増え始めています。

そのような施設には、利用者・支援者の居心地のよさの追及はもちろん、地域住民など外部の人々をも巻き込んでしまうような、環境・設計・導線などのデザインが熟考されている場合が多く見られます。

60年以上にわたり、福祉分野におけるさまざまな支援に取り組んできた〈公益財団法人 日本財団〉も、「デザインは環境をつくり、環境はサービスやケアと密接に結びついている」と考え、福祉施設における「建築デザイン」を重視してきました。

その中で同財団は2021年、デザインやクリエイティブの力で、社会に貢献し、地域から愛され、福祉の未来をつくる拠点となる社会福祉施設の建築事業を助成する「みらいの福祉施設建築プロジェクト」をスタート。以降、この助成プロジェクトは毎年実施され、2024年6月3日からは第4回の募集が開始されています。

福祉と建築の“協働”を支援する「みらいの福祉施設建築プロジェクト」

〈日本財団〉による「みらいの福祉施設建築プロジェクト」は、福祉事業者と建築家の“協働”による「建築デザイン」が、地域にひらかれるための重要な要素として位置づけられた事業プランを、資金面で援助するものです。

初年度の2021年は、申請があった472事業のうち6事業を採択。第2回の2022年は、292事業のうち3事業が、第3回の2023年には、116事業のうち5事業が採択されました。

第3回で助成決定となった事業プランのなかには、少年院を出院した若者(若年刑余者)の就労拠点となる福祉施設や、地域の高齢者と大学生の交流を促す福祉施設など、ユニークなアイデアとデザインの力で社会課題に寄与するものも。事業費総額の80%を最大補助率とした、事業規模に見合う適正な金額、およそ1.4億〜9.2億円がそれぞれに助成されました。

第4回となる2024年も、約10事業の採択を目安に募集がスタートしました。対象となるのは一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、NPO法人のうち、日本国内にて法人格を取得している団体です。締切は9月4日(水)となっています。

2024年も開催決定! 「みらいの福祉施設建築ミーティング」

応募受付に先立ち、2023年からは〈日本財団〉主催、運営に〈こここ〉も協力する形で「みらいの福祉施設建築ミーティング」が開催されるようになりました。福祉事業者と建築家の連携や、計画立案に関する課題や悩みに、共に向き合っていくイベントです。

昨年のミーティングは計4日間で開催され、福祉の専門家と建築家によるパネルディスカッションを中心とした「みらいの福祉施設建築フォーラム」、福祉と建築に関わる個別のテーマを取り上げ、具体的なヒントや気づきが得られる場を目指した「みらいの福祉施設建築スタディ」で構成。福祉×建築のさまざまなデザイン実践の学び場となりました。

第4回となる2024年も「みらいの福祉施設建築ミーティング」の開催が決定! 今年は「フォーラム」と「スタディ」に加え、第1回で採択され、すでに運営開始となった福祉事業者を訪ねる「ツアー」も実施されます。

① ハイブリッドで開催! 「みらいの福祉施設建築フォーラム」

ミーティングの初日となる2024年7月6日(土)は、リアル参加(渋谷スクランブルスクエア)とオンライン配信のハイブリッドで行われる「みらいの福祉施設建築フォーラム」が開催されます。

冒頭、本年度の「みらいの福祉施設建築プロジェクト」の審査委員長である篠原聡子さん(日本女子大学学長)による基調講演を経て、福祉施設と建築デザインの実践や連携の事例を3つのパネルディスカッションから学びます。

・パネルディスカッション1 「“地域に貢献する福祉施設”へのプロセス」

地域に根差し、貢献する、これからの福祉のあり方や、地域の拠点となる福祉施設の設計とは? 第3回で採択された三重県松坂市〈医療法人医王寺会〉のプランを取り上げ、福祉事業者と建築家のよりよい協力関係の築き方や、プロジェクトを成功へと導くプロセスを振り返ります。

登壇者写真。ファシリテーター: 及川卓也(株式会社マガジンハウス こここ統括プロデューサー/ラボディレクター) ゲスト: 安宅研太郎(建築家 株式会社パトラック代表取締役) 志賀大(看護師/保健師 医療法人医王寺会 共同代表) 大谷匠(医療法人医王寺会 地域未来企画室 部長/看護師 福祉と建築 代表)
本記事の最初にご紹介した「かがやきロッジ」の設計者、パトラックの安宅さんも登壇します

・パネルディスカッション2 「『まもる』と『ひらく』をめぐる場のデザイン」

障害が重い、介護度が高いなど、センシティブな側面があるケースにおいての「福祉施設を地域にひらく」とは? その実践者である福祉施設の代表を招き、組織の運営方法、環境設計への落とし込みなど、リアルな現場の事例や考え方から学びます。

登壇者写真。ファシリテーター: 江崎真喜(社会福祉法人わたぼうしの会 たんぽぽ相談支援センター センター長) ゲスト: 越知眞智子(社会福祉法人こころみる会 統括管理者 有限会社ココ・ファーム・ワイナリー 農場長) 久保田翠(特定非営利法人クリエイティブサポートレッツ 理事長)
〈ココ・ファームワイナリー〉で生まれたスパークリングワイン、「健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう?」をテーマにした〈クリエイティブサポートレッツ〉久保田翠さんの記事も〈こここ〉でご紹介しています。ぜひチェックを!

・パネルディスカッション3 「みらいの福祉施設をどのように実現するか」

過去3回行われてきた「みらいの福祉施設建築プロジェクト」の審査では、みらいの福祉施設はどうあるべきか、という真剣な熱い議論が交わされてきました。そのなかでの成果、課題、今後への期待について、これまで審査委員を務めた方々を招きます。

登壇者写真。ファシリテーター: 福田光稀(日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム リーダー) ゲスト: 市原美穂(認定NPO法人ホームホスピス宮崎 理事長 一般社団法人全国ホームホスピス協会 理事長) 栃澤麻利(株式会社SALHAUS 共同代表・建築家) 駒田由香(有限会社駒田建築設計事務所 取締役 東京藝術大学 非常勤講師 明治大学 兼任講師)

フォーラムへの参加費用は1000円。渋谷の会場では、福祉事業者と建築家の新たな出会いの場を目指した交流会も予定されています。

② 採択された施設を訪ねる「みらいの福祉施設建築ミーティング-ツアー-」

2024年7月7日(日)は、「みらいの福祉施設建築プロジェクト」の第1回にて採択となり、本年度から運営が開始された東京都江東区の〈深川えんみち〉を訪ねます。

ここは、同区でそれぞれ運営を行っていた〈社会福祉法人聖救主福祉会〉と〈NPO法人地域で育つ元気な子〉のふたつの法人が連携して運営を行う施設。1階に〈深川愛の園 デイサービス〉、2階に〈ライト学童保育〉、一部には乳幼児向けの〈子育てひろば「ころころ」〉が併設されています。仕切りを極力なくして回遊性を高め、用途に縛られない交流スペースや、地域にも開放できるキッチンなどの設えが特徴です。

当日は、現場を見学したあとに〈聖救主福祉会〉や〈地域で育つ元気な子〉によるトークセッションも。事業プラン設計のヒントになるような時間を目指します。参加者数は最大25名(1法人2名まで)、参加費用は3000円です。

登壇者写真。及川卓也(株式会社マガジンハウス こここ統括プロデューサー/ラボディレクター) ゲスト: 小久保佳彦(社会福祉法人聖救主福祉会 法人本部長 深川愛の園 施設長) 長谷川駿(JAMZA一級建築士事務所 共同代表・建築家) 押切道子(NPO法人地域で育つ元気な子 理事長) 岩﨑美恵子(社会福祉法人聖救主福祉会 深川愛の園デイサービス管理者) 竹内陽子(社会福祉法人聖救主福祉会 まこと保育園子育てひろば「ころころ」) 荻野貴大(NPO法人地域で育つ元気な子 ライト学童保育クラブ館長)

③ 平日夜の2日間、オンラインで開催! 「みらいの福祉施設建築スタディ」

2024年7月26日(金)と8月1日(木)には、福祉と建築に関わる個別のテーマをとりあげ、具体的なヒントや気づきが得られる場を目指す「みらいの福祉施設建築スタディ」が開催されます。オンラインのみで実施され、参加費は無料です。

・DAY1 「『居場所』と『参加』のデザイン」

あらゆる人を迎え入れ、多様な在り方を許容する福祉施設とは? また、利用者が自然と自分の居場所を見つけられる環境とは? 近年よく耳にする「インクルーシブ」な建築や活動をデザインすることについて、先進事例から学びます。

登壇者写真。大谷匠(医療法人医王寺会 地域未来企画室 部長/看護師 福祉と建築 代表) ゲスト: 大原裕介(社会福祉法人ゆうゆう 理事長) 杉本聡恵(エンプラス株式会社 代表 感情環境デザイナー/作業療法士 京都大学工学部建築学専攻 三浦研究室 共同研究者 教育環境研究所 客員研究員) 松尾信一郎(株式会社五井建築研究所 建築設計室次長)
エンプラスの杉本聡恵さんは、介護施設と同じ敷地内にある〈尾道のおばあちゃんとわたくしホテル〉の環境デザインにも携わっています

・DAY2 「建築家からみた福祉、福祉施設」

建築や設計の視点から福祉を考えるセッション。施設が外にひらきづらい理由、やってしまいがちな考え方など、第三者として福祉に関わるなかでの気づきに触れながら、理想的な関わり方を3人の建築家が語り、掘り下げます。

登壇者写真。ファシリテーター: 福田光稀(日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム リーダー) ゲスト: 冨永美保(トミトアーキテクチャ 代表) 山﨑健太郎(株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ 代表取締役 工学院大学教授) 仲俊治(建築家 仲建築設計スタジオ共同代表)

2023年に引き続き、各分野の実践者として注目される方々がさまざまに登壇する「みらいの福祉施設建築ミーティング」。助成プロジェクトへの申請を考えている方はもちろん、福祉分野に関心のある方、建築・設計に関わる方や関心のある方など、ぜひ参加してみてください。思い描く「みらいの福祉施設」の輪郭が、よりかたちを帯びる機会となるかもしれません。